ホンダ U3-X

ホンダが電動一輪車を開発したらしい。

Honda 人との調和を目指した新たなパーソナルモビリティ技術を開発
http://www.honda.co.jp/news/2009/c090924.html?from=top

8の字型の本体の上には折り込み式の座面が、下にはタイヤと足を乗せるペダル状のステップが付く。
目を引くのはそのタイヤの機構。
ホンダが「HOT Drive System」と呼ぶそれは、大径タイヤの進行方向に対して垂直になった小径タイヤが並んでおり、これによってひとつの大径タイヤが前にも、或いは静止状態で横にも動くことができる。
言葉で書いてももどかしいばかりでよくわからんので、こればっかりは上述リンク先を見るのがよかろうと思う。
このタイヤ機構は、球がそうであるように前後方向だけでなく横方向にも移動できる。この一人乗り一輪車は、自動車やバイクのような長距離移動ではなくて、車椅子に近い用途で狭い範囲をきゅるきゅると移動するモビリティではないかと思われるので、このような小回りを可能にするタイヤ機構が不可欠。
このHOT Drive Systemでは、真横や斜め方向への移動も可能で、姿勢制御はASIMOや歩行支援システムなどで培われたものが採用されているらしい。
現状では充電して1時間ほどしか走行できないが、バッテリーの高性能化が進めば、携行用の車椅子としても実用に足るものになるのではないかと思う。


こうした電動*1の移動装置というのは、それが画期的であるほどに、実際に実地で使用する為には免許や走行区域の制限など法律法規の壁と衝突しやすいものでもある。G-Motionセグウェイ、少し前に流行った電動スクーターなどがいまいち普及しないのも、この辺りの法整備の立ち遅れによるところが大きい。


よい技術、画期的な技術、そして需要が見込める新概念技術が世に出てきたなら、そういったものがスムーズに実生活で利用できるようにする為の法整備は、スムーズに進めてもらいたいところ。


ところで、満充電からの稼働時間が6〜8時間になって、実売価格が現在発売されているセニアカー*2と同額か、その1/2くらいになったら、これの普及はどーんと進むんじゃないかなあ、と夢想した。
この手の機器でたびたび言われる「バッテリーの高性能化」だが、電気自動車界隈ではかれこれ20年くらい前から言われ続けてきたお題でもある。1990年代初頭に電気自動車と水素自動車をテーマに据えたお話に取り組んでいたことがあったのだけど、その当時、電気自動車に搭載されるのは鉛電池であることが多く、既に在ったリチウムイオン電池は「高性能だけど高価すぎ」というのがネックになっていた。*3


電気を回転駆動力に換えるモーターが普及して随分経つが、その効率化と高トルク化の成否は、やはりバッテリーに依存するところが大きい。
蓄電効率を現在の16倍くらいにする技術の研究も進みつつあるという話なんで、そのへん、「バッテリーのブレイクスルー」が起きたら、いろいろ大進化する分野がいっぱいあるのかもしれない。
楽しみ。

*1:エンジンも

*2:乗用型電動車椅子の類

*3:電気自動車の価格の大部分は電池代