Yogenプル式充電器

今回の震災では、いざというときの情報源として一番役に立ったのはTwitterだった気がする。
速報の入手、ニュースの入手、即時情報の入手と発信。デマも出回ったけど、それを差し引いてもTwitterの即時性拡散性の一人勝ちだったことは間違いない。


かつて、16年前の阪神大震災はインターネット普及の前夜とも言える時期にあって、情報発信の利便性、回線の強固性などは震災のダメージの中で脚光を浴びた、という感があった。阪神大震災が95年の1月で、その年の上半期にはインターネットが急速に普及を始め、それを後押しするWindows95がその年の暮れに発売され、普及速度は加速度的に速まり……。
そして携帯電話がインターネットに接続され、近年ではノートPCと既存携帯電話の中間的な情報端末としてスマートフォンが着実に「ネットから情報を得る個人端末」としての地位を固めつつある。

直前のニュージーランド地震でも、現地で瓦礫に埋もれた日本人被災者が、携帯から日本へメールで救助を発信、親族→学校→大使館→NZ地元の消防署とリレーされて助かった、という例もあった。
防災用必須ツールとして、携帯端末/スマートフォンはもはや看過できない重要な存在になっていると思う。

ただ、それはネットにアクセスする手段がある場合に限られる。
ネットワークを中継する中継局が停電などで落ちてしまった場合はもうどうにもならないのだが、それが生きているなら携帯端末側の電池が保つ限り、携帯端末は【情報の命綱】になりうる。

が、問題は電池だ。
普通の携帯電話=フィーチャーフォンガラケー)は連続利用しても案外電池が保つのだが、スマートフォンは全般に電池の保ちは渋い。IS03なんか銚子に乗って連続利用すると、ゴゴゴゴという効果音付きでバッテリーが減っていく。
外付け大容量バッテリーはもちろんあるけれども、それだって充電ができる環境でなければ早々に役立たずとなる。
つまりは、「自力で電力を確保する手段」が必要になる。
今話題になっている原発に替わる代替発電手段……という大がかりな話とは別に、「とりあえず自分のガジェット、自分の身の回りにある情報入手手段のための給電方法」は考えておく必要がある。

ライトとラジオは、バッテリーを消耗しやすい携帯電話とは別個にしておくべきで、これについては防災用ライト&ラジオが多く出回っている。指向性のある懐中電灯よりも、置いて全周を照らせるランタン型のほうが実は使い勝手が良い。ライトが光源代わりに必要な場合、手に持っているよりも、置いて周辺を照らすことに使う機会のほうが多いからだ。
この手の防災ライトは電池式よりも最近はクランクダイナモ式の自発充電型が増えてきた。ハンドルが付いていて、これを回すことで充電する、というもの。中には携帯電話への給電ができるものもある。
僕も二つほど持っているが、充電ハンドルを回し続けるのは結構しんどい。ダイナモの抵抗感は自転車のダイナモライトと同じくらいあり、これを手で回すのは大変なのだ。
ラジオ用途に限るなら、大きなのっぽの古時計の一番を歌いきるくらいの長さ回し続ければ、AMラジオなら1時間くらいは聞ける。普段、防水型のダイナモラジオを風呂用に使っているが、約1〜2分の充電で風呂にゆっくり浸かりながらラジオを聴けるくらいは持つ。
ただ、その発電量だと携帯電話の充電には足りない。15〜20分の連続充電が必要になるし、その時間、ずっと間断なくハンドルを回し続けるのは相当しんどい。
なので、最近の防災ライト&ラジオはソーラーパネルによる太陽光発電と併用になっているのだが、あれはパネルが小さすぎてw炎天下に8時間以上置かないと十分に蓄電できない上に、炎天下に置くパネルの劣化は案外早く、曇天・雨だとアウト。
結局ダイナモに頼ることになるのだが、先にも述べたようにクランク式は本当にしんどいのでw、僕としてはグリップ式かプル式をお奨めしたい。
グリップ式はハンドルを握る勢いでコマを回し、コマの回転で発電するというもの。プル式はゼンマイの付いた歯車を紐を引っ張ることで回し、その先のコマを回してやはりコマの回転で発電する。
グリップ式はにぎにぎし続けるのが大変で、短時間ではクランク式より楽なのだが、長時間だとしんどい。
消去法で言うと、やはりプル式が一番楽。

