政策と政局で見る外国人参政権

書きたいネタはいろいろ溜まってんだけど、とりあえず直近の話題から。
在日外国人地方参政権から。
現在、民主党及び鳩山政権が今国会の提出或いは3月の閣議決定→法案成立を目指して推進中の政策である。
結論から言うと、日本国憲法に違反している=違憲
が、小沢一郎の委任を受けて平野官房長官は「そういう違憲を踏まえて実現に向けて邁進」とか言ってるので、そのへんどういうことなの、というのをちょっと再点検したい。

そもそも論「参政権

まずはそもそも論から。
外国人参政権以前に、「参政権」というのはどういうことかというと、

  • 政治(立法と行政サービス)に関与すること
  • 立法の代行者としての議員を推挙選抜すること(議会選挙)
  • 行政の代行者としての首長を推挙選抜すること(首長選挙
  • 議員に立候補すること
  • 首長に立候補すること

参政権=選挙権と解釈していいのだが、同時にそれは被参政権も含むし、立法機会への間接的関与、公約=政策案を掲げる首長・政党への支持、も含む。
こうした「立法権」「行政権」というのは、「特定の地域に住む住民の行使できる権利であり、住民=有権者として自治を行う」という考え方に根ざす。

ただこの「住民」の定義のとらえ方が、外国人参政権に「つけいる隙」を作っている。


まず、これまでの法解釈から言ってしまうと、日本国憲法参政権について、

  • 日本国民固有の権利

と定義している。これは国も地方も同様で、地方の法制度も含めて日本の主権が及ぶ範囲で施行される法律条例の全ては日本国憲法という上位法と矛盾してはならない。
つまり、国、地方に限らず、「日本という地域に住む住民=日本国民」だけが、日本国内での選挙権を有している。
これは最高裁でも判例が出ている話。

このため、もし参政権を日本国民以外にも認めたいなら、日本国憲法を改正しなければならない。話はそこから、ということになる。

外国人参政権」推進論の根拠

次に、外国人参政権を推進する側の根拠として頻出するものを拾ってみる。民主、公明の参政権推進論はその辺に根ざしているものが多いので、推進論における一般論も多分に含む。

  • 相互主義により、外国人に選挙権を与えている地域出身者には選挙権を与えるべき
  • 外国人でも「地域住民」であるから与えるべき
  • EUアメリカがそうしているのだから日本も遅れるな
  • 税金を払っているのだから、その対価である行政サービスに関与する権利はあるはず

彼らの「本心」については後述するwので、ここでは後回しにしておく。
まずこの「相互主義」について、「韓国が外国人に権利を与えているから韓国人に日本も選挙権を与えるべき」というのがあるんだけど、韓国の外国人選挙権って一定の所得(納税)がある人間のみで、実際にその待遇を得ている人間って、1000人いるかどうかって世界らしいと聞いた気がするなあw このへん、ソースを調べてないので話半分でお願いします。
もっと言えば、在日韓国人は60万人以上。そのうち20歳以上は40万人以上として、在韓日本人がそれと同数程度いるか? と問われたら、「そんなにいねえ」と即断できる気がする。
韓国の総人口は7000万くらいで、日本はその倍よりやや少ないくらい。
これは対等な相互主義と言えるの? という疑問に答えた事例は見たことない。
というか、それについて突っ込むと、だいたい「地域住民なのだから」という話に話題が逸らされるw


政治的にひとつの大きな「圏」になっていて、安全保障と通貨経済が統合されて、既存の国の権限が日本で言えば都道府県相当くらいまで押さえ込まれつつあるEUはともかくとして、そうなっていない日本とそれ以外の国の間で、EUと同質の制度を導入するメリットというのもこれまたないと思う。


税金を払っているのだから、というのもこれまたアレな話で。
だったら、生活保護などを受けていて納税を免除されている人は参政権がないのか? 納税額が大きい人間の一票は、納税額が少ない人間より大きいのか? という話になる。
日本は普通選挙制度が施行されてから、納税額に関わらず有権者には等しい一票が賦与されているはずだ。
その「等しい一票」を「住民なのだから国籍で差別すべきではない」などと解釈するのは、これまた大間違いだと思う。

