電本(でんほん)

電子書籍、デンシショセキって長くて言いづらい。
紙の本を「原始書籍」と呼んで、電子書籍を単純に「本」と言い換えるにはまだちょいと機が熟しておらず、また「電子書籍」と「原始書籍」は音が似すぎていて耳で聞くと間違えやすい。


日本語で定着するためには、三音か四音(二韻)の言葉(カナ)か、漢字二文字で表現できる表意熟語である必要がある、と思う。
電子書籍」は、音も表記も長すぎる。


かつて電子メールが普及し始めた頃、郵便手紙と区別するために「原始メール(郵便)」とかいう言葉が出かかってすぐに消えたり、電子メールの英語圏表記で「e-mail(イーメール)」というものが出てきた。
e-mailは多分今も表記としては定着していると思うのだが、日常会話の中では無意識に「メール」と呼んでいて、そちらが電子メールを意味する言葉として定着している。


そんじゃ、電子書籍は「書籍」になるかというと、これは既存語と衝突するし。「電子」もないもんだろと思う。じゃあ、「電書」という、二語の頭文字を結んだ新語になる可能性もありそうで、実際にそう呼ぼうとする動きもかなりある。電書フリマとか。
でもこれも、字面を見ている分には「アレかなー」と分かるけど、耳で聞いていると「伝書?」と理解してしまわないこともない。
同音異義語が既にあるモノはやはり避けたいところ。


というわけで、これから電子書籍は「電本(でんほん)」と呼ぶべき。
漢字表記でも、「電子書籍、本」とすぐに表意理解でき、音も韻も区切りがよく、同音の類語がない。
お年寄りにも(きっと)理解できる!


……と、意気揚々と新語を造ってみたところで、使われなかったら意味ないw
その昔、国電のことを「e電」と呼ばせようとして結局定着しなかったりとか、
その昔、ガメル連邦読者のことを編集部では公式には「ガメッター」と呼ばせようとしていたんだけどまったく定着せず、アウシタン系読者の呼称した「ガメリアン」が定着しちゃったりとか、
ガンダムファンのことを「ガンダマー」とか「ガノタ」とか……それは違うか。


まあ、往々にして「こう呼ばせたい」と意図して画策した言葉って定着しないんだよね、ということを自己解決。