ところが、プル式で携帯を充電できる手動発電機というのは実はほとんど選択肢がない。

●2WayレスQ隊
http://www.rakuten.co.jp/bonbon/510911/594368/

●携帯用ソーラー&ダイナモチャージャー
http://www.thanko.jp/product/usb/dynamo-charger.html

国内だと恐らくこの二つ以外にほぼないと思う。
レスQ隊はFMラジオ、LEDライト兼用で、携帯電話3キャリアに給電が可能。
携帯用ソーラー&ダイナモチャージャーは、その名の通りソーラーパネルも付いている。付加機能はLED3灯のライトと、携帯電話給電機能。

ところが、これらはどちらも既存の携帯電話=フィーチャーフォンガラケー)にしか対応していないのだったorz
うちは今、僕がIS03、家人がWillcom。どちらも既存の3キャリアのコネクタでは充電できない。充電コネクタは、マイクロUSB対応なのだったorz

「普段使いのUSBポートから携帯電話やスマートフォンを充電する」というコネクタケーブルはいっぱい出ているし、「大容量外付けバッテリー」と言われる商品の多くはUSB出力だ。
にも関わらず、防災用手動発電機のほぼ全てが、USB出力にほとんど対応していないのだった。クランクダイナモ式のものは、ぽつぽつ出てきはじめるのかもしれないが、どちらかというとマイナーなプル式でそれを期待するのはほとんど絶望に近い。


が、ないではないのだった。
最近の商品ではないのだが、Yogen Cell Phone Chargerというプル式充電器がある。出力方式はミニUSB。
ミニUSBならマイクロUSBへの変換は容易だ。
一応、純正の付属変換ケーブルは、日本にはない形式の携帯用コネクタ数種と、恐らくAndroid携帯を念頭に置いたと思しきマイクロUSBのアダプタが付いている。

手前左側(本体上部)に付いたハンドルを引っ張ると、ゼンマイの付いた歯車に繋がった紐が引かれ、その歯車がおもりの付いたコマを回す。コマの回転によって発電し、それを右側(本体下部)に接続したケーブルからガジェットに給電という仕組みだ。
実はこれまで、大容量充電池を持ち歩く以外に、非常時のIS03への給電手段がまったくなかった。非常用の大容量バッテリーを使い切ったら、それを充電する手段がない。
エネループを使った充電池もあるのだが、それとてエネループを充電する方法がなければそこでアウトだ。


もちろん、そこまでの事態はそうそう起きるものではない。
関東が計画停電に入っているとはいえ、24時間以上停電しっぱなしになることはない。一日の内の20時間近くは給電されているわけだから、その時間帯にバッテリーを充電しておけばよい。5000mAhほど持ち歩ける大容量バッテリーだって、4時間も充電すれば満タンになる。
だから、日常の中でのサバイバルなら、むしろそれらを活用するほうがよいと思う。
Yogenやダイナモラジオが活躍するのは、「それすら断たれた状況」であり、それはよほどのことがなければ起きない。起きないはずだ。
しかし今、今回の震災を経てそれは起きている。
今も起き続けている。
可能性が1%でも0.1%でもあるなら、それは必ず起こる。
99.999%起きないものであっても、それが0でないなら必ずいつか起こる。
その、限りなくゼロに近い可能性に備えるのが「保険」或いは「安全保障」なわけで、まずあり得ないから大丈夫だろう、と準備を怠った結果が、「事が起きてからの買い占め、買い溜め」なのだろうなあとは思う。

