恐怖箱 しおづけ手帖

松村進吉×深澤夜の新ユニットによる、恐怖箱新タイトル「しおづけ手帖」がいよいよ12/10発売。
ぼちぼちフラゲしている人もいるかもしれない。

恐怖箱 しおづけ手帖
恐怖箱 しおづけ手帖

松村進吉×深澤夜 共著
竹書房恐怖文庫

壷と樽が続いたのは偶然ですw


今回は、恐怖箱箱詰め職人は極力黒子に徹するぞということで、出来うる限り著者の持ち味、著者の目指した形を全面に押し出す本となっている。コンセプト、ネタの取捨選択から構成案に至るまで、著者2名がそのほとんどを担った力作である。
通常、人選びから収録作品の選択から構成から組版前の推敲から何から……本当は監修ってもっと楽な仕事なんじゃないのかと疑いたくなるくらい大量の手順を経ているのだが、今回は逆に「なるべく口を出さない、なるべく思うがままに」という方向で、二人による新機軸の行く末を見守りたいと思っている。
同じレベルが常に求められる一方、同じことをしていると既存のものを比べられたり埋没したりしてしまい、やるなら何か違ったことを、というような*1要求もあったり。これは怪談に限った話ではなくて、あらゆる「新しい○○○」というものに課された宿命であろうかと思う。同じものができるなら、既にいる○○○に頼めばよい、というのはもっともな話だけど、それでは新人が新しいことを始める機会をなかなか得られないわけで。
その意味で、試行錯誤を伴ってでもいろいろなスタイル、いろいろな切り口を若手がやる、そういうことをやる機会を得られるというのはラッキーなことかもしれんなー、と思う。*2
「超」怖い話夏班の雄・松村進吉と、恐怖箱・怪集でマルチぶりを見せる深澤夜*3という超-1輩出組による新ユニット、まずはその奮闘振りをご覧じろ。


ところで、年内の恐怖箱はこれで出し納め。
レーベルとしての恐怖箱*4は、おかげさまで今年も凌ぎきり、来年も絶賛継続の見通し。来期も「新進実話怪談作家の依り代」として、または生贄として、粉骨砕身使い倒されたい所存です。
竹書房文庫としては年末にはにしうらわ氏の単著第三弾の新刊が控えていて、その次は……次はもう「超」怖い話冬orz
怖い怖いで冬が過ぎていくなあ……。

*1:多分に営業的なw

*2:昨今の世相を鑑みればなおのこと。「いっぺん俺にやらせてみろ」で酷いことになってる政権もあることだしw、懐がタイトなときは要求されるグレードも青天井になるわけで

*3:彼は怪ダレにも怪作を発表しているのだけど、「これ絶対に小学生向きじゃないだろwww」という恐怖譚がこれまた評判がよいらしい。大人にも。

*4:竹書房からデビューする実話怪談作家のレーベルは、これに集約されてるらしいですよ。