都議会選挙

……あれっきり、○○○実現党は何も言ってきませんよ?


という話はさておき。
「都議選で自民が負け越したら、いよいよ麻生政権は危ない」
というような観測が出ているんだけど、僕の記憶に間違いがなければ*1東京都議会って最初っから民主党都議連が多数派与党だったはずなんだけどな?
そして、総選挙と都議選を単純比較するのもちょっと乱暴なのではと思ったりもした。
総選挙=衆議院選挙というのは、小選挙区比例区で争う選挙で、小選挙区=「選挙区から一人しか議員が選抜されない選挙」で、たったひとつの椅子を争う椅子取りゲームである。
だから、そのときの党の勢いによって、オセロのように議席がぱたぱたと塗り替えられてしまう。これは2005年の郵政選挙が顕著な例で、東京選挙区のほとんどは自民党選出議員が締め、民主党菅直人以外はほぼ全滅した。
ただ、小選挙区制というのはその救済制度的な意味合いを持つ比例区というのがあって、要するに有権者は「小選挙区比例区」ふたつの選挙権を持つのと同じ、ということになる。
自民と公明が連立(選挙協力)をする選挙で、
「選挙区は自民へ、比例区は公明へ」
というフレーズを展開したのは、選挙区分を自民、比例区分を公明が分け合う形で双方が議席を確保しよう、という与党戦略だ。
実際の投票行動としてはどうなったかというと、
「選挙区は自民(或いは民主)、しかし自民に権力が集中するのは不健全なので、比例区は民主」
という投票行動が行われたケースが多かったようだ。
事実、東京他で壊滅した民主の現在の衆院議員のほとんどは、比例区選出になっている。つまり、「バランスの取れた二大政党制」という考え方から、比例区を民主にした、という人が多かったということだ。
今度の衆院選は前回と完全に逆転するのではないか、比例区も自民ではなくなるのではないか、という観測報道がされているのだが、この辺については都議選の話から脱線しすぎるので日を改めて。


で。
都議選は、小選挙区制ではない。
ひとつの選挙区(市区町村*2)に最小で1、最大で8の議席があり、これを争う形になる。
つまり、中選挙区制に近いというか。
この議席数は恐らく居住住民人口で割ってるのだろうと思われる。
例えば23区内に限ると、ベッドタウンで住宅街を抱える大田区・世田谷区は定数8。対してオフィス街で居住人口が少ない千代田区中央区は定数1、といった具合。

豊島区の場合だと、定数は3議席
これに対して候補者は5人いて、届出順に民主党自民党共産党公明党幸福実現党*3
もちろん、有権者=選挙人の持つ投票権は1のみなので、「5人の中から一人選ぶ。上位3人が当選」ということになる。
つまり、「不人気な下位二人が落選」ということになる。恐らく幸福実現党はほぼ落ちる気がする。公明党幸福実現党はともに宗教団体が支援組織としてあるわけだが、このへんは信者の人数、動員力、資金力などなどがものを言う。宗教団体の政治的動員力で言うと、過去にオウム真理党*4などがある。規模で言えば幸福実現党より遙かに小さいが、それでもそれなりの動員力はあった。*5
が、集票力で言えば、信者の人数は微々たるもので、それを遙かに超える票を抱え込むのは難しかろうと思える。ので、足切りの一組目はまず幸福実現党
そして残りは、となる。

民主党自民党公明党共産党という選択肢から、どれかひとつを選べという設問だったら、今なら民主党を勢いで選んでしまう人も多かろうと思う。
選挙ヲチャーだの、テレビ・ラジオ・新聞・駅売りなど以外で積極的に情報を蒐集する暇人ばかりではないわけで、「今は民主が流行り、自民はダメ」と連日連呼されれば、「そういうものか」「みんなに合わせとこ」という人が出るのは致し方ないところだ。そもそも、忙しくてやってる暇がないから、政治の専門家に任せて委ねるのが選挙であるわけで、僕を含めて大多数の有権者は政治的に素人であるのは当たり前なのだ。
では、民主が選ばれたとして定数は残り2。
自民、公明、共産でどれを選ぶ人が多いか? という問いになる。もしくは、どれが一番不人気か?
自民党民主党と比べて不人気と言われているが、それではそれは共産党公明党よりも不人気か?
昨日まで、自民党に入れてきた人が、突然翻って共産党公明党に入れる可能性はあるだろか?
自民党に入れてきた人が、民主党に鞍替えする可能性というのはなくもない。民主党は国政は気が狂ってるwけど、外国人参政権以外の地方自治については、自民党とさほど大きな差があるわけではなく、自民・民主ともに賛成多数で通過する議案も多い。その意味で、地方選挙では自民から民主への乗り換えは比較的容易であると言える。
しかし、自民から共産・公明他への乗り換えはどうだろう。


