小林興起ドサ周り

今日、打ち合わせのために駅前に出かける途中、家を出てすぐ外に、なんかどっかで見たことのあるおっさんが立ってた。
薄らハゲ髪は控えめで背は低く、20代半ばかもう少し若いくらいの若造青年を二人ほど連れていた。
誰だっけ。誰だったかなあ。
と、青年が持っているポスターを見たとき、合点がいった。
小林興起、本人だった。
新党日本とかなんとかの。あれ? もうないんだっけ? 新党日本*1
前の総選挙のとき、僕の選挙区は「現職・小林興起」と「刺客・小池百合子」の一騎打ち会場だったのだった。池袋西口マクドの脇にある建物の、一階が小池陣営。その隣のビルの二階だか三階が小林陣営。
あのとき、党を割って出なければ、古賀誠くらいとは言わないまでもまだ立場があったのかもしれないのに、英雄的な何かとか理想を求めた何かとか、そういう魔に魅入られた何かがあったのか。時が時なら旗本身分のお殿様ながら、今はポスター貼りと顔繋ぎ行脚を自力で徒歩で、しかもお連れの中間は若いのが二人だけという寂しさ。
もし、駅前で編集さんが待ってなかったら、多分呼び止めてたかもしれない。敗軍の将でも将は将。あんなに落ちぶれちゃっても政治家に戻りたいという人の心の内というのは非常に気になるところだし。
まあ、選挙が近いって思ってるんだろな。


打ち合わせ終わって帰ってきたら、家人が「小林興起が来たよ!」という。どうやら僕と入れ違いに「家庭訪問」に来たらしい。
「ご挨拶に回っておりまして、お顔を拝見できればと思い云々」
本人がインタホン押してそれを言うらしい。
どぶ板は自民党の伝統的な戦術だからそれはそれで驚かない。前に中野のアパートに住んでた頃に、うちのアパートに粕谷茂本人とかが来たことがあって、上がり込まれて名刺貰ったのだけど、そのときだってお連れの人は結構な年輩の人&人数も結構いたような……。
世間的に名の知れた、或いは顔の知れた政治家が来ちゃったりすると、だいたい舞い上がったり驚いたり「素顔の人柄に触れてほにゃらら」で情にほだされたり、「テレビではあんなだけど、本人に実際に会ってみるとなんたら」で情にほだされたりしちゃって、小銭みたいな数であっても票が稼げたりするっていうことなのかもしれんなあ、と粕谷茂のとき憐憫の情を持ったりしてしまったのだった。


民主党現代表・小沢一郎は、さすがに「古い自民党の中枢」に長くいただけあって、こういうどぶ板をやる人で、先の参院選などでは国会を休んでまで地方行脚をしていた。国会議員は国会開催中は国会に出ろよとか思うのだが。議員の歳費=給料は、国会の仕事をするために税金から支払われているのであって、国会開催中に私党の運動をするためにあるわけではないのだがなあ。
で、この地方行脚というのは「地方で講演をする」「地方の政治家の後援会に顔を出す」「地方の街角で演説」というのもあるのだろうけど、そういうマスに向けたアプローチよりも、「家々を直に回る」というものであったりもするらしい。
そして、今述べたように「テレビの有名人が、いきなりウチに、直にくる」ということになると、やはり市井の人は舞い上がって同情してしまうのだ。もちろん、「小沢さんに直接会った、案外いい人だった」というような喧伝をしてくれるところとなり、その上がり込んだ家を起点にまた、得票の波及効果が見込める、というカラクリ。
これ、住民の移動が少ない地方や、同じく住民が定植しているベッドタウンなんかでは効果があるらしい。
アパート住まいの学生が多いようなところや、オートロックのマンションの多いような都心ではこれができないから、都市の有権者は「テレビと新聞とラジオとネットと、そのときの気分」で投票し、土地に根を下ろした地方の有権者は、便宜供与を図ってくれるか顔を見せに来た候補者に票を入れる、という図式になる。
古い自民党は、「便宜供与を図る」という取引で、地方有権者の票を固めていたんだけど、その古い自民党のやり方を踏襲しているのが今の民主党で、実際そのやり方で今の自民党に迫ってきているというのが現状。
恐らく自民党が票を減らしたら、今までの(小泉・安倍時代)やり方はやめて、古い自民党のやり方に回帰していくだろうな、という気もする。自民党が捨てた「古い自民党のやり方」で、今の民主党が実際に票を稼いでいる以上、議席を取り戻すには「古いやり方のほうが効果的」という判断にもなるのだろうし。


話は戻って小林興起
打ち合わせが今日じゃなかったら、絶対に引き留めてたのになあ。
今日回る予定の他の予定が全部潰れるくらいの勢いで。
そいで、散々ふんふんと話を聞いた上で「でも僕、小池百合子に入れたんですけど」とか言ってたかもしれんなあ。

*1:現在の所属は国民新党らしい。