平常運転で原稿読み

日記には楽しいことか楽しんでいることか楽しみなことしか書かないと決めている。
仕事のネタをときどき書くけど、僕にとって仕事はどちらかといえば楽しい部類に入る。
このGW中はデータ漁りの他は、ずっとゲラと原稿読んでた。
特に原稿読み。


実は、規模で言うとあれやこれやで文庫3.5冊5.5冊分*1相当の完成原稿が手元にあって、凄い勢いで消化を進めているんだけど、これがもう面白いのなんの。仕事なのに。
もちろん、そのまま素材のままでドンと出せるなら編集屋という仕事は世の中になくていいわけでw、粗探しをしたり、細かいとこをあれこれチェックしたり、ケチを付けたり、著者と精神的なとっくみあいになったり、疎ましがられたり、肩を抱き合って夕日に染まった砂浜を猛ダッシュしたり、叫んだり(夜中に)、組んだり、汲んだり(意向を)、といろいろ苦痛を伴う作業もあるわけなのだけど、それを置いても「作者以外では最初に読む(たぶん)」というのは編集者の特権というか、それ以外の全ての苦行へのご褒美だよなあ、と思う。
なんだかんだ言って、本好き活字好きだからこの仕事になっちゃってるわけなんだろうし、その意味では幸せな商売なのだろうなあ。


どんな仕事でもその根っこの部分ではそうなんだろうけど、そこに楽しさなり面白さなり、何らかの「自分にだけわかる深さ、やり甲斐」みたいなものがなきゃやってらんないというのは同じだろう。
出版の仕事は、これが著者であれ編集であれ、完成品の価値が消費者=読者に伝わって、わかってもらえて、そして次も買って貰えてナンボ、というところがある。実話怪談の場合は、そもそもの入り口の部分に体験者という除外しがたい重要なファクターがあるわけで、これを抜きに「俺のサクヒン」などとは言うようになったらヤバイ*2
編集者的には「楽しめた、この楽しさをもっと多くの人にも知って貰いたい」というのが、苦行を乗り越えるモチベーションの源にもなっていて、このGWは特にモチベーション大補給大会になっている。
趣味のために家を出たのは後頭部痛打したあの一回だけだけど(連日天気が絶好過ぎて腹立ったけどw)、これはこれでGWを楽しんでいる、と言えるんだろうな。たぶん。うん。仕事好きだし。


やっぱスゲエよ、著者の皆さん。
この人達の原稿に奉仕できるっていうのは編集者として幸福だな。
冥利に尽きる。

*1:2冊、怪談以外の仕事1冊と自分の本を数え忘れてたorz 夏まで生き延びられるかしらん。

*2:著作物に責任を負うことと、手柄を主張することと、どちらに軸足を置くのかっていうのは悩ましいところだろうと思う。