仕掛屋定吉パズル個展

さぼり記のコメントに時折「さ@若みや」と現れる謎の人……こと、パズル作家の仕掛屋定吉さんの個展が、12/8から12/13までの6日間、絶賛開催中。
どこかで時間作って行こうと思う。
なぜなら……開催地が江古田だから。


……いやいやいや、新宿でも銀座でも有明でも行ったと思う! 本当です! 諏訪か横手か魚沼でと言われたら、ちょっと考えさせて、と言ったかもしれないけどw

さだきちさんと言えば、ハナヤマのキャストパズルにあるような金属の塊をゴネゴネするようなパズルをお得意とされる他、様々な組木パズル、平面パズル、等々を日々考案されている。
あの絶妙なシェイプの、そして「絶対に一点突破しか方法がないが、その一点が全然見えてこない」という痒いところにあと1ミリみたいなパズル群は、パズルをやる人にもやらない人にも、是非一度手にとって欲しいところ。パズルは優れた作者の発想と、それを具現化する多くの職人の手練と、それを目の前にして出口を模索するプレイヤーの三者が存在して初めて、パズルが具象化した意義が生まれるんじゃないかとか思う。
体験者と、それを文章化する著者と、そこに示唆される解を紐解こうとする読者……と置き換えることで、パズルと怪談はよく似た三位一体を為していることに気付く。
よくできた風景画や芸術品は、読者・鑑賞者がコミットする余地のない完成した製品と言える。それはもちろんまばゆいほどによく出来ているけれども、動かす余地も別の可能性を検討する余地もあまりない。完成済みのジグゾーパズルのようなもので、よくできていると称賛することはあっても、その完成過程に読者・鑑賞者が関わることはない。
が、パズルは作者の意図した完成型があったとしても、それは動かしようのない完品の状態で提示されるわけではなく、どこか足りない、どこか不完全な、もしくは「付け入る余地があるかのような」印象を与える。
隙を窺ってやろう、近道で解決して見せよう。足りないピースを前にそういうスケベ根性を出すと、たちどころに意図された迷宮に引きずり込まれてしまう。


多くのパズルは「ばらばらのピースが提示されていて、ひとつだけある解に辿り着くもの」と考えられがちだが、「明確な解が用意されていて、それに辿り着く経路を考えるもの」や「複数の解を自分で見つけなければならないもの」もある。そういう法則性を見出したり、または生み出したりということについて、数学と美術(芸術)と技術(手技)を駆使して格闘するのが、パズル作家という生き物であるように思う。


パズル作家の頭の中はどうなっているんだろう、いつも難しい数式のことばかりを考えているんだろうか……というと、必ずしもそうでもないようで、初めてさだきちさんにお会いしたときに拝見させていただいたスケッチブックに描かれた仔細な旅行記――人、モノ、小物、そうした様々なものと、それへの解説や感想といった書き込みの多くや、合間合間に書き込まれた「ヒントとアイデア」の類はなかなか圧巻だった。
他人の脳を図を伴った未整理情報として垣間見ることができるとしたら、あんな感じだろうか。


今回の個展では、さだきちさんの過去の商品化済み作品や、全国の量販店では扱っていないハンドメイド作品、ヒントとアイデアと見聞録の詰まったスケッチブックなどなども見ることができるらしい。展示品を眺めるだけの個展と違って、展示作品はいじくり回して触れることもできるらしい。パズルだし。ハンドメイドのパズル作品には、実用性と趣味性を兼ね備えたキーホルダーなんかもあるということで、これはお買い求めいただけるらしい。


週末あたり見てこようと思う。

パズル個展のご案内
http://shikake-ya.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/091208-13-935c.html

「仕掛屋定吉パズル個展」
2009年12月8日(火)〜13日(日)
場所:cafe 松風窗(しょうふうそう)
   練馬区旭丘 1-75-1 サンアダチビル2F
   西武池袋線江古田駅」南口より徒歩2分
   大江戸線新江古田駅」A2より徒歩7分
時間:火〜金;15:00-22:00 土;13:00-22:00 日;13:00-21:00
※ご来店の節は飲み物のご注文をお願いします。500円〜

あまり市販されていないものを中心に、展示即売します。
制作プロセスの核となるスケッチブックも展示公開します。