タッチペン考

現時点でタッチペン/スタイラスを前提にしたゲーム機というとDS/DS Liteしか存在しないが、スタイラスを利用するPDAやポータブル機そのものはとりたてて珍しいわけではない。
2000年頃にブレイクしていたPalm/Visor/CLIEの類はもちろん、SHARPザウルスやそれに続くWindowsCEマシンの類、NHKの集金人、コンビニのPOS管理システム、水道・ガスの検査人などなど業務用タブレットPCスタイラスを利用する。携帯ゲーム機に(紛失の可能性がある)スタイラスを採用したのがDSだった、というだけのことだ。

が、DSの凄いところは、過去に登場した多くのスタイラスを必要とする携帯機のどれと比べても、「単一機種の普及台数」がずば抜けて多い、ということ。
VisorPalmが爆発的に売れていた時代だって、1000万台なんて数字には至らなかった。
この1000万台(もう超えてるけど)という母数、「同じ形の機械(色以外の基本条件がほとんど変わらないもの)が大量にあるという条件は、周辺機器の充実にも繋がる。シリコンプレイヤーの類で言うと、CreativeやSONY東芝Panasonicなどの「後れを取った」メーカーに比べ、普及台数でリーチを持っているiPodもこれに似て、iPod/mini/nanoの形状のバリエーションを除けば、iPodそのものは世代交代しても形状にほとんど違いが出ないため、ケースなどの周辺機器が合わせやすいが故に、サードパーティの関連商品が山ほど出回っている。

DSでももっとも多いのは「保護用ポーチ(ケース)」と「スタイラス(タッチペン)」だと思う。
ケースはともかくとして、タッチペン。
これについては、実は凄く期待していた。
まず純正品のタッチペンは、初代は細くて短かった。
これに対処するため、DS Lite用では収納方法を変え、太さと長さを稼いだ。
サードパーティからリリースされているタッチペンは、だいたい以下のケースに分かれる。

  1. 純正品と同じ形状で色違い。純正品の補充用として。
  2. 純正品と同じ形状だが、ストラップ用の穴が付いている。(初代用スタイラスは、ストラップ用の穴がなかった)
  3. 伸縮して長くなる。収納時には純正品と同じ形状に短くなる。長さを稼いで持ちやすくさせたもの。
  4. 純正品タッチペンを収納して長さと太さを稼いだペン型。
  5. 純正品タッチペンを必要とせず、長さと太さを稼いだペン型。
  6. タッチペンの他にボールペンやシャープペンなどの機能を付けた複合型(というより、ボールペンやシャープペンにタッチペンを追加した機能複合型)
  7. 特殊型。

補充用の純正品クローンや、伸縮型はまあわかる。
ペン型、昨日複合型というのは、Palm華やかなりし頃からあったもので、「タッチペンを常用するステーショナリに加える」という発想だ。
本体に格納はできないが、使い勝手は向上する。

これらはあくまでタッチペンをペン/鉛筆のように持って使う、という考え方に立っている。「タッチ【ペン】」「スタイラス【ペン】」などのように、あくまでペンという発想からは出ていない。
ペンそのものがそもそも人差し指(爪?)の延長であるわけで、それは間違っていないと思うのだが、もうちょっとなんとかならんのか、とも思う。

最後に加えた特殊型は、ひとつのジャンルとしては言い表せないのだが、実はいろいろある。
僕が愛用しているのはTrue Tipフィンガースタイラス

指先にはめて使うタイプで、「爪を延長する」という発想のものだ。これをストラップの先に付けて使っている。
この「爪を延長する」という発想のタッチペンにはFinger Tip stylusという、やはり似たような商品がある。True Tipが樹脂製であるのに対して、Finger Tip stylusは純銀製でちょっと高い。

初代DSのストラップは指に当てる樹脂製の部品が付いていて、「タッチペンとしても使える」というふれこみだったが、あれは画面を塞いでしまうので却って使いにくく不評だった。そのせいか、DS Liteのストラップは極めて普通のものに変わっている。

NARUTO-ナルト-最強忍者大結集3 for DSには、タッチペンとして使えるクナイ型ホルダーが特典として付いていた。買わなかったけど、このクナイ型タッチペンも使いにくそうだった。少なくとも大人の手には無理(^^;)

初代DS専用だけど、DSのGBAスロットを「普段は使わないスペース」と考えて、GBAスロットに収納する伸縮式の「でてくるタッチペン」というのがある。樹脂の色が大人のおもちゃみたいなちゃちいピンクなのは考え物だが、発想としてはおもしろいものだった。
ただ、DS Liteには使えない。DS LiteGBAスロットが浅く、普通にGBAのソフトを入れてもはみ出すのは衆知の通りだが、このGBAスロット収納式タッチペンもはみ出す。というか固定できなくて落ちる。

また、オークションなどに「手作りの木製タッチペン」と称するものが出回っていることがある。
Googleあたりでイメージ検索してみると判るのだが、片方なくした箸みたいなものが大量にヒットする。

DS Lite発売直前に出回ったDS Lite段ボールブラウンの衝撃画像(笑)では、スタイラスは爪楊枝で、段ボールの隙間に入っちゃって取れなくなっていたが、まじめな話消耗品として考えるなら「先を丸くした焼き鳥の串」でもけっこう行ける。太さが欲しいところなので、アメリカンドッグの串(棒)なんかがいいのかもしれない。

「爪を延長する」の発想では、ギターのピックが使えるんじゃないのかな、と密かに思っている。ギターのピックには何種類かあって、一般的に(楽器をやらない人にも)知られているのは三角形またはティアドロップ型の平たい奴。人差し指と親指で摘んでストロークに使う奴だ。
が、これではタッチペンとしては使いにくいというか使いようがない。どちらかというと、親指にはめて使うサムピックや人差し指にはめて使うフィンガーピックの類。特にフィンガーピックは正に「爪の延長」であるわけで(アルペジオのときに使う)、これをどうにかしたらイイ感じのタッチペンにできるんじゃないか、という気もする。
ギターやる人でフィンガーピックをタッチペン代わりに使ってる人がいれば使い心地を聞いてみたいところだ。(というか、何百円で買えるものなんだから自分で試せって感じだ(^^;))


さらには爪を伸ばしている人もいるらしいが、日常生活に支障が出るのであまりお奨めできない。


ここまでくると後は「自分で作る」ということになるかもしれない。
素材としてはポリプロピレンあたりの加工しやすくて安い樹脂がよさそうだ。
切るのも楽だし、融解温度が低いので、ライターで軽く炙って力を加えれば曲げるのも簡単だし。
何より100円ショップに行けば「小物入れ」や「下敷き」、「書類入れ」などとしていろいろな形状のものが出回っている。安い。
というわけで、そのうち手作りタッチペン(箸ではないもの)に挑戦してみたいところ。


でも、下手な加工をするよりもそのまま「竹の耳かき」や「ボールペンのキャップ」そそのまま使ったほうが安上がりで便利だったり。
工夫する心は報われないことがほとんどだ(´・ω・`)