ちなみに、当然、脱税した人間は公民権が停止されることになるのだが、公民権には参政権(選挙権・被選挙権)はもちろん含まれ、財貨確定により公民権は停止される。ちなみに現在、日本の総理大臣の公民権は実母からの贈与分の脱税により実質的には停止されなければならないが、特例として停止されておらず、与党幹事長の公民権も贈収賄汚職・ゼネコンに対する地位利用の恐喝から停止されて然るべきなのだが、与党に在らずば友愛しちゃうゾ☆という特例により、これも停止されていない。
公民権のない人間が行政トップって、日本の憲政史上初めての事態であるわけで、すごい話ではあるw


基本的に選挙権というのは「自決権」だと言える。
自分たちがどうしていきたいかについて、自分たちで決める。これすなわち自決権。もちろん、個々の選挙民にとって最大になる利益の方向性は人によって違うので、「最大多数の意見が採用される」ようにするために、「賛同者の最大の支持を集めた政党・政策が、実際に行政として執行される」ようになっているわけだ。
この自決権というのが、なぜ「その地域(国)の住民の固有の権利」とされているのかといえば、他にどこにも逃げていくことができない、そこに恒久的に生活していく、ということが前提になっている。
日本人は日本で暮らす。中には外国籍を取って外国人になる人もいるが、その場合は、移籍先の国の住民となるのであって、日本国内での権利は失う。
外国人のうち、日本国籍を取得した人は、「日本人」になるので日本国内での参政権が行使できるようになる*1

「外国人」という票田処女地を掘り起こす

違法性が明らかでも、何が何でも外国人参政権を推進したい政治家・政党がいる理由について考えてみる。
これは、民主に限った話ではなく、社民、共産、公明、そして自民の一部にも外国持参政権を容認する向きがある。これについては自民の多数と国民新は反対。みんなの党新党日本は不明。
つまり、党派に寄らず外国人参政権で得られるメリットに魅力を感じている議員・政党は少なくないわけだ。


これについて、正当化する論拠として出てくるのが、「少子化・人口減」とその対策としての「移民受け入れ」「人口総数の維持による国力維持」、それを正当化するための「グローバル化」や「アジア域内統合」などなど。広がりすぎると手に負えなくなるので、本稿では少子化、移民受け入れくらいまでにとどめる。
この少子化、人口減、移民受け入れという論拠は、同時に「有権者の減少」という意味も含んでいる。
今後、日本国民の数が減っていく(特に、高齢者が自然減=死亡していく)ということは、有権者数の減少を意味する。
それだけ、得られる票そのものが減っていく。
現在、投票率は5〜6割をうろうろしていて、残る4割近くは投票行動を行わない死に票になっている。そうした層を本格的に掘り起こし、投票が「権利」ではなく「罰則を伴う義務」になったら、また違ってくるかもしれないが、当面のところ投票は「権利」であって「義務」ではない。
そして、方向性のわからない沈黙の4割を掘り起こして、結果的にそれが自分たちに利するものではなかった場合、掘り起こしはデメリットになってしまう可能性がある。
そこで、「政治的参加意欲があり、自分たちに恩(または、利益の共有)を感じる票田」を新たに作ったほうがいい、ということになる。


政治というのは「共通の目的を持つ集団の規模が大きいほど、まとまった影響力を発揮しやすくなる」わけで、外国人参政権を主導した場合、「外国人票」という新たな票田を、丸ごと獲得しやすくなる。
数十万、数百万あろうかという外国人票田が突然増えることになるわけで、この票田を「ほしがらない」「要らない」と突っぱねるのは、自ら選挙戦で不利になろうとするようなもので、目前の利益として否定しづらい。
「政治に積極的ではない日本人より、政治に積極的な外国人のほうが票田として魅力的」という誘惑は、選挙を戦う議員・首長にとってでかいと思う。

選挙を戦う戦闘力=組織力としての外国人集団

さてさて。
現状、日本の法律では政治家は外国人からの献金を受けてはいけないことになっている。政治活動についても同様なのだが、金銭授受のない「選挙運動支援」についてはグレーになっていて、これについてはしばしば外国人組織が選挙運動を「支援」している。
この支援活動というのは具体的には、ポスター貼りや事務所事務諸々で、選挙運動ではそうした運動員にはバイト代はおろか茶菓子ひとつ出してはいけないし(買収に当たる)、また持ち寄ってもいけない、ということになっている(不正献金や機会供与を期待した行動、と判断されるケースがある)。
つまり、建前上は完全なボランティア、完全なタダ働きということになるのだが、そういうタダ働きを熱心にやってくれる「個人」なんてのはそうそういないわけで。
こうしたケースでは、各党の「支援組織」は大雑把に分けるとだいたい下記のようになる。