Yogenだって事が起こる前にちゃんと準備しとくべきだったな、という反省はある。
実際、日本国内ではさっぱり手に入らなかった。
元々Yogenが紹介されたのは数年前な上に、プル式は主流にはならなかった充電方式だ。ハンドル式のほうが仕組みが簡単だということと、紐は切れやすいのではないかという不安感から、頑丈そうなクランクダイナモが主流になったのは容易に想像できるところではあるし。
スマートフォン、パソコンは「電源の供給は絶対に絶たれない」という前提のインフラの中で使うものであって、そうしたインフラが機能停止することはそもそも前提に入っていないのだと思う。
Android端末は急速に普及を見せ始めているが、それらは「ITガジェット」のムーブメントであって、防災機器というのは実は製品開発思考そのものがまったく違う分野なのかもしれない。
いずれ、今年の初夏前頃までには、国内のファブレス企業が企画し、中国辺りで生産する形で「Android携帯に充電できる防災グッズ」をいろいろ押し出してくるんじゃないかなと思うのだが(そしてその大部分はクランク式だw)、Android携帯の重要性と思いがけない脆弱性が露呈した気がするなあ、というかなんというか。
事はAndroid携帯に限った話ではなくて、iPhoneも抱えてる問題は同じだと思う。持ち歩けるバッテリーの大きさ、寿命で言えばiPhoneIS03より長じているが、空になったときに自力で充電する手段という点で言えばAndroid携帯と状況は似たり寄ったりなのだ。

このへん急務であり、またそういう防災用品の企画会社にとってはビジネスチャンスなんじゃないの? と思ったりもする。


で、このYogen。
国内ではちょっと前までアウトレット品特価980円な感じで投げ売られていたと思うのだが、この震災後にチェックしたら当然ながら品切れになってた。
やっぱ、万が一が起こる前に買わないとダメだよなあ(´・ω・`)

国内の他のサイトでもほぼ品切れ状態、何しろ古い製品なので再輸入は見込めまい……ということで、eBayで買いました(・∀・)

国産品、または国内のほうが安いものについては国内で買うべきだけど、輸入品または国内で買ったほうが高く付くものについては、海外通販サイトからの個人輸入を選択肢に入れるべきだよな、と思う。
パイプ用ライター、手巻き煙草のローラーなどなど、日本国内での需要が少なく取扱店があまりないようなものなどは、正直、国内でブローカーの取り分を上乗せされたものを買うより、送料込みでもずっと安い。
例えば、手巻き煙草のローラー、国内で買うと400〜500円のものが、香港発だと1個$0.99とかザラ。
iPadのケース、国内で1500〜2000円送料別のものとまったく同じ製品が、上海発で送料込み$5〜7とかザラ。
つまり、ブローカーの手数料/収益の分を、節約wするなら、自分で個人輸入したほうが絶対お得*1。何度も書いてるけど。


海外サイト(例えばeBay)での「Buy it Now(今すぐ買う)」は楽天で店から買うのとまったく変わらないというか、購入のための手続きもシステマチックになってて、特段特殊な英語力は求められないので、PayPalのアカウントさえ取っておけば国内サイトで買うのとほとんど変わらない。


みんなも海外からモノ買おうず!

●YOGEN Cell Phone Charger*2
http://cgi.ebay.com/YOGEN-Cell-Phone-Charger_W0QQitemZ180603690052QQcategoryZ20336QQcmdZViewItemQQ_trksidZp5197.m7QQ_trkparmsZalgo%3DLVI%26itu%3DUCI%26otn%3D5%26po%3DLVI%26ps%3D63%26clkid%3D8107400971409146475

*1:ただし、輸入代行業を使うと結構割高にはりますorz

*2:僕が買ったときは送料はもっと安いのがあったのだが、そっちは売り切れになったらしい。やっぱ買い物は一期一会とタイミング。