訪問販売とかマンション販売とか

居職をしていると、平日昼間にはいろいろな人が訪ねてくる。
一番多い(ような気がする)のは宗教販売。じゃなくて宗教勧誘。前にも書いたけど、どういうわけだか道を歩いていても家にいても駅前をふらふらしていても、やたらと宗教の人に声を掛けられてしまう。
この近辺には日蓮上人系の新聞を自宅前に「ご自由にお取り下さい」と置いているようなお宅もあったりするのだけど、家まで訪ねてくるのは圧倒的に聖書系が多いような気がする。
「聖書についてご存じですか」とか「パンフレットを置かせて頂けますか」の類。前はインタホンを挟んで宗教問答になるようなこともあったりとかしたんだけど、最近は向こうも面接勧誘はあまりしないようで、パンフレット置き逃げ(そして一カ月ほどそのまま雨ざらし)というケースが多いような。
聖書については「ギデオン版でよきゃ持ってるし内容も読んだが、人生をマニュアルに添って過ごせという考え方は僕には合わないので、それが必要な人のところに行くべき。宗教は救いを求めている人に必要なものとして否定する気はないけれども、相手が救いを求めている人間に見えるのかどうか、その判断基準はいったいどのような根拠に基づ」
だいたいこのあたりで切られるか逃げられる。もうちょっとお話してほしい。日中の一人仕事は寂しい。


新聞勧誘は一頃激減したんだけど、最近また見かけるようになった。
スタンダードな手口としては、「このへんはみんな○○○新聞なのでこちらもどうですか」とご近所との距離感を引き合いに出す手口なのだが、これは最近はあまり奏功しないらしい。なぜなら、都会暮らしをしていると、「ご近所づきあい」そのものが希薄なので、見知らぬご近所と話題を合わせなければならない必然があまりないからだろう。
また、「洗剤を付けます」「西武球場のチケット」「豊島園の割券」というのもまだまだいないこともないんだけど、それを使った勧誘の人というのもどうも減っている様子。そういえば、洗剤を付けたりするのっていうのは「販売所から勝手に持って行ってしまう」んだとかいう話を聞いたことがあった。
毎日新聞の超減益*1や、押し紙問題や、販売所の減少などいろいろ大変なのだろうけど、「でもウチいらないし」の一言で済ます。
前は「○○○新聞ですけど」と最初に名乗っていたのが、最近は「今、ご町内を回っていまして」としか言わなかったりする。このへん、紛らわしい。住宅街だとそして住人にお年寄りが多い町柄か「新しいレストラン*2が開店しましたのでご挨拶に参りました」なんつって、割券や招待券を配るケースがあるため、それを当て込んだドアの開けさせ方なのだと思う。
いろいろ手口を考えてるなあ、と日々感心する。あの工夫とか努力とかは見習いたい。


訪問販売では「化粧品」などもあるのだけど、平日昼間のドアを開けて頭が緑の中年が応対に出ると、相手は戸惑って「こちらにお化粧をなさる方はいらっしゃいますか」と言うので「うちにはいません」*3と。たぶん、相手もその言葉を待っているんだろうと思う。だいたい、ホッとした顔で「そうですか、そうですよね」と帰っていく。いっぺん「僕がします」と言ってやりたい気持ちが湧き上がってくるのは、たぶん予備自衛官だという古い知人が、路上でキャッチに「そこのお兄さん!」と声を掛けられて、即座に「お姉さんだが何か」と返したことが記憶に残っているせいだと思う。若い頃に、男子トイレから出たら「女子トイレ使えよ!」とヤクザに真顔で凄まれて「すみません、男子ですすみません」と謝ったら「おっ、おおそうか。すまんな。オンナかと思った」と言われたような経験があった*4。あれからできるだけ意識して無精髭を残すようにしているせいで*5、最近はそういうこともなくなった。


そして今年に入って急激に増えたのがマンション販売で、これは飯時に掛かってくる。だいたい8時からヘタすると10時近い夜で、「帰宅時間」とか「絶対に家にいる」というのを狙っているのだろうと思われる。平日昼間の勧誘は一人仕事で寂しいのでお相手もするけど、夜、飯時の勧誘はほんとがっかりする。
飯が冷える。蕎麦がのびる。酒がぬるくなる。
彼等の用件の要旨は、
・今マンションが安い
・居住用ではなく、賃貸に出して収益を上げる資産としてどうか
・頭金不要
・月当たりのローン返済額よりも高値で人に貸せば、実質ローン支払いは不要な上、お小遣いも入る
・ローン完済後は賃貸収入がそのまま年金に
というもの。たぶんテンプレがあるんだと思われる。販売会社が違っても、ほぼこのテンプレを完全踏襲している。
アパート住まいのときには掛かってこなかったのが、今の家に住むようになってから俄然増えたのだけど、いったいどこから「都内在住」「賃貸ではない」みたいなデータを取っているんだろうか。


……それにしてもマンション売れてないんだなあ。
今、35年ローンでマンション買って、それで入居があって家賃収入が途切れなきゃいいけど、入居がなかったり途中で途絶えたり*6したら、それは年金どころかまるまる家計を圧迫することになるというリスクもある。だいたい、35年後にローンが完済できたとして、築35年のマンションがどれほどの家賃を取れるのか、とゆーことも説明されない。
マンション経営にはいろいろリスクも伴うというようなことを、あまりにも何度もマンション購入勧誘が来るもんだから、思わず調べてしまったというw
で、最近では話の冒頭で何の要件か判るようになってきた。
「今、羽田近くの……」
「ああ、マンションですね。安いんですね。今購入すればローンは賃貸収入で賄えるんですよね。景気が回復したら転売して資産化できるんですよね。完済後は年金として活用できるんですよね」
「あの、うちの会社から既にご連絡とか……」
「いえ、よくわかります。よーくわかります。得な物件ですよね。持っているだけで利益が入るような」
「そうです、そこでですね、あの」
「なぜ御社でマンション経営をされないんですか。売るより自社でマンション経営されたほうが儲かるじゃないですか」
「あの……」
「リスクについての説明はなさらなくていいんですか。確か必要だったはず」
「えーと……」
踏みとどまって食い下がろうとする人もいるけど、やはりそこは「ああ、ここはダメだ」と切り上げて次に行ってくれたほうが、お互い時間の無駄にならなくていいんじゃないかなあ、とか思うのだった。

*1:2年前と比べて経常利益が50%くらいになっているらしいのだけど、世界恐慌・新聞購読人口の減少だけなら、読売・朝日・日経・産経の各社も同程度の減少比率になっているはずで、毎日だけその幅が大きいのだとすると、やはり昨年夏の「毎日変態新聞事件」の際の広告減収が大きく響いているのではあるまいか、と思えるけどどうなのそこんとこ。

*2:ファーストフードや、フランチャイズ店など

*3:嘘はたぶんついてないw

*4:しかも最初の結婚の直前頃

*5:あまりヒゲが伸びなくて苦労した

*6:例えば、店子さんが部屋で自殺してたり、刃傷沙汰になってたり、何らかの事件の現場になってたりという怪談ではよく聞くような事態とか