7月上旬の出来事 仕事編

7月末売りの新刊、「恐怖箱 百聞」の作業の追い込み。
百聞はコンセプトとしては実は懐かしの「禍禍」に近い。ごく小粒、1〜2頁かへたをすれば数行で終わってしまう小粒だが珠玉の実話怪談を集めてみました、というもの。
恐怖箱の中でも「小ネタに強い」方々に腕を振るっていただきました。
っていうか、小ネタ怪談というのは本当に扱いが難しい。
大ネタでも小ネタでも、取材に掛かるコスト(例えば話を聞くのに掛かる所要時間とかね)が大きく違うわけではない。そりゃまあ、「長期的に起き続けた話」を長時間掛けて聴取するのと、小ネタを1回で聴取するのは違うといや違うけど、体験者にとって「怖かった/不思議だった」という点が大きく違うわけでなく。
また、書き起こすのに小ネタは文字数が少ないから楽だろう、かというとそうでもない。
つい、細かく書き込んだり描写を精緻にして行数を増やしがちwになるんだけど、小ネタ怪談というのは、できるだけシンプルにできるだけスッキリしていたほうが面白い。視界の片隅を凄い勢いで吹っ飛んでいくようなもので、瞬間芸に近い。
ぎりぎりまで「書かないことでうまくまとめる」のが小ネタ怪談の醍醐味かつ要点で、これはじっくり書き込んで全体像を浮かび上がらせる怪談とは趣が違う。どっちがいい悪いという話ではなく、ベクトルが根本的に違うのだ。
「超」怖い話でもそういう小ネタを挟むことは以前からしてきたけど、小ネタだけ集めるとどうなるんだろう、てのが禍禍で、それを恐怖箱で新ネタでやってみた!というのが百聞だと思っていただいてよい感じ。


発売から(今の時点で)2カ月近く経つわけだが、出足快調ということでシリーズ化できるといいなー、と願っている。