物価高い話と概況諸々メモ

今更言う話でもないんだけど、食料品から何から物価高。
何年か後に読み返すための覚え書きとしてメモ。*1


2007〜2008年に掛けての物価高の主因は、原油価格高騰と中国。


まず、「なぜ原油が高いと物価が高くなるのか」について。
原油は「火力発電所の稼働」など、電力供給に必要であると同時に、自動車などの輸送システム(流通)、工場稼働などに必要な燃料石油と、プラスティック、包装用フィルム、印刷用インク、化学繊維、その他多岐にわたる「加工品原料全般」の材料となる、原料石油という2種の需要がある。
一般には原油=ガソリンというイメージしかわかないかもしれないが、可燃性合成樹脂(プラスティック)、ナイロンなども石油を「原料」にした製品であるわけで、日本のように製品加工が多い国では原料石油の需要がバカにならない。今回はそこが直撃されての「原油高による物価高」が大きい。

民主党の拒否による暫定税率廃止により、ガソリンの小売価格が25円ほど安くなる(これまで140〜150円ほどのところが、130円程度まで下がる)が、これは軽油を主燃料とするディーゼル輸送トラックが多い流通業界にとってはコスト削減に繋がらないし*2、同じくガソリンを燃料として使わない発電所、工場にも無関係。当然、原料石油が下がるわけではないので、物価高の歯止めにもならない。
また、原油高の原因は暫定税率にあるわけではないので、25円程度の価格差は、今の原油高原因が続く限り半年程度で元に戻るかそれ以上になる可能性がある。というか、たぶんなる。
焼けた石に涙を垂らしても、焼け石の温度は下がらない。



例によって無駄に長いので、ここから先はなるべく読まなくていいようにフォントは小さくしますw



原油高についての原因は以下の通り。

産油国(中東/アフリカ)の政情不安で、産油量が不安定。

政情不安の主因はおそらく以下の通り。

イラク問題
アラビア海の治安悪化
  • 中東からインド洋を回って日本に至るアラビア海周辺の治安状況が悪化している。中東とアフガニスタンを繋ぐ「海上ルート」は、テロリストがアフガンに「海からの物資輸送」を行うためのルートであり、これを発見阻止するために「海のパトカー」として多国籍軍の掃海部隊が監視に当たっている。
  • また通行する原油タンカーなどの船舶に対する海賊行為/テロ行為も増えており、アラビア海で各国のタンカーが被害を受けている。
  • 各国がそれらの警戒のためにアラビア海に派遣している艦隊の運用には燃料が必要だが、担当海域から寄港地まで戻る回数を減らし、警戒密度を上げるためには海上給油が必要。海上給油のできる能力を持つ国はアメリカと日本のみで*4アメリカとそれ以外の国の船舶では給油システムに違いがあるため、日本の海上給油はアメリカ以外のその他の国の船舶運用に欠かせなかったのだが、昨年秋、民主党の拒否によりアフガン警戒のための海上給油のための法律が失効。海上給油から日本撤退。
  • その後、参院拒否、衆院決議優先のみなし可決によって、特措法は1年延長され、再び海上給油再開。*5
スーダン問題
  • アフリカ最大の産油国スーダンの政情不安により、産油量が低下。
  • スーダン原油は主に中国が輸入しているが、スーダンの産油量低下に伴い、中国がそれ以外(日本を始めとする西側各国)の購入先でもある中東各国他の原油を買いあさるため、これによって原油価格そのものが高騰している。

中国の経済成長に伴い、中国の石油消費量が増えた

  • スーダン問題と絡んで、中国の原油購入量が増加している。
  • 中国国内の燃料(発電など)はもともと(そして現在も)石炭がメインで、中国国内では石油の国内消費量はそれほど多くもなかった。このため中国は石油輸出国だった。
  • 経済成長による燃料石油・原料石油の中国国内需要が増えた。人件費の安さを理由に「世界の工場」「安い製品」の供給もとが日本から中国にシフトしたことで、原料石油の消費地も日本から中国に変わった。*6このことが、中国の国内原油消費量を押し上げ、中国は1980年〜90年代以降から「石油輸入国」に変わっている。

