Kindleがようやく本当に上陸
「Kindleがくるぞー!」
と叫ばれ続け、そのたびに「日経新聞は狼少年」と呼ばれ続けてきたKindleが、ようやく発売の運びとなるらしい。
部外者wの憶測としては、「大手出版社との交渉がようやく結実した」ということなんだろうな、と。(そして、結実の後の契約面の整理とデータコンバートがある程度進んだってことだろう、と)
閲覧装置としての電子書籍リーダーはiOS端末(iPhone/iPad)、Android端末(スマホとタブレット)、その他、色々と仕掛けられてきたけど、電子書籍閲覧端末というのはあくまで「システム全体の末端にぶら下がるUI」でしかなく、それをぶら下げるインフラであるとか、ペイシステムであるとか、コンテンツの「永続性の保証」であるとか、コンテンツの多彩さ&蓄積であるとか、そういうものを「総合的なパッケージ」として提供できるところが最終的な勝ち組になるんだろうなあ、と眺めてきた。
【コンテンツ屋さんの視点】 電子書籍の端末にコンテンツ側が求めること 【ハード屋さんの視点】
http://togetter.com/li/213059
電子書籍を巡る状況
というのは、2010年とあまり変わってない。
いや、各社が交渉のテーブルにつき、実際に資産を提供し合うところにまでたどりついているわけだから、進展はしているとは思う。
が、「誰が電子書籍を買うのか?」という点と、「電子書籍製作のコスト」と、その他はあんまり変わってる気がしない。
「電子書籍が普及すれば、5年前の新刊(旬を終えた本)が再版されるので著者がまた儲かる」
それはないです。
新刊なら販売のための営業、宣伝もされるけど、「たくさんあるバックナンバーのうちのひとつ」に埋もれた、再版電子書籍はそんな労力掛けられないので、出ていることそのものが読者に知られないまま埋もれていきます。レイダース(インディー・ジョーンズ第一作)のラストシーンの巨大倉庫のように。
「端末の性能が良ければ皆電子書籍を使うようになる」
重要な事だとは思うけど、最優先じゃない気がします。
お金を払って本を買う、本を「買ってまで読む習慣が元々ある人」が、本を買うのと同様の選択肢のひとつとして電子書籍「も」買う、ということは今後起きてくると思うけど、電子書籍を読める端末ができたから、今まで本を金払って買って読む習慣がなかった人がいきなり「買って読む」ようになるとは思わない。
つまり電子書籍人口というのは、「紙の書籍を読む人口のうちの何割か」で、その割合が紙の書籍の読者数を100とした場合に、今後限りなく100に近づいてくれていったら【いいのになあ】というレベルであって、電子書籍が普及すれば紙の本の100に対して電子書籍の購読者規模が200とか1000になる、ということは起こり得ない。
だって、なぜなら。
本よりも安く、短時間で消化できる娯楽が山ほどある現状では、「細切れの可処分時間を消化するための娯楽が、本でなければならない必然は低い」から。
30分あったら本を読むかもしれない人は、2時間あったら映画を見るかもしれない。
でも、1分しかなかったら、きっとTwitterのTLを追って、RTボタン押すことに時間を使う。
自由にできる時間=可処分時間は今後ますます、「1単位が短くなる」と思う。
全体の総量は以前と変わらないかもしれないけど、まとまって120分の余暇時間を、連続して使うということは減って、そのうち90分映画を見て、15分の移動時間の隙間でゲームをちょっとして、その隙間隙間の数十秒でTwitterをする。そういう使い方にシフトしている。
ゲームが「リビングのテレビを占有してやるもの」から、電車に揺られながらするものに変わり、トイレに立ったついでに「経過をチェックするもの」に変わったように、可処分時間=娯楽に使える空き時間は、どんどん1単位が小さくなっている。
かつてはそこに「読んで、止めて」がしやすく単価の引き下げに成功した【文庫本】が収まっていた。
電子書籍は、文庫本より廉価でなければ文庫本に勝てず、SNSゲーやTwitterより短時間ずつ消化できるものであることを、今後求められる。
そうなると、文章商品の在り方も変わってくるんだろうなあ……と、この2年間頭は回りっぱなし(´・ω・`)
>>【持ち歩きやすさ】 紙の本と電子書籍、どっちが便利? 【保存しやすさ】
http://togetter.com/li/213882