中東歴訪とか

ここんところ中東外交が神過ぎる件について――
書こうと思ったんだけど、どこから手を付けていいか悩むほど、前提知識が膨大に必要で、それを書くとまたものすんごい量のエントリーになってしまい、「あんたそんなことしてる暇があったらウチの原稿も早くくれ」と方々から言われそうなので、以下簡単に。


日本が、沖縄にある原油基地の設備をサウジに無償提供して、サウジの原油を預かる(ただし、非常時には日本が独占的に買える)共同備蓄提案をして、サウジがそれに乗ったことについて。
原油備蓄が確約される上に沖縄(現在の日本の備蓄原油基地は沖縄にある)に置くことによって、中国その他による沖縄への軍事オプションを牽制する安上がりで効率のよいグッジョブな安全保障策で、サウジとしても自分とこの資産をアジアに販売するときの基地として利用できる上に、世界最強の米軍が警備してくれる保証付きで互恵的にいいことずくめ。
いったい誰が考えたんだ凄いぜ! 的な、新聞の一面を飾ってもいいくらいの外交成果なんだけど、国内ではあまり伝えられていないんだそうで、僕もこのニュースそのものを外電経由で知った。


クウェートイラクよりの地域に新たな油田・ガス田が発見されたらしい。その時期のクウェート訪問で、日本とクウェートFTAを含めた包括的な互恵関係が推進される方向で合意したとのこと。
これなんかは、座礁している日韓FTAより実は遥かにメリットが大きい(エネルギー確保の意味で)のだが、これも国内ではベタ記事以上の扱いになっていない。


そういえば、サウジに建設される新都市に日本人地区を作って、日本からの投資や商社やエンジニアが暮らしやすいようにする、という提案がサウジからなされていて、このあたりからも日本-中東外交がかなり友好的互恵的に進んでいることが伺える。

日本では中東=イラクは治安が悪い、アメリカ・イスラエルは中東で嫌われている、アメリカに尻尾を振る日本は中東では嫌われ者、的な印象報道が多いのだけど、実際はと言えば中東と日本というのは、原油の販売者と大口購入者という関係だけでなく、「中東に害をなした歴史がない国=日本*1」というクリーンな見方をされているということと、「アメリカ大統領に直接ものを言える国であり、日本が中東にとっての安全保障上の脅威になることがない」ということなんかからも、かなり親日性が高いというか、好印象らしい。


このへんは今回だけの成果ってわけじゃないけど、今回の外交成果を考える上で下敷きにすべき前提なんだけど、そういう話ってやっぱり日本では報道されないというか説明されてこない。


そういえば、BDAに関連してアメリカが北朝鮮と中国に対して物凄く底意地の悪い罠を張っていた件についても、FinancialTimes*2やWallStreetJournal*3、もしくはアメリカあたりのブロガーが、早い段階で指摘していた「財務省が仕掛けた罠」という認識を日本国内の新聞は今だに理解できていないっぽいところがあって、「アメリカは金融制裁を解除し、軟化姿勢を示し、外交戦争は北朝鮮の一人勝ち」という報道ばかりが目に付く。
つい最近も「新聞取りませんか」という勧誘員がきたんだけど、「自分とこの新聞の内容についてどう思うか」ということを問うても答えられない様子なんで、お引き取りを願った。*4


とりあえず、新聞に出す金があったら、翻訳ソフト買って英文ニュースサイトを回ったほうがナンボか情報のクロスレビュー的な俯瞰ができる気がする。
恒常的金銭欠乏症という不治の病に罹ってるからってだけじゃないけど、今の国内の報道にお金を出すことに、なんかいろいろ疑問を感じるようになってきてるのかもしんない。


朝日新聞がよくNewYorkTimes(米)*5とLe Monde(仏)*6の記事を引用して「アメリカの大手新聞では!」「フランスでは!」という外圧を利用する記事を書いているのを見かけるのだが、NewYorkTimesとLe Mondeの日本支局って、築地の朝日新聞本社と同じ住所にあるそうな(笑)
凄いなあ(笑)

以下、最近どっかのアップローダーで拾ったもの。
指摘を額面通り受け取るべきかどうかは情報の受取手が考えるべきなので、指摘の真偽についてはあれこれ言わないけど、朝日新聞本社と同じ住所にNewYorkTimesとLe Mondeがあるという指摘は本当。

*1:欧米は歴史的に中東と色々軋轢がある

*2:イギリスの経済誌で、日本で言うと日経新聞に相当。

*3:アメリカの保守系誌で売上全米一位。日本で言うと読売新聞に相当。

*4:そういえば、大昔樋口さんは「新聞勧誘員撲滅委員会」という札をアパートの玄関先に貼って勧誘員を撃退する、というようなことをやってたことを思い出した(笑)

*5:アメリカでは左派リベラル系で米民主党を過度に支持。部数は全米では2〜3位くらいで、1位はWSJ朝日新聞とは立ち位置も似ている。

*6:これも左派だったような。