儀式

弩2と妖弄記の間に、10年ぶりにお祓いをした。
その日に食べた鯨は美味しかった。
普段はお祓いはしないし、「超」怖い話でお祓いをすることは今後も当面なさそう。
ただし、習慣としての「今回も怪談書きますんでひとつよしなに」という儀式は欠かさない。
特に信仰している宗教はない。
とりあえず、自宅(及び仕事場)から一番近い神社の氏子札は貰っている。年末に仕事納めしてから神様チャージ(氏子札を納めて新しい札を貰う)をしている。
氏子札は普段は部屋の隅で埃を被っているのだが、いざ長丁場の仕事を始めるぞ、ということになると扱いが変わる。
氏子札に塩と酒を備える。
本式に、米や水を毎日換える……というのは、面倒でものぐさな僕には続きそうにないからやらない。仕事始め(原稿を描き始める前)と仕事が終わったら(校了して手元を離れたら)、純米酒を一本開けて神様と宴会一杯ご相伴してキュッと乾杯。
銘柄は決めてない。が、自分もご相伴するのと、いい酒のほうが御利益が高そうな気がするのとで、四合瓶の純米酒純米吟醸酒を一本。今回は桃川の純米吟醸・杉玉。菊水の音瀞(いんとろ)だったりすることもしばしば。過日、杉玉で仕事始め&納めをした本の評判が上々だったので、縁起を担いで同じものに。
塩は清めのつもりではなく、どちらかというと「酒の肴」の感覚。
酒飲みは、塩か味噌があればとりあえず飲める。
略式過ぎて全然正式でもなんでもないのだが、とりあえず気持ちの問題、ということで。
酒飲みの信条として、「一緒に酒を飲んだら友達」というものがある。
御神酒ご相伴して、神様に頭を下げる。
「今回も恙なく、事故もなく、無事校了できますように」
怪談を書いている間、願掛けで酒断ちをするのか、というと別にそういうわけでもない。
ビールも日本酒も、「ああ飲みたい」と思ったらキュッ、とやる。眠たくなったら寝る。無理はしない。あくまで自然体で、できないことはしない、やれることをする、が僕のモットー。
無理をしないでも間に合う進行で、辛くならないように仕事ができればいい。
 
……まあ、どうせ〆切間際は願望通りにはならないのだから、ゆとりのあるうちに夢を見ておきたいと思っている。