空豆と春人参と中華的怖い話

シーズンが終わる前に空豆を食いたい。
ということで、ようやく莢に二粒以上豆が入ってきた&値段も安くなってきたので空豆を衝動的に買う。
とりあえず、莢ごとオーブントースターに入れて、そのまま6〜7分ほど加熱。
莢の中で蒸し焼き状態になった豆に塩振って美味しくいただく。


春人参が大変おいしい。
ということで、最近のデザートは人参。
皮は剥かずに、そのまま2mm厚くらいの輪切りにする。
皿に並べてそのまま塩胡椒する。
その上にオイルミストスプレーでオリーブオイルを軽く噴く。
濃縮レモン果汁の類を何滴か振りかける。
暫く待って人参の水分が沁みだしてくると甘みが強まっているので、おいしくいただく。
加熱しないフレッシュな甘いチップスという感じ。
人参は先のほうが甘くて、葉に近くなるほどいつものえぐみが出てくる。
なので、使い始めはそのままコリコリ食べて、使い終わりはスープの具にする。


塩胡椒とオリーブオイルとレモンの組み合わせというのはドレッシングの基本。手元にドレッシングがないぞとか、コッテリしたドレッシングはコレステロールが……というのが気になる人は、とりあえず塩胡椒+オリーブオイル+レモン汁を振りかけてしばらくほっとくだけでドレッシングの代用になる。
オイルミストスプレーは昨年あたりに買ったものだが、「油を薄く引いて」とか「軽くオリーブオイルの風味を効かせて」とか、そういう使い方をするときに大変便利。上を見たらきりがないwけど、安いものは1000〜2000円くらいからある。ひとつあれば重宝するので、再度お奨め。


僕が愛用しているのはステンレスボトル(2520円)の奴なんだけど、アルミボトル(1000円)でお買い得なのもある。


しかし、原理的にはまったく同じものなのに、ル・クルーセ(4500円)はこんなにする。アルミボトルの4.5倍もする。
パスタメーカーもそうだったけど、「原理は同じ+α」のところに掛かってくる値段の違いというのはなんなんだろう。
もちろん、「外見だけ似せて素材を安上がりにさせました。1〜2回で飽きると思うので耐久性は考慮してません」という換骨奪胎のものもあるだろう。パスタメーカーはもろにそうだったし。
また、「仕組みがわかったら後は素材と工賃(人件費)だけなんで、人件費が安いほうが安く卸せます」というのもあるだろう。最近の100円ショップの製品の多くが「Made in CHINA」だったりするあたり、この説は説得力があると思う。


日本で言えば割り箸、全世界的にはビタミン剤というのは、今は90%以上を中国が寡占している状態なのだそうだ。
割り箸を使い捨てる文化というのは主に日本であるわけで、元々日本向けだった割り箸需要なのだが、ある時期に中国は日本向け割り箸の卸売単価を従来の相場の半額以下にしてきたのだそうな。これにより国内の割り箸メーカーは打撃を受けて割り箸産業から撤退。その結果、そのシェアを中国の割り箸産業が独占。中国がほぼ独占しきったところで、中国側から「中国国内の森林保護のため、割り箸材料の確保が難しくなった。製造コストが上がるので、卸売単価を上げざるを得ない」と知らせてきた。その上げ幅が50%近いそうで、結局日本のメーカーが一掃された後を中国メーカーがかっさらってしまい、なおかつ価格設定の主導権も出荷側に握られてしまった、というのが日本の割り箸産業衰退のかいつまんだ経緯らしい。
最近コンビニに行くと、一言言わないと箸を付けてくれなかったりするのは、エコに配慮してではなくて、サービスで付けられるほど割り箸の供給単価が安くなくなってしまったからというのが原因であるらしい。
また、割り箸=原木伐採による自然破壊産業――というのも実は誤解なのだそうで。
元々割り箸、爪楊枝、マッチの軸、木炭などは、間伐材で作るものだった。
間伐材=間引き材であるわけなんだけど、山林を健常な状態に保つためには、密集しすぎた木を少し間引いてやる必要がある。そうして間引かれた木が間伐材で、それらは細すぎて(若いうちに間引くから)建築建材には利用しにくい。日本では木材は建築建材の需要がやはり多いのだそうで、それ以外の間伐材はチップ(おがくず)になったり、先の割り箸、爪楊枝、マッチの軸、木炭などに形を変えて商品価値を持たせてきたのだそう。
ところが、その最大のリサイクル先だった割り箸産業は、上述の事情で壊滅してしまい……。
割り箸の輸入が増えたことで、結果、山の健常化にも支障が出て……ということらしい。


