42冊

13とか9とか42とか、怪談的には縁起の悪い数字なのだが、つい先頃出た竹の子書房42冊目の新刊は、神沼三平太氏による本格実話怪談「恐怖箱 怪談とか。(下)」http://bit.ly/gQnpjv
竹の子書房は「本業に影響が出ない、出さない」という大人の決まりを踏まえて、日常の習慣の中に本を作る習慣を組み込む形でやってきたのだが、小は20〜30頁の小粒の掌編から、大は100、200、300頁級の、下手するとほとんど商業誌と変わらないボリュームのものまで、なんだかんだで42冊。
仕事のノウハウを使って遊ぶ、というものであると同時に、仕事で使うノウハウの研鑽にもなった。*1本業のほうではPC+ソフトウェアを導入した編集+組版を始めてもう10年じゃ利かないキャリアがあるが、改めて自分のノウハウやテクニックを再点検する機会にもなった。
何より竹の子書房を通じて新たに出会った方々も多い。一線で活躍される作家、イラストレーターやこれから芽吹く新しい才能の持ち主といったスポットライトが当たる立場の方はもちろん、カバーデザイン、ラジオ(ナレーション)、組版、宣伝など、縁の下のスキルを持つ方々ともご縁ができたのは大きい。一定の安定した仕事wをする社会人になると、まったくの別分野別世代の人と知り合っていく機会ってなかなか持てないので。
他にも収穫はある。電子書籍は量産体制が取れないと厳しい、とか、出すことよりも如何に宣伝(プレゼン)するかが鍵だとか、表紙の重要性とか、実書店に平積みされることを念頭に置いた紙の本とサムネイル表示で興味を引かないとならない電子書籍の装幀に対する取り組み方の違いだとか、個々の端末での見栄えだとか、自分でやってみないとわからないことばかり。
その意味で、商機のようなものも見えてきた気がするし、来年以降ePub3.0の策定に合わせたコンテンツの準備も順調のような気がするし。
現在のePubにも何度か挑戦してみたものの、やはり縦組み組版ができないのは非常に辛い。端末の多くが縦長ディスプレイだからということもないだろうけど、「電車移動で文庫本代わりに読む本は、やっぱり縦組みがいい」というような気もする。そうなると、現状ではPDFかJPEG出力したものをePubで組むかのどちらかにならざるをえないわけで……。うーん、研究は今後も重ねていかねば。


そんな感じで42冊。
あと8冊出すと年内で50冊達成できるらしいのだが、「本業に影響が出ない、出さない」ということで、そちらは「超」怖い話のほうの進み具合によるw


竹の子書房の季節ロゴ*2はとんさんという方が作成されているのだが、これを用いたクリスマスCMも作られていた。
今年の締めを宣言するにはまだ早いのだが、竹の子書房の納会wもあるようなので、ちょっとまとめ的なことなど。


この紹介CMを見る





19年前に書かれた「ガラパゴスエスト」を竹の子書房からリリースする予定でいるのだが、ちょっと読み返してみた。ちょうど年末から年明け2〜4月くらいまでの話なので、今読むのはタイミングとしては正しい。
その後の約20年間に出たラノベの要素がほとんど全部詰め込まれているような、しかし文章が諄いとか長いとか改行と台詞多めの今のラノベじゃ有江姉とか。
未来予測で的中したものもあれば大空振りになって陳腐化したものもあるとかなんとか……*3


……でも案外おもしろく読めた。
アレでやりたいことをほとんどやり尽くしてるから、その後小説を書きたいという気持ちがまったく芽吹いてこなかったんだな、自分(^^;)
また10年とか20年寝かせて、僕がすっかり老齢に入った頃に苦笑しながら読むっていうのもありかもしれない。


そのへんを心の支えに仕事しよう。本業のほう。

*1:実際、原稿整理と組版速度が格段に上がりました。

*2:現在5バージョンあります

*3:レーザーディスクは寂れたとかw、8ミリビデオはスタンダードにならなかったとかw、ヘッドアップディスプレイは進化しなかったとかw……orz