石油投機筋による買い圧力

  • これらの石油情勢不安を受けた石油投機筋により、買い圧力が増したことが、全般に原油高騰を招いている。
  • 原油価格上昇が特にスピードアップしたのは、前述のアラビア海からの日本撤退の時期からで、石油投機筋は「日本の撤退によりアラビア海は一層不安定になり、石油タンカーの航行に支障が生じて原油運搬量が減り、需要に対する供給不足から、将来的な価格は上昇する」と見て、買い圧力を増した。
  • 風が吹けば桶屋が儲かるというのが具体的な形になって現れたわけで、「日本による海上給油撤退は、原油価格のバランスを崩し世界的な原料費高騰に結びつく」という当時の指摘通りに進んでいる。この引き金を引いたのは、民主党内の党内事情によるものだが、その直前の参院選で安倍政権が大敗した(=民主党主導による年金問題が優先された)結果を受け、小沢代表の民主党内に対する意志決定圧力が高まり、安倍政権が辞職したことが、今日の原油高と民主党の方針に近い政権運営を行う福田政権へのシフトに繋がった。

いずれも有権者が選んだ結果に基づいて今がある。

産油国が増産をしない

こうした状況にありながら、OPECを始めとする産油国は増産=原油価格低下/安定化に踏み切っていないため、結果的に国際的原油価格は上昇を続けている。



次に、原油高とは別の中国問題。
厳密には「別」ということもなく結構密接ではあるのだが、原油以外の点から。

中国が成長すると何が起こるのか

日本国内の経済成長(及び、高度成長とバブル期の経験)と団塊世代の高齢化が進んだ。これは、「高い給料を取る労働者の人数が増えた」ということ。
また、組合活動などにより「高い給料を取る労働者」の身分保障が進んだ結果、あらゆる面で人件費が高騰。加工品/製品にそれらの人件費が上乗せされるため、製品原価を安く抑えることが難しくなった。

この結果、高コストな正規社員の人数を抑制し、コスト削減(レイオフが容易な)に繋がる派遣社員の人数が増えた。これは一種のワークシェアリングでもあるのだが、団塊世代の「コストの高い労働者」が自然減するまで、人件費削減策はこの方法が続く。


また、コストの高い労働者による「人件費」は、リストラなどでも整理されたが追いついていない。自然減を待てない期間中の人件費圧縮は、人件費が安い中国などに製造工場を移したり*7OEMなどで賄われることになった。
中国は「教育の程度がある程度揃った労働者を、(日本に比べて)安い賃金で雇用できる」というメリットが注目され、日本のメーカーの多くが中国工場を持つに至った。*8


日本以外の各国の事情も概ね似ていて、「より人件費の安い中国に生産ベースや加工原料の輸入を委託」という形にシフト。
日本の場合、工業加工製品の輸出が多いけれども、加工前の原料/半加工品などを中国から輸入する依存度が高まった。*9
これにより、中国は「売り手」としての強みを「買い手」に強要できることになる。日本は中国からの製品の輸入量が多い大得意であるとも言える一方で、中国が「客は日本だけではない」と言い出したら、一転して窮地に陥ることになる。

中国による市場のっとり

昨今、冷凍食品(加工食品)問題で中国製品の輸入が落ち込んだが、それへの報復措置として中国はあらゆる原料/その他の加工品の輸出を制限してきた。バター/食肉/加工品・半加工品のあらゆるものにこれが適用されることになると、中国への依存度の高い国内メーカーは、数が少なく原価の高い「国内産」や他国産のものを確保しなければならなくなり、需要の高騰に伴って原料費も高騰する。
この原料費の高騰が、実際の製品の小売価格に上乗せされるため、物価は高くなる。特に、小麦製品、飲料など、元々の小売価格が小さいものほど、そうした原料高/原油高/人件費高の影響を受けやすく、自販機飲料、インスタントラーメン、パン、事務用品などの日用雑貨品の価格は軒並み上昇する。


中国のやり方として、それまでの供給価格の半額以下の原価で安い製品を輸出する、というものがある。それによって既存の「高い原価」の供給元が壊滅して、市場が中国の独占・寡占状態になったら、安い製品原価をいきなり元に戻す。「厭なら買わなくてもいい」と言われても、そもそも供給者が既に中国しか残っていないので、売り手に主導権を握られた買い手は、中国の言うとおりにするしかなくなってしまう。
これはかつて割り箸業界で既に起きている話で、決して悲観的な類推ではない。

