ディズニー版初音ミクの件

ややヲタな話。

ファイアボール | ディズニー・チャンネル
http://www.disneychannel.jp/dc/program/anime/fireball/?hbx.hrf=http://www.google.co.jp/

多忙状態の間のトピックいくつかについて。
なんかもう忙しすぎで乗り遅れ気味orz


さて。
日本の名作に敏感に乗っかることで定評のあるディズニー*1が、今度は初音ミクに乗っかろうとしているらしい、という話題が出ていた模様。
これに関しては幾つか論点がありまして。

  1. ロボットでツインテールというだけで、初音ミクと言い張っていいものかどうか
  2. クリプトンはディズニーに異議申し立てをすべきか(そもそもできるかw)
  3. ディズニーが「初音ミク」や「白い初音ミク」に対して権利を主張する可能性はあるか

などなど。だいたいこのあたりでループしてるんじゃないかなと予想しつつ、それについて自分メモ。


まず(1)について。ツインテールというだけならそういうキャラクターは過去にもいろいろあったわけで(ゲームの世界ではなおのこと)、これだけでは初音ミクのオリジナリティは主張できないと思う。ツインテールでロボットで、ということになるとそれはもう少し減りそうだけど、それでも「ちと自意識過剰すぎじゃね?」「ツインテールだったらなんでも初音ミクに見える不治の病に罹ってね?」という誹りは免れまいw

もっとも、「ディズニーがジブリに資本参加」「ディズニーが日本のアニメ界をターゲットに」という直近のニュースと照らし合わせると、「日本のヲタに受けてるものにとりあえず乗っかっとけ*2」という気持ちがなかったとは言えなくもないのかも。このファイアボールキャラクターデザイナーは日本人らしいので、「今受けてるものと言えば」という連想がなかったと断言するのはむしろ難しいかも。
なので、これは限りなく「意図的な黒」に近いグレーかな、と。


次に(2)について。
会社の資本力とか影響力とか(1)とかと関係してくるけど、元のデザイナーが「インスパイヤされました」と告白しない限り、クリプトンが「外見が似てる」と異議申し立てをするのは難しいというか、勇み足になるかも。かといって、問題が起きるまで座視してると「クリプトンは及び腰」と言われたり「クリプトンが文句を言わないのはディズニーが正しいから」という、海外の著作権争議でよくあるような展開になりかねないような。これで、ファイアボールのキャラクターが、

  • ツインテールが緑だったり、
  • ボディカラーが黒と灰色だったり、
  • マスターに歌を仕込まれる、歌が得意だったり、
  • 赤、青、黄色をイメージカラーとした兄弟姉妹がいたり、
  • ネギが好きだったり、

というようなことがあったりしたら、「類似点・一致点が多すぎる」として声を上げられるかもしれないけど、現状では攻め手としてはちょっと弱いんじゃないかと。


最後に(3)について。
これは過去のディズニーのやり口から言うと、ないとは言えない話。
ライオンキングのときは確か「偉大な作品にインスパイアされて」みたいなコメントをどっかで見たような記憶がなくもないんだけど、手塚プロ側は特に批判的なコメントって、してたっけ。どうだっけ。ライオンキングを巡って、ディズニー側がジャングル大帝とその関連品を訴えたという話は聞いてないけど、これは相手が「商業的な展開をしている先行作品」だったから、と見ることも出来る。ディズニーは同人誌とか自社キャラクターがメディアに使われることとかを、権利侵害として重視する会社なので、初音ミクのような「不特定多数の出自不明なキャラクター侵害w」が大量にあるようなものに向けて、何らかのアプローチをしてこないとも限らない。
こういうのは、一網打尽にするんじゃなくて、「目立っている誰かを権利侵害」として叩けばその他が萎縮するものでもある。先だっての「デッドボールPを叩けば、その他の類似侵害作品は萎縮して出てこなくなる、はずだ」という戦術と同じようなもの。
また、「ポケモン同人誌事件」や「ドラえもんの最終回同人誌事件」などのように、キャラクタービジネスを展開しているところは、国内企業でも「肯定的な同人」に対しても「見せしめ訴訟」をしばしば起こす。
デP事件のときに肯定意見(クリプトン支持)と反対意見(デP支持)に意見が割れたように、「うまくやって儲けた、有名になった」という、突出した事例というのは、それを輩出した市場からも妬みなどから叩かれたりするわけで。
ディズニーのやり方に無条件に賛同する人は天の邪鬼くらいしかないかもしれない、と思う反面、「初音ミクを知らない人が、ディズニーのファイアボールを先に見て、ディズニーによる「権利侵害の訴え」を知ったら、初音ミク的なモノをオリジナルだとは思わないかもしれない」というのは、笑えない話。
昔、知り合いにブレードランナーを見て『これってファイブスター物語のパクリっぽいですね』と言った人がいた。あと、サイレントランニングを見て『このヒューイ・デューイ・ルーイって、サイレント・メビウスのパクリですよね?』と言った人もいた*3
調べればどっちが先かというのはわかる話だけど、調べない人にとっては「目に付いた有名なほう、資本力の大きい方」が正義に見えてしまうなんていうのは、今更言うまでもなくよくある話。
もっとも、(3)的ディズニーが「白い初音ミク初音ミク」権利侵害として訴えるようなことが出てきたとき、初めて(2)のクリプトンの反撃が可能になるのでは、というような気もする*4


まあ、(3)が起きない限りは、(1)(2)は気にしないでスルーということになるのでは、というような感じ。
そもそもファイアボールがブレイクするかどうかわかんないし。
日本だと、顔とか手足とか臍とか尻とか胸とか、肉感的な露出部分がないロボットwは、萌えの対象にはなりにくいんじゃないかと思うんですが、どないなもんでしょうw

*1:ジャングル大帝とライオンキングとか、ふしぎの海のナディアアトランティスとか(ry

*2:日本はアメリカほど権利にうるさくないし

*3:というより、いずれもドナルドダックの三人の甥っ子の名前が正解。初出はドナルド→サイレントランニング→サイレント・メビウスの順。

*4:つまり、「ツインテールのキャラクターなんか、別に珍しくないだろ!」という(1)の主張が通るなら、(3)は同じ(1)の理論によって反論される。(3)が通るなら、(1)の理論によって、(2)の反撃ができる