遺伝記と怪集

プロトタイプの遺伝記と今年の怪集と、基本的なルールは遺伝記と同様ですが、ところどころルールに改正点があります。
以下にザッと。

共通点

  • オリジナルの恐怖小説であること
  • 他の作品と設定を共有する(連鎖する)こと
  • 匿名公開制
  • 相互講評制(配点はコメント講評で+4〜-4/トラックバック講評で+6〜-6)
  • 長さに下限なし、本数に上限なし
  • 作品〆切は9/15まで、講評締切は10/1まで

匿名講評制と相互講評制は超-1システムと同様。もはや4年目のべ6回目の運用になります。このへんは同じ。
オリジナルの恐怖小説であること、他の作品と設定を共有すること、このへんも前回同様です。

相違点

  • 自作のみの連作は怪集はNG、遺伝記はOK
  • 一話あたりの長さの上限は、怪集は40字×16行×30頁程度、遺伝記は上限なし
  • 審査のボーナス&ペナルティの規定が変更

大きいところではこのあたり。
まず、遺伝記でOKだった「自作から自作へのみ」の連作がNGになりました。これは遺伝記で自閉症型の作品群を作ってしまうケースが散見されたため。ただ、これを完全禁止にすると、応募数が少ない初期段階でボトルネックになってしまう参加者が出る可能性があるため、複数リンクのうちのひとつに自作が混じっても良い、しかし自作へのみのリンクはNG、というように定義しています。


審査のボーナス&ペナルティについて言うと、大幅緩和と言えるような感じ。
全作クリアのボーナスはなくなりましたが、しない場合のペナルティもなくなりました。
もちろん、自己査定/相互講評ルールがなくなったわけでもありません。
全応募作の50%以上を講評していない講評者の配点と、50%以上100%までの講評をクリアした講評者の配点の扱いのところで、集計に風が吹くような調整をしてみました。
この辺り、毎回毎回悩みどころなんですが、先の超-1/2009のルールから得た教訓を生かすこと*1、相互講評制は今後も堅持すること、などなどいろいろ鑑みています。
どっちにせよ、「称賛する権利と批判する資格は、誰にでも平等に。そして称賛と批判に掛かる義務(負担)を果たした者の評価を尊重し権利を保障する」という、相互講評制の基本理念はなお継続です。
相互講評制は「どこの馬の骨か判らない人(いい意味で)」という、不作為の選者にも判定の機会を保証し、また強大な権限を特定の誰かの好みに偏在させないようにするためには?*2 という課題は、ちょっとやそっとじゃなかなか乗り越えるのは難しいようですが、懲りずに挑戦していきたい課題ですね(´・ω・`)

*1:一撃離脱系講評者の影響をどこまで許容するか? といったところ。相互講評に対して熱心な応募者の影響力とそうでない講評者の影響力のバランスをどこで取るか、といった課題に対する、新たな試みということになります。悩みどころですほんとに。

*2:これを忌避する理由は、「傾向と対策」を講じる余地を減らすためでもあります。

怪集/2009 プレオープンしました

今月末、ホラー小説アンソロジー集【怪集 蟲】が発売の運びとなる。
著者は、松村進吉、つくね乱蔵、深澤夜の3人。
共通項は昨年開催の遺伝記/2009の参加者である点*1
この怪集 蟲と同じキーワード「怪集」を冠した、怪集/2009。


怪集/2009は、ホラー小説を募集するコンテストである。
ただし、超-1でお馴染みの匿名公開+相互講評システムを用いた、創作怪談、ホラー小説、恐怖小説のコンテスト。
コンテストというより、性格的にはコンペに近い。*2
肩書き、それまでの作品に基づく期待、著名人の肝煎り、といったふうな要素はない。
著者名は明かさずに作品だけをポンと投げ出す匿名公開制。
そして、その作品本位で気に入ったかどうかについて、応募者自身と一般読者が鎬を削る相互講評制。
審査員は容赦がなく、また全ての審査員が期待通りの講評をするとは限らない。審査員が気に入った作品の著者が、期待した通りの相手かどうかもわからない。
暗闇で手探りしつつ、手触りだけで善し悪しを決めろ、匂いを嗅いだだけでそれを評せよ。
まあ、無茶を言っていると自分でも思う。


課題は三つ。

  • 恐ろしい話であること。絶望を伴うと尚良い。
  • 「虫」をモチーフとすること。
  • 怪集/2009で発表された作品とリンクすること。

加えて、怪集 蟲もそのリンクの対象となる。
怪集 蟲は、怪集/2009と連携している。手本であり、目標であり、素材であり、隙あらばそのはらわたを食い散らかしても良い生贄である。
蟲及び怪集/2009で公開される作品の世界観を借用・引用するなり、キーワードを拡張するなり、続編を書くなり、再解釈版を構築するなり。
自分自身の応募作品もまた、他の著者の苗床となる。食い荒らされるか、より拡大されるか。エピゴーネンを従える王となるか、青は藍より出でて藍より青し、となるのか。
群れなし蠢く物語群、どこからでも読み始められる無限のストーリー。


支持を集めた傑作・怪作は、今秋刊行予定の傑作選へ収載される。作者は当然、「作家」として扱われ、掲載作品に対して当然印税が支払われる。
掲載は一人一作まで?
いやいや。
一人で何作でも。面白い、支持を集めるものが書けたなら一人の作品を何作でも。何なら、一人で一冊占拠することすらも。


繰り返す。
怪集/2009は、ホラー小説コンテスト……というよりは、コンペに近い。作品として良い、とされたもののみが選ばれる。


さあ、来い。
始めよう。



怪集/2009

※若干グロいです。苦手な方はごめんなさい。










以下は裏話。
昨年、恐怖箱のプロジェクトとして行われた「遺伝記」。
これは、実話怪談ではできない「エピソードとエピソードが連鎖する小説群」という試みだった。
超-1システムの検証も含めたプロトタイプとして行われた遺伝記/2009だが、今年は恐怖箱レーベルから怪集という新レーベルとして独立することになった。
竹書房文庫からデビューする恐怖小説/ホラー小説新人作家のためのレーベルという位置付けになる。今年からが本番。

*1:同時に、超-1選抜組である点

*2:素で間違いましたorz

ぼちぼち準備が整いつつあるような。

日が変わる頃にはなんとか。


つか、蟻地獄→蟲→怪集大会→赤蜻蛉→○○○
とかもう、どんなコンボですか、と。
怪集大会は作業分量で言うと本一冊分かそれ以上の作業があるのだけどw*1それで数えると、なんとなく隔週刊に近い濃密さ。旅行も海も帰省もお墓参りも行けませんよwww
目処が付いたら、飲んで食ってしよう。それまで我慢。

*1:準備が結構大変