応援したくなる
ここんところ政治づいてるのでもういっちょ。
今回の衆院選では自民党は勝ちすぎで候補者が足りなくなった、というエピソードがある。
比例候補というのは、だいたいが小選挙区と重複立候補になっているため、重複候補が小選挙区で勝つと、一人分名簿の当選者が上に繰り上がってくる、というシステムになっている。
で、一応今回南東京ブロックでは36位まで用意されていたらしいのだが、上位が当選しまくりすぎてw、下位は37位相当まで当選できる、ということになった。つまりは全員当選である(余った枠は社民党比例の保坂展人氏が棚ぼたでもらったらしい)。
その中で、南東京ブロック比例35位の杉村太蔵議員(26)のエピソードがとりわけ面白かったので触れておきたい。
まず――
- 公募〆切日にたまたま自民党の募集ページを見かけ、そいじゃあってんで20〜30分で郵政民営化と構造改革についての論文を書いて、会社からFAXで送付。
- そしたら面接することになってしまい、5回の面接を経て比例名簿に掲載されることに。
- 会社は、今年契約で入社し、この9月から正社員になることが決まっていた(外資系証券会社)のだが、上司からは「がんばってこい。ダメだったらいつでも戻ってこい」と有休扱いで選挙戦に突入。
- 両親は息子の立候補を公示日に新聞を見て知った。
- 選挙期間中は先輩議員の選挙活動を手伝い、ゴミの片付けなどの下働きw←しかし彼も候補者だ。この時点では誰も彼まで当選するとは思いもしなかったのだろう
- 開票日。自民のとんでもない大勝で、名簿35位の杉村氏まで当選することに。
- 両親に「衆院議員になった」と電話を掛けるも、事態を伝えきる前に電話を切られてしまった。(結局、両親はテレビのニュースで息子の当選を知ったらしい)
- 弟二人は深夜のため寝ていて連絡付かず。
- 当選証書はハンガーに吊していたらしい。
- 当選後の打ち上げの焼肉店では、「先生、酒」「先生、皿」とこき使われていたらしい(笑)
ここまでのエピソードを聞いただけでも、そのままドラマかコミックが作れそうだ。
朝日新聞に、当選を知らされた瞬間の当人の写真が出ている。
http://mytown.asahi.com/yamanashi/news01.asp?kiji=9503
こんなにびっくりしている人の顔というのはそう滅多に見られるものじゃないと思う。
高校に受かりました、大学に受かりましたって言われても、こんな顔しないだろう。
彼はサラリーマンから議員になった。
今回、小選挙区で勝った人、棚ぼた的に勝った人、いろいろな一年生議員が誕生している。
社民党、共産党などが「庶民派」を旗印にしてきたが、自民党一年生議員の彼は庶民派じゃなくて本当に庶民そのものの国会議員となる。
でも僕はこの「庶民」というフレーズはどうにも作ってるイメージが強くてあんまり好きじゃないので、杉村氏については「どこにでもいる本当にありふれた、フツーの有権者なのに議員になっちゃった人」ということで、普通派議員または普通の国民議員と呼びたい。
自民党は今回新たに当選した新一年生議員が80人近くいるのだそうだ。
前職・元職で再選した議員が200人近くとして、約1/3〜2/5が新人ということになる。
自民党の中に、政治の専門家じゃない国民の代表、国民の縮図が織り込まれているというのは、なかなか愉快で痛快だなあと思う。
彼らはきっと苦労するだろうし、時に右往左往するだろう。ベテランの議員に比べてぎこちなかったり失敗したりもするだろうし、またそれを野党やマスコミに叩かれたりもするだろう。フレッシュを売りにできる期間はそんなに長くないってことも、すぐに思い知らされるだろう。
でも頑張って貰いたい。
僕ら、フツーの国民の代表として。