なぜコンビニで割り箸を付けてくれなくなったか

もともと割り箸というのは「清潔を最優先」する日本にのみ存在した箸文化なのだそう。確かに箸文化のある中国や韓国などでは箸は使い回すものであって使い捨てるものではない。
このため、日本の割り箸需要を狙って、日本国内製品より安い中国製割り箸が市場を席巻。その結果、元々日本でのみ作られ日本でのみ消費されていた日本の国内産割り箸は「中国産に比べて割高」ということになって、急速に需要が低下。現在では供給の8割以上が中国産になっているのだが、需要をほぼ独占した時点で中国はそれまでの原価を倍にすると通達してきた。
これは「コンビニ、弁当屋などで箸を言わないと付けてくれなくなった」という形で現れた。また、それまでサービスとされてきた割り箸代が、形上はサービスながらもそのコストを製品のほうに入れなければならなくなったため、結果的に「割り箸をなるべく付けない」か、「割り箸代を製品に上乗せして値上げ」のどちらかの選択肢を取らざるを得なくなった。
安いモノに安易に飛びついた結果といえばそれまでなのだが、割り箸業界はこうして中国に掌握されてしまった。


別の批判として、「割り箸はエコじゃないので、これを機に割り箸から離脱すればいい」というものがあるのだが、これにも実は問題がある。
割り箸というのはもともと日本国内では間伐材で作られていた(マッチも同様)。間伐材というのは造林の過程で出てくる「未成熟だが製材用には使いにくい半端物の樹」のことで、建材用としてはほとんど値が付かず、タダに近い。が、切り出しにはそれなりにコストが掛かるので、割り箸やマッチに加工されてきた。
コストが掛かって、しかも中国産に押されて売れないなら、切り出さなければいいという話も出てくるのだが、樹というのはあまり密接に生えていると、一本一本の樹が太く育たない。建材として育てる場合ももちろんだが、治水の視点から見ると太い樹は深く根を張るので地崩れなどを起こしにくく、また高く育つので森の湿度を保つ=山がよく育つ。細い樹は根も浅く、地崩れを起こしやすく、梢も低いので保水力が弱く、結果的に山を乾燥させてしまうため、山が荒れる。
間伐は「使い途がなくてもしなければならない作業」なのだが、コストが上がりすぎるとそれもできなくなり、結果的に山が荒れてしまう。間伐材を使った割り箸というのは、そうした山を維持するための回収可能なサイクルの一環であった*10わけなのだが、そのサイクルの外からきた安い中国産割り箸の席巻は、結果的に国内産割り箸需要を減らし、間伐材の行く先を減らし、間伐材切り出しが進まなくなり、山が荒れ、地崩れなどの災害に発展する。
まさに「風が吹いて桶屋が儲かる」「中国産割り箸が災害誘発」という無茶な図式なのだが、あながち笑っても居られない話だ。

食糧確保が難しくなれば少子化は進む

日本の場合、耕作可能な国土が圧倒的に少ない。
このため、もし国内生産された食糧だけで回していこうと思ったら、日本の国土だけで養える人数は4000万人くらい(贅沢品以外の食糧が輸入されなかった鎖国時代の江戸中〜末期の人口がそのくらい)。
それももちろん現在のような食事情ではなく、「皆が平等に貧しい」という前提で、だ。
日本(これは韓国もそうだけど)の人口が増加したのは、「食い扶持を国内で作る農業国」から、「高付加価値の工業生産品を売った金で、海外から食糧を買う工業国」に変わったことで、食糧確保量が増えたからだと言われている。
これは、日本に併合されていた時代の韓国や、都内のカラスなどにも言える話で、人口というのは食糧の供給量(質ではない)にゆとりがあれば、放って置いても増える。併合前の韓国は維新前の日本以上に国民全般が貧困にあり、「食うに困って口減らし」が横行している世界だったが、日本向けの輸出を前提とした農作地の開墾(南部=韓国)、工業生産の開発(北部=北朝鮮)による外貨獲得能力と食糧供給の安定により、併合時代の韓国はその人口を倍増させている。(戦後、工業国にパラダイムシフトしてからの韓国は人口を増やし、農業生産が元々貧弱だったのに加えて工業力も衰えた北朝鮮は人口を減らした)
都内のカラスについて言えば、可燃ゴミ回収を週3回から週2回に減らし、カラスの餌になる生ゴミの露出時間を減らしたことにより、「餌がないので繁殖できる雛の数が限られる」という状態になったカラスは、自然減により個体数を減らした。浅草寺のハトも同様で、浅草寺でのハトマメの販売を取りやめ、餌まきの自粛を求めた結果、ハトの数は減っている。