  • 自民(地元の商工会・医師会他の動員、町会の動員、漁労・農協の動員、友党(この場合公明)の協力など)
  • 民主(労働組合の動員、町会の動員、漁労・農協の動員、地元の商工会・医師会の動員など)
  • 公明(創価学会員の動員*2など)
  • 社民(労働組合の動員、市民運動団体・プロ市民*3の動員など)
  • 共産(労働組合の動員、市民運動団体・プロ市民の同意運など)
  • 国民新(地元の商工会の動員など)

このほか、自民と民主は大学の政治関連部などから将来の人材を拾ったりするので、学生部/学生動員がある。共産にも青年部というのがあって、学生動員がある。
自民と民主のやり方がある程度重なっているのは、民主も元々自民系であるため。民主小沢の選挙手法は、「票田のトラクター」が活躍した古い自民のやり方を踏襲している。つまり、このやり方が支持を得ているということは、昔ながらの自民を期待している人が民主を支持しているとも言える。


要するに選挙というのは「頭数」「人数」「兵隊」が大量に必要になるものであるわけで、特に遊説など体力も必要になってくる。
これは、「政治参加に大きなメリットを感じ、政治参加について意欲的・積極的で、タダ働きも厭わない」という人でなければならないわけなのだが、政治はタダ、政治は悪、というすり込みが久しい日本は「政治に関係する、政治に関与する」ということそのものが悪事であるかのような後ろめたさと無関心から、タダ働きをしてまで政治に参加しよう、という人は少ない。
故に、労働組合動員や信者動員ができるような組織を支援団体に連ねているところは「選挙が強い」ということになる。
そうした支援員はもちろん投票もするだろうから、票読みをしやすいというのはあろうけれども、実際には票そのものよりも「運動支援」の重要性のほうが高い。
商工会系は高齢化が進み、都市の無党派層は政治活動/選挙運動の手伝いなどはしない。そうした層は、テレビとラジオと新聞とネットである程度踊る層と、興味を全く持たない層、ノリと勢いと正義感の層とに分かれ、いずれも運動支援にはならない。


話を戻すと、バラバラでコミュニティがない在日外国人ではなく、今時の外国持参政権はかなり明確に90万人近い国内最大の外国人コミュニティである大韓民国民団を、政治/選挙運動の支援組織として活用することを織り込んでいる。
現状、外国人参政権地方参政権に「まずは」限る、というような話になってはいるが、国政選挙の選挙運動支援というのは地方の政党支部、そこに連なる運動員のピラミッドから成っているわけで、結局のところ国政選挙「運動」にも外国人組織を活用できるようにするための布石と言える。


外国人参政権が実現した折には、それを積極推進した政党が支持を集め、「支援を総取り」できる。
90万人の在日韓国人コミュニティは、民主党が主導した在日外国人参政権への期待から、民主党の支援団体になる。


この「外国人コミュニティ」という支援団体・支援組織が欲しいのは民主に限った話ではなくて、公明党もそれを欲しているし、自民の中にも「推進」派はいる。
やはり、若い世代の政治への無関心と引き替えてでも、票田を獲得しないことには政治家は議会に戻れないわけで、短期的に「背に腹は代えられない」という認識の議員・候補が出てくることは否めない。

参院選で自民を潰すための「外国人参政権

ここまでは、政策的な意味合いと、選挙運動/支援組織としての外国人コミュニティの政治への合法的取り込みについて論じてきたが、ここからは「政局」もっと言えば選挙戦術としての外国人参政権の意味について。


まず、現状で民主党外国人参政権について以下のような方針を示している。

  • 今国会に「政府案」として提案する
  • 3月の閣議決定を目指す
  • 参院選前〜年内の法案成立を目指す

諸外国政府(この場合は韓国・李大統領など)との約束云々については、外圧をタテにした圧力戦術に入る。


外国人参政権については、

  • 議員立法
  • 党としての提案
  • 政府としての提案

の三つの攻め手が考えられるが、小沢幹事長命令により「政府提案」としての方針が定められた。民主の閣僚の発言は首相も含めてどれも軽いので信頼性がないが、小沢発言は事実上の「決定事項」なので、小沢逮捕以外のアクシデントがない限りは、この方針が覆ることはない、と考えてよいだろう。


