人間という管楽器はやっぱスゲエのだ

本日もまたまた、音楽な独り言。
例の話題は書くのにエネルギー要るから、またそのうち。


初音ミクというソフトウェアがすばらしいのは、その歌唱テクノロジーの部分だけではなくて、ささやかな設定やそれを膨らますことによって楽曲作者のイマジネーションを膨らませるところにある、というのは否めない。つまりは、「ウタを作るためのネタ(ヒント)」が、楽器にオマケで付いてきてるんだけど、そのオマケ部分の人気が爆発してオマケ目当てにソフトウェアを買った人続出、買ってからソフトウェアのテクノロジーにめろめろになったり、打ちのめされたりwという人もいるんだろうなあ、といろいろ思いは巡る。

で、キャラクターソングであれ、キャラクターから離れたものであれ、やっぱり何が凄いって、そうやって作られた楽曲の多くは素晴らしい楽曲作者の才能から生み出されてるんだなあ、っていうのが実感できるところが素晴らしい。
でも、そのVocaloidにスムーズに歌わせる調律技術の難しさというのは、ソフトウェアというハードルの高さに興味を持たず敬意を払おうとは思わない人には、実感が湧かないところらしい。というのは、昨年書いた「夫婦喧嘩のネタが初音ミク http://d.hatena.ne.jp/azuki-glg/20071206/1196920989 」あたりでも実感していた。
初音ミクで歌わせるのが凄いんだよ、ということをいくら訴えても、「だって人間が歌ってるほうがずっとうまいじゃない」と言われると、なかなか言い返せないのもまた事実。うー、そこんところは割り引いて聞いてくれよ、というのもなんだか負けを認めたみたいで悔しい(笑)

そういう夫婦喧嘩的な話はさておいて、実際のところ初音ミクという歌唱ソフトウェアに歌わせてはいるものの、そうして作られている楽曲そのものの素晴らしさ、凄さというのは、どうやったら初音ミクに興味がない人にも伝わるんだろう……と考えたら、やっぱ人間が歌ってるのを聞かせなきゃダメか! ということになった。


で。
初音ミクという人間ではない歌唱ソフトウェアに歌わせることを前提にした曲には、実際のところかなりトリッキーな曲が多いことは確かだ。猛烈に高い音、広い音域を要求したり、早口だったりw、複雑なメロディラインや転調だったりなどなど。そういう楽曲を作るほうも作るほうだが、それも正確に調律したソフトウェアになら……という割り切りがあってこそなのかもしれない。
なのだが、そういうのを実際に乗りこなすというか歌いこなすボーカルもまた存在する。それがまた頼もしくも素晴らしい。
人間というのはクラリネットやフルートと同じ、リードの付いた管楽器の一種なのだと思うのだが*1、正確無比に発声する人もいれば、声質、微妙な揺らぎ、滑舌、音の伸びのタイムラグ、スラーをかけるときの癖などで、個々のボーカルに個性の差が出る。千差万別のその違いがまた面白くもある。

実際、この揺らぎ、滑舌、音の伸びの〜などの癖は、それぞれのVocaloidの調律の際にも現れていて、Pによっては同じソフトウェアを使っているとは信じられないほどに異なる歌い方をさせたりもしている。その意味で、初音ミクは常に同じ歌い方をしてるわけではないんだなあ、と再発見したり。


で、話は戻って。
「ミクオリジナル曲を歌ってみた」というタグというか、そういうジャンルが存在する。多くの人間のボーカルが、初音ミクのオリジナル曲として書き下ろされた曲を、それぞれの解釈で歌いこなしている。気に入っている曲、iPodに入れて堪能している「歌ってみた」は、すでに300曲近い<多すぎ
どれもオススメなのだが、「初音ミクに全然興味がない人に、楽曲の素晴らしさを理解させるために、人間が歌ってるのを聞かせるとしたら、誰が歌ってるのを選ぶ?」というコンセプトで、何曲か選んでみた。
試しに選んでみたら、誰を入れるか、どの曲を入れるかで猛烈に悩んだ。自分の好みもあるし、歌唱の正確さもあるし、不正確だけど独特の味があるボーカリストもいる。人によっては、なぜそいつを入れる! なぜこっちを入れない!*2 という批判不満も言われそうな独断と偏見と僕だけがウハウハなアルバムを作るとしたら、たぶんこんな感じになるだろう、というのを選んでみた。*3


何曲かURLがないものは、既に何らかの事情で公開されていないもの。いやあ、保存しといて良かった。
名前の後ろに( )で別の名前があるのは、自称と他称が違う場合、名前が変わっている場合など。わかる範囲で。
曲のタイトルは原題に沿っているが、自分内で識別するために、ちょっと違うものになってるのもなくはない。失恋メルトとか。