ビタミン剤のほうも概ね似たような経緯で世界中のビタミン製剤製造工場が閉鎖されてしまい、安く作れる中国の工場の一人勝ち状態になっている。
安く作ってたくさん売るというのは資本主義経済の基本なので、それについてとやかくは言わないけれど、ビタミン剤のほうは割り箸とは別種の問題が起きていると聞く。
中国の小麦グルテンが汚染されていた問題(毒性のあるペットフードを食べた犬が、全米で30匹以上死亡し、ペットを家族のように大切にするアメリカ人の間で、たいへんな問題に発展しているらしい)と関連して、中国のビタミン剤工場でも同様の問題が起きる(またはすでに起きている)可能性が懸念されている。
ビタミン剤は割り箸と違って世界的な需要があるものなので、万一のことがあればその影響は計り知れない。ここから派生して、中国産牛肉、生鮮食品などについても懸念視が広がっているらしい。
日本や欧米では輸出食品についてのトレーサビリティ(生産地から消費地までの追跡)が徹底される傾向にあって、例えば日本国内のスーパーなんかでは「生産地」を明記することが義務化されている。BSEのような問題が発生したときに、生産地を特定するために必要となって整備が進んだものだ。
が、アメリカ・オーストラリアに迫る規模の食料生産地である中国では、こうしたトレーサビリティがほとんど整備されておらず、またそれの整備・徹底を要求するのも不可能に近いらしい。
ちょっと脱線するけど、アメリカが日本が米産牛肉の輸入規制を強化することに不満を持っているのは、「日本が産地トレーサビリティが不整備な中国産牛肉については輸入規制を行っていない、アメリカにばかり厳しすぎるのは不公平だ」ということもあるらしい。アメリカ産牛肉への厳しさについては、病気を出してる以上仕方ないと思うけど、これについてはアメリカ側の不満にも一理はある。
アメリカ産牛肉が締め出された後、オーストラリア産と並んで中国産牛肉も結構輸入されている。生肉として店頭に並ぶのは圧倒的にオーストラリア産が多いが、中国産のものは現地で加工されて加工食品になった状態で輸入されてくるので判断できない。


日本人の強迫的衛生観念は、「高温多湿周りが海」という風土によって育まれたものだと思う。
清潔にしていないとすぐに最近が繁殖するし食べ物は腐敗する。だから新鮮なものを尊び、普段から清潔整頓を心掛けることが必要不可欠だった。おそらく、日本人の多くが共有する価値観である「潔しをもって尊しとする」「卑怯を嫌う」「完全主義或いはやりすぎなくらいの徹底主義」も、こうした風土から生まれたものと見ていい。もし、低温低湿大陸中央で最近の繁殖が少ない地域に日本があったとしたら、「やたら細かいことにうるさくて清潔好きで潔い」という日本人の特性は生まれなかったと思う。*1
中国の場合を見ると、少なくとも衛生観念については、あまり芳しくない。
これは気候風土に基づく問題が大きいのだろうな、と思う。
現在の中国の「人件費の安さ」と言われているものは、工業的に発達している沿岸部の企業が、内陸部の農村から出稼ぎに来た人々を安く雇っていることによって贖われている。
中国は9割が貧困層で、1割(その中のさらに9割は共産党幹部の子息)がバブルに潤っている。
9割の安く雇われる貧困層は、十分な教育を受けているとは言い難く、必要性もなかったことから衛生観念、コンプライアンス意識に対する意識も低い。それらを高く保てというのはむしろ彼等には酷な話だ。



……とりあえず、収集がつく話題でもないので、さらっと聞き流して後で気になったことがあれば調べてみると面白いかもしれない。
ネタ漁りの過程で出てきた話いろいろなんだけど、これ怪談には使えないし(笑)
書く先がないので、吐き出しておきますということで。


そういうところの工場(や、畑)からやってくるいろいろな安いものは、覚悟して使わないとね。


本日の話題は食欲と物欲と怖い話のフルコースで。
これにパズルが加われば最近の趣味傾向としては完璧(笑)

*1:これが世界的に評価の高いTOTOなどの日本のトイレを生み出したのではないかと(ry