まず、民主党の党内事情について。もっと言えば「小沢一郎の都合」。
議員立法にした場合、党内に「派閥」を作る余地を残してしまう。現在の民主党は挙党一致の名の下に、全てが小沢一郎の裁可を仰がなければ決められない上に、党内の集会の自由が禁止されている状態にある。発言の自由もほぼない。閣僚を除いて民主党内で自由に批判的発言ができるのは渡部恒三くらいだろうが、この人の発言は影響力がないので無視してよい。
議員立法は党内の「賛成者・慎重論者」に溝を作る可能性があり、党議拘束が掛けられないため、民主党の強みである「賛成多数」という数の攻撃を仕掛ける上での確実性が下がる。

また、党としての提案とした場合、先々の責任(というより、反対意見・批判の矛先)は党の責任者である小沢幹事長が被ることになる。

政府案とした場合、党と政府の一体化を訴えている手前、党内の反対意見を全て封じて党議拘束を掛けられる。また、法案を巡る責任は「政権=政府」側に押しつけることができる。


次に、連立について。
現状、民主党の弱みは参院単独過半数ではないことで、これが社民や国民新という連立与党の発言権を増大させている。
これを解消する、または連立与党の発言権を低下させるためには、参院選で民主が単独過半数を得ることが最上だが、それより前の時点でこの法案を出してきた。
これによって、連立与党内では社民は賛成、国民新は反対している。
が、ここに在日外国人参政権を何度も提案し、その都度、自民に廃案にされてきた公明党が加わると、国民新が反対しても法案は可決できることになる。
つまり、「与党案に賛成しないなら、国民新との連立を解消して、代わりに公明党と組んだっていいんだぞ」という国民新への脅迫となる。
この「公明党との連立」というのは、実は社民にとっても脅威であるわけで、例えば社民が強く反対している沖縄普天間基地移設問題などについて、元々自民と連立して辺野古移転案をまとめてきた公明党が加わることになると、今度は社民が連立政権の「要らない子」になる。

現在、社民の参院議席数は5、国民新は4。
公明党は20。つまり、民主としては、社民・国民新との連立を解消して、公明と組めば参院議席数は129になり、定数242の過半数になる。
普天間基地移設問題を沖縄県外・国外にこだわる必要(社民)もなくなるし、在日外国人参政権への反対(国民新)も意に介さず済むことになる。
小沢氏、石井氏を始め、民主ベテラン議員と公明の間の確執があるので、簡単に民公連立はできないだろうというのが大勢を占めてはいるが、政策的協力ができるということになれば、連立ピコ与党の二党の価値は急落する。
つまり、連立ピコ与党を封じ込めるため、公明を引き込むぞ、というブラフのために、公明の悲願である外国人参政権をカードとして使っている。これなら、参院選前に「社民・国民新に振り回される民主」というもたつきを解消できることになる。


また、公明を引き寄せることは、自民・公明の分断工作にもなる。
前述の通り、在日外国人参政権は公明が提案、賛成、自民が反対、廃案にし続けてきた、という過去がある。この法案を巡って自民・公明が対立した場合、少なくとも自公の選挙協力の目は完全になくなる。
すでに与党ではない自民と協力するメリットは公明にとっては相当失われてきているので、公明側が「民主与党側」に小早川的に寝返る可能性は少なからずある。
自民が公明と「選挙協力」をすることのメリットは前述しているけれども、「公明(その支援団体)の票が欲しい」ということの部分よりも、「選挙運動員の確保」のほうが遙かに大きい。
ポスター貼り、遊説の賑やかし、電話要員、などなど、選挙運動というのはとにかく人手が要るものであるわけで、そうした兵隊・頭数の独自動員力が低下しつつある*4自民にとって、公明の動員力を失うのは非常に手痛い。
この在日外国人参政権関連法案を、参院選前に出すというのは、つまり自民と公明の間に完全なくさびを打ち込み、公明による自民への選挙協力(支援員の動員)の断絶を狙ったもの、と言える。
つまり、在日外国人参政権法案は参院選対策の選挙戦術、自民潰しのための作戦として提案されたものと言える。


閣議決定まで持って行き、委員会審議は自民側が審議拒否したら「自民の職務放棄」をタテに「時間切れ」で強行採決してしまえば通過させられる。本会議は民主と公明の協力で可決できる*5
つまり、参院選前に自民と公明が分断できれば、実際の可決は参院選後に持ち越してもいいし、世論の反対によって参院選に勝てない場合も、選挙協力のご褒美として可決できる。(たぶん、連立組み替えは参院選後になる)



