弩3進渉

なんとか二校ができた感じ。
が、例によって例の如く、スケジュールはぎりぎり。
現時点で弩3の影響で待って頂いている仕事が、5本ほどあることに今日気づいた。
昨日、「脱稿しました!」と書いたら、方々の編集部から「おめでとうございます!」「お疲れさまです!」「うちの原稿はそろそろいかがですか!」とクロスファイアを浴びる(笑)
いや、まだ原稿が書き上がっただけで校了まで終わってません! 終わってないっつの!!


もちろん業界の方々はそういうことを織り込み済みで急かしておられるのだと思う。たいへんとってもありがたいです。加藤は果報者です。本当です。本心です(笑)


ちなみに、校正紙というのはほぼ完成に近い状態*1の紙で、DTP組版の場合は自分ちのプリンタで出力して作る。*2
これをガーッと113枚(224頁だから。総扉と奥付が片頁ずつなので各1枚、それ以外の2〜223頁までは見開き(2頁で1枚)になるので、111枚)
この分量を校了*3までの間に、何回か出す。最初に出るのが初校で、以後再校とか三校なんて言い方をし、最後のものを「校了」、それを印刷所に回して、それ以上なんかあったらそっちでどうにかしてくれというのを責了、というわけだ。

雑誌の場合で、初校、再校、校了の三回くらい。文庫の場合は、校了後に面付け確認*4があるので、もう1回増える。
ちなみに、普通のというか正しい文庫進行の場合、発売日の1ヶ月前には本ができあがっているのが理想。これは、発売前に見本を出すからなのだが、そういう理想的な進行は最近ついぞお目に掛からない(^^;)

また、その理想が叶わないまでも、発売日から逆算して30日から45日前くらいには原稿が全部できあがっていて、30〜20日前くらいに校了できるのが普通。つまり原稿ができあがってから、内容を見直したり書き直したり校正に時間を掛けたりで、校正に2週間くらいはたっぷり取れるのが正しい進行である。本来は、組版作業は印刷所やデザイナーさんが行うので、それを見越してかなり早めに原稿をUPしないといかんわけだ。
校了日の3日前とか前日に原稿が揃って、「うわーい、間に合ったぁ」とかやってるのは、マジック!とかミラクル!とかではなく、単なる言語道断なのである。スミマセン。


で、校正。
これはどういう作業なのかというと、読むのである。
ただひたすら読むのである。他のことは考えず、何度も何度も何度も読んで、間違ってるとこをひとつずつ埋めていく。パソコンを導入していようと電子出版だろうと、この間違い捜しという作業は自動化ができない。
最近の原稿は校正機能付きのソフトで書いたりもしているのだが、そんなもん使おうと使うまいと誤字誤記は出るし(本当)、文法が正しくても日本語がおかしい場合、校正機能は役に立たない。あれはあくまでもお守りみたいなもんで、結局は全て人間の目で見て行かなくてはならない。
このへん、たいへんしんどいところ。
同じ原稿を何度も読み返すと、馴れが出てきちゃってますます間違いに気づきにくくなるので、初見の人を増やすのがいちばんいい解決方法なのだが、日数が少ないとその手も使えない(´・ω・`)
そうなると、もお。
ひたすら読むんです。声に出しながら、何度も何度も。*5


書く作業の後にある、そういう苦行があって初めて本は世の中に出ていくわけで、そういった意味で世の中の編集者さんというのはいずれも等しく偉大なのである。
今日もあちこちで校正紙とにらめっこしている編集者の皆様、僕も頑張っています。
皆様も頑張ってください。


僕はもうなんか目が霞んで霞んで……老眼かなあ。

*1:試し刷り、みたいなもの

*2:文庫本だからできること(笑)

*3:もうこれ以上校正紙を読まない、とホールドアップして、データを納品すること

*4:ページの順番が間違っていないかどうかの確認

*5:音読しながら一方が読み、一方がそれをなぞるのを読み合わせという。誤字発見率は高いのだが、最近はあんまりやらなくなったような