公明党は連立与党に残るために自民党選挙協力を行ってきた。ただしこれは比例区がある国政の話で、そうしたものがない地方選挙では、選挙人には一票しかないのだから票をバーターするような形での選挙協力はできない。
そして、公明党の票田というのは支持母体の信者によるローラー作戦+知人縁故の抱え込みという奴で、毎回ほぼ安定した数字になっている。
これは労組選挙を行う共産党も同じで、組合員を抱え込んだ数字がそのまま票田になる。
投票率が下がるとこうした固定票田を持っている公明党共産党は、固定票田の締める割合が高まるので有利になり、固定票田を持たない或いは浮動票に左右される党は不利になる。
以前の自民党は固定票田もそれなりにまとまった数を持っていた。例えば医師会、看護師会、歯科医師会、などの医療系や、農水関係などなど。これはそれらの団体による陳情を、与党=政府と官僚に伝えられる立場、という利権が存在したためなのだが、自民党が与党から転落するかもしれない、となるとそうした陳情の持ち込み先は自民ではなくなるわけで、これまでの自民の固定票田もまた、民主に乗り換えようとしてくる。
そうした固定票田の有無を踏まえた上で、自民の得票が公明・共産の固定票を下回るのであれば、自民の地崩れは起こり得る。
起こり得るのだが、現状から考えると、公明・共産の信者・組合員的党員の人数を下回るのは、いくらなんでもマスコミの希望的観測に過ぎる予想に思える。


というのを踏まえると、都議会選挙は民主が与党である現状*6から、さほど大きくは変わらない。自民は恐らく一人区をそれなりに落とすが、複数定数区でボロボロ落ちるということはないような気がする。*7



そういうわけで、選挙は行こう。行っとこう。
留意点として、地方選挙は国政選挙とは政治的争点が異なる点。外交問題、安全保障問題は地方選挙には関係ないはずだが、国政の争点を念頭に地方選挙を考えてしまうのはあまりただしくない。

が、今回の都議選に限れば、民主党が国政で政権を担当するようなハメになったときに、自治体が民主党優位だったりすると、外国人地方参政権が一気に進む。外国人地方参政権地方分権道州制による地方への権限移譲)が進むと、日本国籍を持たない外国人が多く居住している地域は、住民投票によって日本からの独立、または他国への信託統治依頼もできなくもない。*8
これについて、賛成の人は民主へ。
これについて、反対の人は自民へ。

立候補者一覧|東京都議会議員選挙
http://219.109.9.35/miraijin/election/candidacy_list.html

*1:選挙ヲチャー

*2:ただし島嶼部は複数の島を合わせて1議席

*3:このへんは新党日本小林興起のお膝元のはずなのだがw、新党日本はなし。国民新党もなし。社民党もなし。

*4:言わずと知れたオウム真理教の政党だが、石原伸晃の初選挙の頃で、西武新宿線沿線に道場があったこともあってあの辺でよく象のかぶり物の集団を見かけた。

*5:というか、この場合の動員力は集票力というより、選挙活動の頭数。選挙に関わる人にはカネを払ってはいけない=全てボランティアでなければいけないので、タダ働きしてくれる人をどのくらい集められるか=動員力というのは、けっこう重要。だから宗教団体=信者、労働組合=組合員を抱えたところが強いと言える。

*6:繰り返すけど、都議会は民主が多数派与党だった気がする。

*7:つまりそれだけ、共産、公明他の締める影響力は低下している、と見ている。社民? えーと、なんだっけそれ。

*8:極論に思えるかもしれないけど、チェコスロバキアの分割は住民投票で行われたし、インドネシア東ティモールの分割も同様。ハワイ王国アメリカ合衆国への加入を決めたのも、手続き上は「外国人(アメリカ人)知事」と住民の合意による。前例はあるのでできなくはないし、アメリカとの安保条約に代わって中国と安保条約を結んだらどうかとか、沖縄を日本から分離独立させて中国の信託統治を受けさせてはどうか、なんていう政策論もある。民主党のサイトの中に。