一方、自民党がこの法案に「慎重論」を唱えながらも、安倍元総理他、保守派一部議員以外から、挙党態勢での積極的な攻性の反対論が出てきにくいのは、外国人参政権が現実のものになる可能性が高く、なってしまったときにこれに反対し続けていたアリバイが残ると、外国人票は全て民主党に流れてしまう、という危機感があるため、と予想できる。
(そうでなかったら、「声を上げているけど報道されない」のどちらか。
例えば、東京10区(豊島〜練馬あたり)の場合で言うと、池袋駅周辺(特に西口・北口)は、事実上のチャイナタウンと化しており、在日中国人のコミュニティができあがっている他、西武池袋線東武東上線他、池袋に連なる私鉄沿線の中国系住民の居住率は非常に高い。これらが全て参政権を得て、投票する機会を得た場合、外国人参政権を積極的に主導した側(この場合、東京10区の民主候補は江畑議員)にそれらの支持が流れ、前回小選挙区で僅差敗退した*6小池百合子議員などはさらなる苦戦を強いられることになる。


このまま行くと、外国人参政権関連法案は可決成立する。
被選挙権も「ステップ・バイ・ステップ」で可決され、地方参政権を足がかりに国政参政権にも適用される可能性がある。
外国人地方参政権は、過疎地の自治体では「外国人首長」「外国人多数派議員団」による、外国人優遇自治が行われる可能性が非常に高い(これは国民新の亀井議員が危惧するところで、自民出身議員、自民残留議員もこのあたりを危惧する意見が多い)。
例えば、現在、普天間基地移設を巡って「地元の意見」を政府が押し切れない、という図式ができている。
これがさらに進んで、例えば「対馬に韓国人市長と韓国人多数派議員団」が生まれ、周辺の自衛隊関連施設の撤去や、自衛隊関連施設隣接地の韓国人への払い下げ促進優遇政策などが「地方自治体の判断」で進められることになった場合、政府が「国」として地方自治体の決定に口を差し挟めない、といった事態も起こりうる。
与那国島与論島などの島嶼部で、中国人首長と中国人多数派議員団が議会行政を掌握したら、日本の西南諸島海域は南沙諸島竹島北方四島のように「実効支配」によって塗り替えられていってしまう可能性も高まる。


それもこれも、「票田」「選挙戦術」「目の前の利益」に目がくらんだ結果であると言えるし、2009年の衆院選で自民を公開処刑することで溜飲を下げる快感を愉しんだことのツケと言える。
おもしろ半分で民主に入れた人、正義感で民主に入れた人、お試しのつもりで民主に入れた人、「それでも自民よりマシ」だと思っていた人、お金が欲しかった人、などなどいろいろ事情はありましょうが。


どうでしょうね。
それでも自民時代より本当にマシになってくんでしょうかね?




外国人参政権と移民がもたらすもの

ところで、日本より先に移民解放を進めた欧米……というか、欧州諸国といえば、イギリス、オランダ、フランス、イタリア、ドイツ、などがある。

この中で、移民じゃないけど、それに近いものを最初に「拒絶」した国はどこだったかというと、ナチスドイツ政権下におけるドイツだったかもしれんなあ、とか思う。ユダヤ人排斥がそれに当たる。まあ、ユダヤ人は移民ではないけど、ドイツ人は「ユダヤ人はドイツ人ではなく、ドイツ人の雇用を奪ったのはユダヤ人だ」と信じて、民主的な選挙でナチスに議会の2/3の議席を与え、ヒトラーは全権委任法を経て総統に。
戦後のドイツは「ユダヤ排斥は間違いだった」とはしたものの、イスラム系移民、トルコ系移民などの流入によって雇用を奪われた、とする若者が移民排斥を訴えている。このへんが「ネオナチ」の肯定意識と繋がるらしい。


イギリスは人口減国力低下を補うものとしてこれまた中国系諸々の移民を受け入れたのだが、それがやはり「安い労働力」として元々のイギリス人労働者層や伝統的職人の雇用を侵害することになってしまった。イスラム系移民の流入IRAなどとは別個にイギリス国内でのテロの増加の原因にもなってしまい、治安の低下も見られる。


オランダは早くから移民を受け入れていた。これもイスラム系移民。
が、イスラム系移民はゲットーを形成。立ち入れないコミュニティを拡大していく上に、異文化対立が勃発。ここでもやはり「雇用」を巡る問題と絡んで元々のオランダ人とイスラム系移民の間で対立が激化。オランダではイスラム批判をした作家が襲われたり殺されたり。ゴッホの子孫も暗殺されている。