ライブ通いの嫁に聞かす〜ミクジナルを歌ってみた セレクションVol.1

  1. みくみくにしてあげる♪(高音質版)/あめこ(めらみぽっぷ) http://www.nicovideo.jp/watch/sm1428437
  2. みくみくにしてあげる♪(大人ver/NEWアレンジ)/歌和サクラ http://www.nicovideo.jp/watch/sm1625529
  3. ハジメテノオト/みたに ( - )
  4. きみの体温(ぬくもり)/国木田子(シンバ) http://www.nicovideo.jp/watch/sm1626260
  5. White Letter/Milia(うたのおねいさん) http://www.nicovideo.jp/watch/sm1475989
  6. SING&SMILE/Re:A http://www.nicovideo.jp/watch/sm1703956
  7. 晴れときどきにわか雨/Re:A http://www.nicovideo.jp/watch/sm1599915
  8. 桜の季節/もぐたん http://www.nicovideo.jp/watch/sm1518985
  9. メルト♀歌和サクラ http://www.nicovideo.jp/watch/sm1776471
  10. メルト♂halyosy http://www.nicovideo.jp/watch/sm1754685
  11. 失恋メルト♂(アコギVer.)/羊 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1771644
  12. 女神のシュークリームのうた。/あきら http://www.nicovideo.jp/watch/sm1548856
  13. 不思議な幸せ/雌豚閣下 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1441287
  14. 初音ミクの暴走(高音質版)/あめこ(めらみぽっぷ) http://www.nicovideo.jp/watch/sm1438097
  15. やあやあ初音ミク専用ヴァージョン)/山本似之+初音ミク http://www.nicovideo.jp/watch/sm1526671
  16. 嘘ついてるの/終音ニク http://www.nicovideo.jp/watch/sm1565476
  17. ほんとは分かってる/布団姉さん http://www.nicovideo.jp/watch/sm1860538
  18. LALAWAY-僕らの長い帰り道-/はるよ ( - )
  19. コンビニhalyosy http://www.nicovideo.jp/watch/sm2003369
  20. 雪峰 yukimine/りょう http://www.nicovideo.jp/watch/sm2003316
  21. celluloid/はるよ http://www.nicovideo.jp/watch/sm1223673
  22. サウンド/はるよ http://www.nicovideo.jp/watch/sm1554997
  23. ストロボナイツ歌和サクラ http://www.nicovideo.jp/watch/sm2081784
  24. 幸せの種/みたに http://www.nicovideo.jp/watch/sm2235750
  25. ピンクスパイダー/ntmP http://www.nicovideo.jp/watch/sm2048943
  26. 最後の人類初音ミク+最後の人類 http://www.nicovideo.jp/watch/sm1558985
  27. ラクルペイント/ntmP http://www.nicovideo.jp/watch/sm1770480
  28. 片想イVOC@LOID/終音ニク http://www.nicovideo.jp/watch/sm2066227
  29. 初音ミクの消失/D様2_0+あめこ(めらみぽっぷ) http://www.nicovideo.jp/watch/sm1649052

それぞれの原曲は、もうかなり有名なメジャー曲、メガヒット曲ばかりなので、ふるみっくされてる人には改めて説明の必要はなく、逆に初音ミクをまったく知らない人に対しては、どの曲も「初めて聞く曲」だろうと思われるので説明は無意味だなあ、ということで。


メルトのhalyosy版「歌ってみた」のように、歌ってみたによって原曲がブレイクしたりっていうのがある反面、そこまで爆発的に注目される「歌ってみた」は、ごく少数。大多数は大勢の歌ってみたの中に埋没してしまったりで、再生数も思ったほど多くはなかったりする。
このセレクションの中で選ぶなら、halyosy歌和サクラ、みたに、雌豚閣下などはその他のどの曲も安定して聴ける、超実力派だろなと思う。halyosynなんかプロだしw 歌和サクラはみくみくにしてあげる♪大人Ver/Newアレンジ、メルト、ストロボナイツとメガヒット曲3曲を入れたのだが、これだけ歌い切れてるのを、事情をまったく知らない人に聞かせたら、「で、もう売ってんの?」くらいは聞かれそう。みたにのハジメテノオトは、もう聞けないのが残念だけど、幸せの種は昨日公開されたばかりなので、まだ間に合うと思う。これは聞くべき。
ヒゲミクことntmPのピンクスパイダーは絶品だし、シンバ(国木田子)のきみの体温なんか透明感があってステキ。
終音ニクを入れたことについては一種の賭なんだけど、実はこの声こそVocaloidには今のところ不可能に近いものなんじゃないかと思った。このぎりぎり感が個人的にヒジョーに好きなので敢えて入れた。
最初に入れる曲は知名度インパクト、キャッチーさを全部兼ね備え、また手慣れた感のあるあめこのみくみくにしてあげる♪をおいて他になかろうし、最後に入れるのは激情をもって歌い上げ、かつ小芝居に熱いものを感じるD様+あめこ版の初音ミクの消失が、アルバムの最後に良いんじゃないかなとか思った。

これを仮に実際のCDにしようとするとしたら……29曲1.7時間もあるので、2枚組になってしまう(^^;) この2枚組CDだったら、4000円くらい出すの全然惜しくないなあ。


とりあえず、このセレクションを聞かせて、「どうだ、いい曲だろう!」って興味を持たせて、それからじわじわと引っ張り込んでいくという計画はいかがなものだろうかと思ったりした。家庭円満のためにw


……こんな調子でどんどんストック増やしてるからこそ、iPodは16GBじゃ全然足りないわけっすよorz かといって一度touchに馴れたら、もうHDDには戻れないしなあ。ああ、ジレンマジレンマ。

*1:ていうか、逆w 人間の歌唱を真似て、或いはその発展形として多くの管楽器があるのだw

*2:「何故青もふが入ってない!」という批判は出そうだけど(^^;)、青もふボイスは「初音ミクに似ている」という点が高い評価を得てるのだと思う。このセレクションのテーマは「楽曲の良さを、初音ミクに興味ない一般人に伝えるには?」というものなので、今回は敢えて入ってない。別に含むところがあるわけではないんだけど、まあ一応。

*3:文庫の台割なんかはだいたい前後のつながりとかキーワード、舞台、意図するメッセージ、類似性などなどの連続性を考えて作っていくのだが、きっとこういうアルバムの曲順なんかもそういうことを苦心しながら考えてるんだろうなあ、とこれ選びながら思った。そういえば、こういう「マイアルバム」を作る専用CGIというのがどっかにあった気がする。後で探そう(メモw)