民社国連立政権発足へ

どうやら民主党社会民主党国民新党の連立合意が成されたらしい。
その間際、民主鳩山代表公明党への「政策協力」も申し出ていた様子。

鳩山氏、公明党に協力呼びかけ 「国民の望む政策は協力を」 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090909/stt0909091244012-n1.htm

「ガタガタ言ってるなら公明と組んだっていいんだよ?」というブラフが、社民・国民新の腹を決めさせた、ということか。
実際公明としたって、自民とつるんで野党でいるよりは、政権与党に相乗りしたほうが得られる果実は大きいわけで*1、没落した男は捨てて新しい成金の元へ走る女……という、金色夜叉的な行動を取ってもおかしくはないし、それが政治というものでw


今回の社民/国民新の対応によって、民主はこの先もことごとく、「ガタガタ言うなら連立解消して公明と組んでもいいんだよ」という切り札を得たことになる。
政策上、民主と社民・国民新が対立するようなテーマが出てきたら、その都度公明を引き合いに出せばいいわけで、公明とは政策協力できる議題での協力というやんわりした関係を保つだけで連立に入れなくてもよい。*2
また、下手するとこの連立に公明も加わって、みんなの党・共産・自民を外した残りが全て糾合連立するという「民社国公中連立」というのもあり得る。


民主一党が308議席を有するからこそできる「連立強要」だが、これは来年の初夏までに「不満が出ない成果」を見せられることとバーターの権力でもある。
既に、「来年6月執行を目処にした子供手当て」を、この秋の臨時国会で成立させるなど、参院選を念頭に置いた動きが出始めているけれども、民主政権を利する政策を提案/実現しても、票が集まるのは民主ばかりで社・国他には旨味がなかったという45回衆院選の実績がある。
連立政権をどうやって抑え込むのが民主の得になるのか、という謀略は今後も続くのではないかと思う。


子供手当ては恒久支出政策だが、その財源は主に扶養控除・配偶者控除の廃止とバーターになる。ただ、それを子供手当てとセットで可決すると不満が膨らむので、扶養控除・配偶者控除の廃止は、参院選後の審議となり、それまでなるべくニュースにさせない方針。
高速道路無料化は、利用率の低い地方の高速道路のみが対象で、首都高や東名のような過密道は従来通り有料のまま*3、無料化を推し進めた場合の道路のメンテナンス費用*4、その他の維持費用などは、保有自動車1台につき5万円の車両税加算*5
CO2排出量25%減政策だが、省エネ技術が早くから発達している日本では、企業のCO2排出削減がコスト削減策の一環として浸透しており、むしろ減少傾向にあるほど。これ以上の圧縮は一般家庭・個人消費分の削減に依存するしかないのだが、これは「人口を減らす」「工場・家を減らす」という物理削減策を実行するのでないのであれば、エコ関連投資(太陽光発電装置導入、断熱工事)やその他の環境税の新設に依ることになり、一般家庭では年間で60万〜650万*6の負担増。


こういうマイナス材料が政権成立前から出てきているのだが、今出し切ってしまえば来年の参院選には結びつかないし、報道としても「言うべきは言った」というアリバイ作りになるってことなのかも。


まあでも、これも民意の結果なので、そうなったら受け入れるしかないけど。

*1:そのへんは、自民との与党生活の長さから経験している話。

*2:民主党の支援団体には、公明と仲が悪いと言われている立正校征会という別の宗教団体があったりするので、公明と組む場合はそっちが離れる。校征会は元々は確か自民党の支持団体のひとつで、自民が公明と連立したことに反対して民主支持に変わった。

*3:故にETCは現状維持では

*4:駿河湾地震での東名高速の被災後の修理費もタダではないし。

*5:ただしこれは5年ほど前の菅代表時代に出た案。以後は言及されていないが、代替案が出ているわけでもない。官僚・独法の無駄を削ったくらいでは、費用捻出には足りない。1万円落としたときに10円拾っても焼け石に水なのと同じで。

*6:最大、10年間で