物価高、品不足などで日本の食糧確保が難しくなった場合、「質を下げて量を確保する」か、「量を諦めて品質を確保する」かのどちらかを選ばなければならなくなる。
日本人が民族的性格として非常に潔癖/神経質であるのは、風土的に湿度が高くものが腐りやすく疫病が起きやすい気候であったことに起因している、という考え方がある。食べ物の品質(特に添加物など)に神経質であるのは、中国やヨーロッパなどのような乾燥した気候風土(=腐敗しにくい)では育たない感覚であるかもしれない。
特に食糧については質を下げられないとなると、自然、量も確保できなくなるわけで、そうなると食糧の供給量が減ることによって「繁殖できる子供の数」も減る。
少子化である。

アメリカの風下と中国の風下、どちらに付けば生き残れるか

もし、日本が今の生活レベルを維持しようと思うなら、4000万はともかくとしても(工業製品による購買力が続くのだとして)やはり7000万人くらいで安定するのが、国の実情には見合うかもしれない。
ただ、そうなると国際競争力は今よりも落ち込む。おそらく「小さな政府」にパラダイムシフトした今のイギリスや、イタリア程度になるかもしれない。
そうなれば、中国やアメリカと対等に競い合うことは難しく、今以上に従属/隷属的な国家関係を余儀なくされることになる。
それでもイギリスはP5の一角であり、「核兵器を持って民族自決が出来る崇高な国」であるけれども、日本はそういう国ではない。


現状、「アジアの覇権」を巡って中国と競合する位置にあるけれども、人口減=競争力減となれば、アジア各国は中華思想的ながら、中国を盟主として抱かざるを得なくなる。
そのとき、日本は「最後まで中国に抵抗した国」として、アジアの際末席に座らされることになるかもしれない。現在親中的な政治家の多くは、そうなる前に先に中国に媚びて、より上座の中国に近い席に座ろう、と考えているのかもしれない。
また、親米的な政治家は、中国がロシアに替わってアメリカに対抗する超大国に成長する可能性を念頭に、冷戦時代、対ソ連の橋頭堡としてアメリカにとっての日本の地位を向上させた*11前例を踏まえ、「対中第2次冷戦での、アメリカの橋頭堡」という地位に立とうとするかもしれない。朝鮮戦争とそれに続く冷戦は、戦後日本復興の重要な遠因であったわけで、それを考えれば親米的政治家の選択もまた間違いではない。

アメリカ共和党民主党、どちらが日本に都合がいいか

アメリカは、共和党民主党のどちらが政権を取るかによって、対日政策ががらりと変わる。一言で言えば共和党地政学的に言って「敵の敵は味方」という考え方をする。アメリカにとっての潜在的なライバルはロシアから中国にシフトしつつあり、中国を牽制するためには日本は必要、同盟しておくべき、というのが共和党の考え方。
対して民主党というのは中国を通商上の市場と考えてきていて、日本を「商売の上のライバル」と位置づける*12
アメリカは共和も民主も一国主義なところがあるのだが、米民主党はさらにモンロー主義というか、「アメリカ国内優先主義」の傾向が強く、米民主党が政権を握るようになると「アジアは中国にくれてやるから適当にやれ」という方向にシフトしていく可能性が高い。既に中国からアメリカに対して「西太平洋の管理を中国が行う」という提案が出され、共和党筋/軍はこれを拒否、民主党筋は「艦隊維持費の削減にもなり歓迎」という対応を示している*13
仮に西太平洋からインド洋にかけての管理=事実上の制海権=了解を中国が管理するようになった場合、日本、インドネシア、オーストラリア西部までの海域が、中国の影響圏になる。
中東から買い入れている原油を日本に運んでくるには、アラビア海、インド洋、マラッカ海峡東シナ海を含む西太平洋の安定が重要になってくるのだが、現在それを担当しているのは沿岸国+アメリカ第七艦隊。
これを中国=人民解放軍海軍*14が管理するということになるとどうなるか。


