民主党のこれまでと今

民主党のこれまでと今について、「かんべえの不規則発言」(2011年2月17日)より、引用。

○以下はある兄弟の歴史である。


1996年:「バカ」と「ズル」の兄弟、天下を目指して旗揚げ。以後、「バカ」と「ズル」が代わる代わる組織のトップを務め、組織は少しずつ発展。

2003年:いつまでたっても天下が取れないことに気づき、外から「ワル」とその仲間を招聘する。

2004〜2005:「ワル」は神妙にしている。

2006年:仲間の自爆が相次ぐ。このままでは天下は取れそうにない。万策尽きて、「ワル」に代表をお願いする。

2007〜08年:「ワル」の下で組織は快進撃を続ける。「バカ」と「ズル」は、「ワル」に心服する。

2009年5月:「ワル」が自爆。自分の言うことを聞きそうな「バカ」を代わりに据える。

2009年8月:「バカ」が戦いで大勝利を収め、とうとう天下を取る。

2010年6月:案の定、「バカ」が自爆。トップを降りるついでに、「ワル」を道連れにしたら拍手喝采を浴びる。「ズル」がその後を継ぐ。

2010年9月:我慢できなくなった「ワル」が「ズル」に挑戦する。ここでなぜか「バカ」は「ワル」の味方をするが、やっぱり「ズル」が勝利。

2011年1月:「ズル」は我が身を守るために「ワル」イジメに精を出す。「バカ」はまたまた「ワル」の味方をする。

2011年2月?:「ズル」に対する怒り収まらず。「ワル」と「バカ」、組織を割る構え(←今ここ)。


○この三兄弟(トロイカ体制とも呼ばれる)の物語、そろそろ終わりにしてほしいです。あまり生産性が高いとは思えませんし。しかし、こうやって振り返ってみると、いちばん罪が重いのは「バカ」ですな。

ワルはダニと呼び換えてもいいな。


以前にも書いた通り、「そういうわけで菅直人もダメだから民主党解散総選挙すべき」かというと、実際のところ戦略的にそれは愚策
解散総選挙になっても参院で安定過半数を得ることは、実のところ民主も自民もその他のバランス政党や小政党の全てにも叶わない。
このため、2007年参院選で敗北した後の安部、福田、麻生政権、2010年参院選で敗北した後の現政権を見るまでもなく、安定した国会運営ができないので国会は全般に空転し、実行力のない「何も出来ない内閣」にしかなれない。誰がなっても。


民主党A、Bwという、ソフトバンクの戦略みたいな案を口にしている政治家もいるのだが、民主党分裂と大連立も、実際のところいい目は出にくい。*1
大連立は相互譲歩を強いられるが、自公連立時代など比較にもならないような譲歩が行われるのなら、それは結果的に自民・民主双方ともに支持者からの支持を失い、第三勢力への期待支持が膨らむばかり。
かといって、次の総選挙2013年に如何にみんなの党公明党が【爆発的躍進】を遂げたとしても、参院過半数の獲得は難しい。支持数の問題というより、これは候補者を擁立するための資金が公明党みんなの党には致命的に欠けているため。共産党は以前は全ての選挙区に自力で「選択肢としての候補」を建てていたけど、支持層の高齢化と減少による党運営力の低下(ぶっちゃけていえば、運営費徴収手段としての赤旗の売り上げ低迷など)により、それほどの体力はもはやない。


では、「二大政党の競争はうまくいかなかったから、三國志のように三勢力三すくみ状態になればうまくいく」という、もっともらしい論調とともに、第三勢力へ肩入れする動きが今後出てくる可能性は高いのだが、それは二大政党制を煽る以上にうまくいかない
議会制民主主義というのは、基本的には「多数派の意向が採用される」(少数派の意向を【発表すること】は無視はされないが採用はされない)のが基本なわけで、政策的に協力できるなら合流してしまえばいい。それができない、政策的に譲れないから別の党派を組んでいるのである。
三國志的三すくみ状態が形成された場合、常に連立政権を組まなければ政権与党にはなれなくなる。常に赤壁状態。
だが、協力のために双方が譲れない政策を優先課題から引き下げると、結局重要課題は「政権与党維持」という手段維持のために凍結されてしまうことになる。
結局うまくいかないのである。


自民一極時代は、安定多数派としての自民(しかし自民党内の誰がなっても政権運営はできる)と、実務能力のない野党各派という状態で、野党各派は反対のための連立党というべき対抗手段を取っていた。
民主に政権が移転してみた結果、「実務能力のない政権与党」が迷走を続けるということになった。

確か、政権に就く前の民主を支持、或いは擁護する主張は、概ねこんなものに集約された。


「一度やらせてみればよい」
「政権与党になれば目が覚めて正気に戻るはず」


もう2年過ぎてるけど、まだ仮免が取れず、状況は悪化し、領土問題を抱える周辺国は日本に対して強気に出*2、反米独立を声高に叫びすぎて同盟国の支援も受けられない状態。
尻ぬぐいする政党は大変だよな、と他人事のように考えがちなのだが、どうにかさせなければ結果的に酷い目に遭うのは国民自身。
面白半分、興味本位で政治にお試しを持ち込んだ結果を受け持つのも国民自身。


どちらにせよ、空気を読まない政局音痴が自爆覚悟の破れかぶれで当てつけ解散総選挙という泥沼に頭から飛び込むようなことをしない限り、民主支持率は最低辺を維持しつつ迷走を続けることに変わりなし。
早すぎる解散が実現されたところで、誰も主導権を取れない空転状態に変化は起きない。


あと2年、今の最悪に耐えるか、慌ててもっと酷いことになるか。

考えつく限りの最悪の展開はこれ。

今すぐ解散、自民+どこかの連立で自民が政権に復帰するが、参院過半数がないので政権運営ができずに支持率低下、2013年の参院選で再び自民が負けて、2007年からの悪夢の繰り返し……。

こうなると、あと20年は同じこと繰り返すと思う。*3
これだけは避けたいとこだけど、今すぐ解散総選挙が仮にあって、気分よく「民主を叩き落としてやれ!」ってやった人は、恐らく2013年には「自民を叩き落としてやれ、民主のほうがマシだった」って言い出すんだろうしなあ……。
はてさて。

*1:政局の鬼として知られる小泉元総理は、「大連立だけはするな」とアドバイスしているそうで、これには僕も賛成

*2:尖閣問題で下手を打った結果、北方領土問題の後退に拍車が掛かった。中国がうまくやったからウチも、となるのは当然の話で、ひとつ譲れば次々に譲歩を強いられ続けるのは当たり前

*3:20年の根拠は、民主の主立った支持層である団塊世代が全員鬼籍に入るまで、というタイムリミット