フランスも、これまた移民とのトラブルが増えつつある。欧州全般に言えることだけど、移民とのトラブルの多くは、文化的対立というか「移民が受け入れ国の文化に同化する気がない」「相互の文化的尊重がなされない*7」そして「安い労働力である移民が、元々の国民の雇用を奪う」という展開になるものが多い。フランスの場合はブルカ問題などイスラム系移民の文化との衝突もあるが、やはり雇用を巡る暴動も起きている。
今年に入ってからはサルコジ大統領などが移民排斥的発言を行って物議を醸しているが、そういう発言を大統領がするという背景には、「外国人排斥を表明すると、世論の支持が得られる」という風潮が存在していることの証左でもある。つまり、雇用の奪い合いを巡って、フランス人の多くは移民を「雇用泥棒」として嫌っている、いらついている、という大衆心理があると言える。


イタリアの場合は中東イスラム系というよりアフリカ系移民が問題になっていたようで、ベルルスコーニ首相の発言が差別的、と物議を醸している*8
これは北部のアフリカ系労働者が、雇用を求めて南部の農業労働に流入、南部の農業労働雇用が安い移民に奪われた……というような感じで、暴動は「イタリア人がアフリカ系移民にショットガンをぶっ放す」「アフリカ系移民は当局の用意したバスで別の地域に退去させられる」というような事態に発展しているらしい。


これらはいずれも「文化的対立(移民は文化融合や同化を拒む)」と「雇用対立(安い労働力である移民は、現地国民の低賃金層の雇用を破壊する)」が主原因で起きている社会不安と言える。
外国人参政権は、そうしてやってくる日本国籍を持たない外国人に、日本国内での政治的優遇を日本国籍を持つ日本人なみに与えよう、という乱暴なもので、移民の優遇のために元々の日本人にしわ寄せを行うことも辞さない制度と言える。
これが進んでいった場合、日本も今の欧州各国と同様の問題が起きてくることは想像に難くない。
欧州各国の文化的対立は「キリスト教イスラム教の対立」と言うだけの話ではないわけで、歴史的感情の対立も多分にある。
日本においては、韓国・中国からの移民が「イスラム系移民」に相当する立ち位置になるのだろうが、歴史感情などで合意ができない外国人と、彼らに永久に謝罪し続けなければならない日本人、という図式が日常になった場合、日本人はその状況に大いなるフラストレーションを感じることになる。


日本人だってかつては日比谷事件をやらかしているわけで。
「日本人はぎりぎりまで我慢するが、いきなりキレる」
との評があるが*9、おそらく日本への移民も職を奪われた低所得者*10との間の内戦的な騒動/暴動に発展する可能性が高いんじゃないかなあ……といろいろ心配してしまう。


たぶんそうなったとき、池袋北口と新宿百人超〜大久保周辺は、もう日本人は歩けなくなるかも。いや、今も一人で行くの相当怖いけど(^^;)

心配性なので、最悪を想定してみたけど、今のところその最悪の想定通りに推移している。*11
「自民よりマシだと思った」「政権を取ればまともになると思った」「お試し期間中」「それでも自民より今だってずっとマシ」と思って民主に入れた皆様、今後も一連託生です。

*1:白真勲(民主)や蓮舫(民主)、ツルネンマルテイ(民主)などのように、日本に帰化して日本人の資格を得ながら、日本人のために働かない議員というのもいる。一応日本人らしいが、鳩山由紀夫(民主)、辻元清美(社民)のように、日本人のために働かないことを公言している議員もいる。

*2:これが町会と重複している場合も

*3:プロ市民=プロフェッショナル市民、プロレタリアート市民など、「市民」であることを生業にしていたり、NGONPOなのに収益を上げていたりする人達

*4:前回の衆院選やそれ以外の幾つかの選挙をウォッチしていて思ったことだけど、サクラwや事務所詰めなど、自民の選挙運動員はとにかく高齢者が多いというか、高齢化が進んでいる感じ。趣味は選挙ヲチですw

*5:社民の他に、共産党もこの法案には賛成していて、党として反対気味なのは自民と国民新のみ。この二党を合わせても87しかなく、党議拘束を掛けられたら過半数に届かないため、確実に法案は成立してしまう

*6:惜敗率で比例復活

*7:欧州の基本宗教はキリスト教で、どちらも一神教の上、対立の歴史も根深い

*8:まあ、ベルルスコーニ首相は元々舌禍の多い人なので、アレだが

*9:確かベルサイユ条約時の英国側交渉団のコメントだったような

*10:ぶっちゃけ、口火を切るのはヤンキーさん方かもしれない

*11:自慢じゃないけど僕の予測は結構当たるよー、と