今、中国製加工食品、もやしの種、わりばし、その他一切の「中国の都合により差し止め」という報復が、原油輸送ルートに対しても適用されるようになる。
つまり、日本の原油高/物価高を中国が自由に制御できるようになるわけで、まさに「アメリカに見捨てられて日本オワタ\(^o^)/」となるわけだ。

アメリカ大統領選

話がようやく原油高に戻ってきた(^^;)
現在のところ、アメリカ大統領選はマケイン(共和党)有利で進んでいるが、日本国内では「オバマクリントンか(どちらも民主)」という話しか出てこない。最近、その話もニュースに上がらないのは、マケイン勝利の可能性がさらに高まっているからだろうと思われる。
マケインの分、まだマシということでもあるわけで、対中協力策に比べて対日政策が非常に貧困である民主両候補のどちらが勝っても、日本が困ることになるのは明らかなのだが、共和党が強いうちはそのへんは安心していいかもしれない。


現在、アメリカ議会は民主党が多数派なのだが、アメリカの場合、大統領は議会に対する拒否権という強力な権限を持っているため、与野党逆転の可能性がある二大政党制であっても政権運営に大きな支障は出ない。
日本の場合、議会決定に対して総理大臣が拒否権を発動することはできないため、議会を掌握する数の論理が重要になってくるのだが、現在の「衆院参院の勢力分布が逆転している」ような状態で、なおかつ参院衆院の優先に異を唱えるようなことが起きていると、何もかも決まらなくなる。現在、衆院は与党が2/3を持っているため、参院が60日がんばっても衆院優先により再議決はされるものの、何を決めるのにも2カ月掛かるという状況になっていることには違いはない。
では、「いっそ民主党に全部投げ渡してしまえばいい」のかと言えば、民主党は【国会開催期間中の国会議員が、国会を休んで中国に大訪問団を派遣する】ような党であるわけで、先に挙げた「中国のいる上座に、少しでも近い席に座ろうとする」という方針であるわけだ。


隷属しないで好きにしたい。そのためには?

どちらが正しいとか間違っているとか言ったことは言うつもりはないんだけど、「自分がしたいことを、少なくとも他人の都合になるべく合わせずに自由にできる」という状態がキープされるべきだと思う。
日本はアメリカの言うなり、今更中国の言うなりになっても大して差はない、という意見もあろうけど、少なくとも日本は米産牛肉の輸入を差し止めたからといって、米産のその他の製品一切が差し止められるとか、そういうことは起きなかった。その意味で、アメリカは中国よりは信頼できる。


現在の与党や政権にも親中的な政治家はいるわけなので、デジタルに分けることは難しいけれども、「福田政権は親中・媚中だから拒否する!」と拒否した結果、さらに親中・媚中な民主政権を支持するわけにもいかず。




……ところで、物価高の話はどうなったのかというと、結局のところ原油高・物価高の話を始めると、どうしても中国と対中/対米政策の話に繋がってしまい、「そんじゃ、どうする? 民主党入れるの?」「えー」という話に繋がってしまうのだった。






医療保険が増えた話とかはまた今度書く。>母へ

*1:書き忘れ、訂正はその都度追記。

*2:軽油も安くなったらしい、という指摘があったので修正。でも、価格上昇速ペースが緩んでないので、この値下がり分が吸収されるのには、やはりあまり日数は掛からないかも。すでに去年の今頃よりリッターあたりで30〜40円以上上がってる気がするし。そういえば、暫定税率分下がった分は、減税というより「税収減」なのだけど、そのしわ寄せはどこに行くんだろうと思ってたら、主に地方の道路建設・道路維持・施設維持費が、1/20〜1/30くらいになってるらしい。東京都の場合で、前年度1700億くらいあった予算が今年は75億とかみたいな。これらのうち、「破損した道路の修繕費」とかもさることながら、北陸東北あたりでは雪害対策費もここから捻出されているのだそうで、この状態(或いは税収減)が続いた場合、冬になってから大変なことになりそう、という予測が立ってるのだとか。また、道路関係で雇用されていた派遣さんが一斉に失職したりもしてるらしい。東京都などは独自課税を検討しているということで、おそらく暫定税率喪失分は、地方行政の独自課税で元に戻るということにはなるかも。だとすると、これはこれで地方への税収委譲か。だが、この混乱をして「国民は何も困ってない」と言い放つ小沢一郎には、ちょっとセケンの空気を吸いにこい、と言いたくなるかも。

