松本龍復興大臣の恫喝発言

松本龍復興相発言全文民主党:福岡一区選出)


(先に応接室に通され、知事がまだ来ていない)
「(村井知事が)先にいるのが筋だよな」
(知事が入ってきたが、握手は拒否。要望書を手渡された後)
「(水産特区は)県でコンセンサスを得ろよ。
そうしないと我々は何もしないぞ。
ちゃんとやれ。
今、後から自分(おまえ)*1は入ってきたけど、
お客さんが入ってくるときは、
自分(おまえ)が入ってきてからお客さんを呼べ。
いいか?
長幼の序がわかってる自衛隊なら、そんなことやるぞ」

(村井宮城県知事は陸上自衛隊出身。宮城地方連絡部募集課広報班長を務め、1992年退官時階級は一等陸尉。松下政経塾出身。自民党系県議の後、現職)
「わかった?」
「はい」
「はい。しっかり、あの、やれよ。
今の最後の言葉はオフレコです。
皆さん、いいですか?
書いたら、もうその社は終わりだから

新聞社政治部のオフレコ発言には一定のルールがあるらしい。

  1. 政治家が「これからオフレコ発言がある」と先に宣言
  2. 記者側が発言内容をオフレコ(オフ・レコーディング)として、録音しない、記名記事にしないことに同意
  3. カメラ、レコーダーなどをオフにする(録音機材の停止)
  4. オフレコ発言を行う

オフレコ発言として行われた情報のリークは、
「政府高官」「官邸筋」「党執行部」「閣僚の一人」
といった、なんとなく発言者を特定しない発言として記事になる場合もあるし、直接は記事にせず別の記事(見てきたような会談再現記事とか)の構築の補足に使われたり。

カメラが回っている中で言い放ってから、「今の記事にしたらその社は終わり」という後付け恫喝はオフレコにならない。

今回の「オフレコ命令」について、各社はこんな感じ。

復興相が知事に「客は自分が入ってから呼べ」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110704-OYT1T00172.htm?from=main1

 松本復興相は3日、岩手県庁で達増拓也知事と会談し、被災地の復興について「知恵を出したところは助けるけど、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」と述べた。また、「九州の人間だから、(被災地の)何市がどこの県とか分からん」と冗談めかして発言した。
 その後訪れた宮城県庁では、村井嘉浩知事が後から部屋に入ったことについて、「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ」と語った。同県が重点的な漁港整備を要望していることについても、「県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと我々何も知らんぞ」と述べた。

(2011年7月4日08時47分 読売新聞)

自衛隊の下りとオフレコを守らなかったらその社は終わり、の下りを松本龍議員の命令通り削除。
フジテレビの放送も同様。

松本復興担当相:岩手、宮城知事と会談「復興は知恵合戦」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110704k0000m040101000c.html

 松本龍復興担当相は3日、就任後初めて岩手、宮城両県を訪ね、達増拓也岩手県知事や村井嘉浩宮城県知事と両県庁で個別に会談した。松本氏は達増知事に対し「知恵を出したところは助け、知恵を出さないやつは助けない。そのぐらいの気持ちを持ってほしい」と述べ、復興政策には被災自治体の主体的な取り組みが不可欠との認識を示した。
 松本氏は宮城県の村井知事との会談で、同県が復興計画案で掲げた漁港集約方針に水産業者が反発している問題に言及。「県でコンセンサスを得るべきだ。そうしないと我々は何もしない。ちゃんとやってもらいたい」と語り、まずは宮城県内の意見集約を要請した。
 松本氏は両知事との会談で、仮設住宅で昼食会を開催して孤独死を避けたり、仮設と避難前の居住地をつなぐシャトルバス運行などのアイデアを披露し「これからは知恵合戦だ」と強調した。【中井正裕】

毎日新聞 2011年7月3日 22時21分(最終更新 7月3日 23時37分)

これはと自衛隊の下りに加え、お客さん云々の下り、オフレコ発言部分も削除。

松本復興相、岩手・宮城両知事にきわどい発言連発
http://www.asahi.com/politics/update/0703/TKY201107030246.html

 松本龍復興担当相は3日、東日本大震災の被災地である岩手・宮城両県を訪ね、両県知事と会談した。前日の福島県に続く就任後初めての被災地訪問だが、被災者の感情を逆なでしかねない発言を連発した。週明けの国会で野党が追及する可能性もある。

 最初に訪れた岩手県庁の玄関前では、衛藤征士郎衆院副議長からもらったというサッカーボールを持ち出し、「キックオフだ」と達増拓也知事に蹴り込んだが、達増氏は取り損ねた。

 会談では、仮設住宅の要望をしようとする達増知事の言葉を遮り、「本当は仮設はあなた方の仕事だ」と指摘。仮設住宅での孤独死対策などの国の施策を挙げ、「国は進んだことをやっている。(被災自治体は)そこに追いついてこないといけない。知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」と述べた。また、「九州の人間だから、東北の何市がどこの県とか分からない」と冗談めかして話した。

 午後に訪問した宮城県庁では、応接室に後から入ってきた村井嘉浩知事に「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ。しっかりやれよ」と語った。被災した漁港を集約するという県独自の計画に対しては「県でコンセンサスをとれよ。そうしないと、我々は何もしないぞ」などと厳しい口調で注文をつけた。

 松本氏は防災相から引き続き震災対応に当たることもあって村井氏は面会後、記者団に「地元のことをよく分かっている方が大臣に就任して喜んでいます」と述べた。しかし、ある県幹部は「被災地に来て、あの言動はない」と憤っていた。(山下剛、高橋昌宏)

これまた自衛隊の下りとオフレコ発言云々は削除。

大臣が問題視し、なおかつその発言をオフレコにせよと言ったのは「自衛隊云々」のとこじゃなく、
「客(大臣)を呼びつけたくせに、主(知事)が後から入ってくるとは何事だ」
と、それに付随する下り。
対応は各社様々。

自治体首長は大統領と同様の選出方法で選ばれ、また大統領並みに多忙でもある。加えて復興対策の最中にあるわけで、多忙極まれる状況。
去る3月24日に自民党谷垣総裁が視察訪問した際の映像でも、村井知事は後から現れている。

そういう状況下で忙しいのはお互い様、また自治体首長と野党代表と内閣閣僚は「どちらが偉いのか」的な話でもあるのかもしれないないけど、【大臣はそんなに偉いのか?】という疑問もちらりと浮かんだり。
初対面の相手、或いは相応の地位と職責にある知事は自分の直下の部下ではないのだから、敬語くらい使うなり敬意を払うなり労うなりはしてもいいんじゃないの? と、この映像を見たら思えてくる。
子細を省略している三紙の「県幹部の憤り」などの裏も映像から見えてくる感じ。






しかし、三大誌は政権中枢の福岡一区選出議員の発言に極めてセンシティブに対応。

なぜかしら、どうしてかしらと思った人は、各自でメディアリテラシー演習を。











松本龍復興相についてのプロフィール。

松本龍 (政治家) - Wikipedia
http://bit.ly/kei6cI


公式HP
http://www.m-ryu.com/

*1:相手のことを「自分」と呼ぶのは西日本方言。