HTV、把持成功!
HTVは、2009年9月18日4時51分*1、ルーマニア上空でISSのカナダアーム2に
アームによる把持の瞬間、思わずライブで生唾。
この後、7時頃にノード2*2との結合が行われる予定。
途中、ISS側のカナダアーム2のモニタ映像が不通になるというトラブルが起きたが回復。
地球の夜に入ったところで、視界はかなり暗くなったが、アームはマニュアル操作によってHTVを一発で掴んだ。
しかし、把持予定ポイントまでは一切トラブルなし、完全にスケジュール通りに進行したのは凄いことだと思う。
予定外のことが起きてはいけないミッションなのは当然だとしても、ここまでスケジュールを完璧にこなすという辺り、「日本人怖ェー!」と驚き戦かれているかも。
さてこのHTV。
ISSへの補給能力としては、スペースシャトル(米)、プログレス(露)、ATV(欧)に続く4カ国目となるが、欧州のATVはプログレスの技術をベースにしたものなので、独自技術*3でのISS到達としてはHTVは三カ国目*4となる。
つい最近も書いた気がするがw、プログレスとATVはドッキング用ハッチの直径が80cm(丸)しかないが、HTVは1.2m四方の四角いもの。このハッチの大きさにはかなり重要な意味があって、2010年のスペースシャトル退役後は、直径80cmよりも大きな容積を持つ大型機器をISSまで運搬する能力がある宇宙機は、H2B+HTVしかなくなる。世界で、HTVのみになる。
責任重大なのである。世界的に。
この重要な技術について、鳩山政権は「予算減額」「JAXA再改編によって政府内に統合」を目指すらしい。
価値がわかってんのか怪しい。
中国や韓国などに「東アジアの技術的発展のため、友愛の精神を持って技術供与」なんてことをやらかしかねない。
中国のロケット長征シリーズは、もともとロシアのICBMの技術をベースにしたもので、現在も「ICBMの天辺に有人カプセルを付けたもの」と言えるものではある。
韓国初の国産ロケット*5もロシアの技術をベースにしている。
日本のH2Bの前身はH2A。その前がH2。JAXZの前身であるNASDAが、ほとんどブラックボックスばっかりというアメリカの液水ロケット技術を習得し、そこから死に物狂いで純国産化を目指し、純国産化という技術習得を経た上で、安価な国際共用部品も用いてロケットそのものをコストダウン。数度の打ち上げ失敗なども経験し、その教訓を反映させてエンジンの信頼性を向上させた。*6
気前よく、ポンと差し出したところで、たぶんロケットに関してはロシア系の遺伝子を受け継ぐ中国も韓国も、ポンとは使えない。
これは揶揄や卑下ではなく、ロケット打ち上げはロケット本体、エンジン、燃料など以外に、管制方法までひっくるめてそれぞれの方式というものが異なる。技術・方式も概念も管制システムも根本的に異なるロシア系の技術を進める国に、日本の技術を供与しますというような安請け合いをしたところで、恐らくそれまでの蓄積の上には乗りにくい。まあ、うまく使いこなされても困るけど。
日本のロケット技術者の執念から生まれたH2B。
厳しい条件、安い予算から育まれた日本のロケット技術。
独法だから無駄遣いしているとか、失敗したら幾ら損をするのかとか、いろいろ叩かれてきたNASDA、JAXA。実際、台所は火の車。
ペンシルロケットの昔からそうだけど、日本のロケット開発の歴史は、「不理解と貧乏」の上に築かれたと言っても過言ではない。
ようやくここまできたH2B。
今回のドッキング*7が成功できて、与圧部のパッキングなども確認されれば、そしてこの先年1回、計7回の物資輸送計画を完全にこなすことができれば、与圧ペイロードを持つHTVは、日本初日本独自の「有人宇宙船」として、独自に人員を宇宙に上げることもできるようになる*8。
頑張って欲しい。
負けないで欲しい。
とりあえず、7:00の中継まで僕も頑張って起きていたい。
……それまで起きてられる自信ない(^^;)
でもなんか、今は無性に乾杯したい気分で一杯だ。
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*1:日本時間
*2:直径の大きいほうのドッキングポート
*4:三機種目
*5:ロシアの新型ミサイルの技術を貸与されたもので、韓国はフェアリングのみを担当。管制もロシアが行っており、韓国担当のフェアリングの分離不具合でペイロード放出には失敗。これは韓国を揶揄しているわけではなくて、フェアリング分離技術は本当に難しい工程なんだそうで、こればかりは「独自に経験を積む」ことでしか修得できないものだという。2009年1月にアメリカもフェアリング分離には失敗している。
*6:LE5もLE7も、エンジンの不具合による打ち上げ失敗事例があった記憶がそこはかとなく。
*7:7:00からがドッキングの最終段階
*8:想定乗員数は3人らしいと聞いたような。そういえば、オリオンも3人でしたな