*3:抑止力として以外の、内戦抑止の実効部隊はすでにイラク軍/イラク警察が機能しだしてるとのこと

*4:もしくは、能力があっても海上給油できる船舶がないとか。自国周辺以外に投入できる余力があるのはアメリカと日本のみ。

*5:アメリカの無料ガソリンスタンド」とか「アメリカのアフガン侵略の片棒を担ぐ」とかいう批判は、近視眼的かつ状況の構成要素への踏み込み不足から来る、結論ありきの批判に見えた。自分も含めて、情報収集不足の段階で結論を急ぐのは拙速。

*6:百均、GreatValueなどにあるような「安い製品」「デフレ」「価格破壊」を求めたのは我々自身であり、それを追究したことが中国への依存度を高め、中国の原油必要量を押し上げた。その意味では、因果応報。

*7:この、「生産拠点の中国への移転」は、結果的に日本の産業を空洞状態にしたのと同時に、一連の原料/技術の中国への移転・流出に繋がった。シャープが亀山工場に技術を集中し、国内産に回帰しているのは、技術漏洩/流出を防ぎ、技術的優位を保とうという狙いから。

*8:その他の人件費圧縮策として、「海外からの単純労働者受け入れ(経済同友会)」などの提案もあるが、これは、国内に生産拠点を戻してカントリーリスクを軽減したいが、日本人を雇用するのでは人件費コストが抑えられないから、中国に工場を持つ場合の最大のメリットだった、人件費の安さを日本国内に招き入れることで、「情報漏洩・技術流出を防ぎつつ、人件費コストを下げよう」という狙いから来るもの。これらは国内の「少子化」「労働力不足」「ニート・フリーターが働かない(という幻想)」と合わせて、労役=奴隷として外国人単純労働者の受け入れを正当化しているのだけど、「言語・習慣の壁」や「日本の生活コストの異様な高さ」を念頭に置くと、外国人単純労働者の生活レベルを押し上げるか、暴動を許すかどちらかを祖uteしないとならなくなる。生活レベルを押し上げる(社会保障も含めて)となれば、これは最終的には「移民に仕事を与え、国民から仕事を奪う」という環境を作ることになる。これはナチス台頭直前のドイツ国内の雰囲気(対ユダヤ)や、今現在のフランスの雰囲気(対イスラム系移民)とまったく同じで、その後に起きてくるのは「移民によって職を失った国民が大きく右傾化し、移民vs国民間に緊張と対立が生まれることに発展していく。単純労働者受け入れ=移民受け入れと考えた場合、文化摩擦の他に、「職場を脱走して潜伏する外国人犯罪者」への対応策も必要になってくるわけで、治安コストはどこまで上がるかわからない。

*9:もやしの価格が高騰しているという話が出ているが、これなどは原料である緑豆種の9割が中国からの輸入に依存しているため、中国がそっぽを向けば豆は一粒も入ってこなくなる。

*10:割り箸が作られるようになる以前はどうしていたのかというと、それ以前の間伐材は「薪」や「炭」の材料になっていた。炭というのは完全に乾燥した木材ではなく、生乾きの木材を蒸し焼きにして作るものなので、切り出した間伐材が材料に適していた。建材製材以外の職業としての前近代以前の「樵」という職業に「山の炭焼き」のイメージが遺っているのもそのせい。大正末期から昭和以降は薪、炭の需要が減った。また、建材育成のために杉を植えるようになったため、薪炭ではなく割り箸やマッチの軸が作られるようになった、という経緯のよう。

*11:だからこそ、敗戦国でありながら、アメリカにとって重用すべき安全保障上/経済上の同盟国にのしあがった。国外から見た戦後日本の奇蹟というのは、対米戦で完敗しながら、対米的に対等に近い位置にまで立ち戻ったことを指すのだが、そのことについて日本人自身がもっとも鈍感だ。

*12:オレンジ計画もそうだけど、二次大戦の日米戦争の遠因は、米民主党選出のルーズベルトにとって、中国市場を日本から奪うことに大きな意義があったから、というのがあった。

*13:これもあって、中国及び北朝鮮は、民主党の勝利を期待している。

*14:人民解放軍は、中国の国軍ではなくて共産党の私軍。軍事費を自己捻出しているため、共産党本部に対しても発言力が強い、世界最大の軍閥である。