アーサー・C・クラーク逝去
koala情報が第一報でしたが。
SFの最後の巨星、アーサー・C・クラーク墜つ。
SFの三原則というと、アイザック・アシモフのロボット三原則がよく知られている。
- 第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
- 第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
- 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
(Wikipediaより引用)
が、しかし。
僕の好きな、そして心に沁み入る三原則は、どちらかと言えばクラークの三法則のほう。
クラークの三法則(クラーク)
- 高名だが年配の科学者が可能であると言った場合、その主張はほぼ間違いない。また不可能であると言った場合には、その主張はまず間違っている。
- 可能性の限界を測る唯一の方法は、不可能であるとされることまでやってみることである。
- 充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない。
(Wikipediaより引用)
これは「未来のプロフィール」がそれぞれの初出らしいのだが、僕は何か別の本*1で見かけて、最初に第三法則を知った。
我々が今の暮らしの中で触れている技術、例えばパソコンや携帯やiPodや……そうしたものについて現代の我々は*2、それが魔法ではなく技術だということを一応は知っているけれど、100年前、200年前の人が見たら、それはおそらく魔法に見えただろう。
このクラークの三法則は「やってやれないことはない」と要約することができるようにも思うのだが、多くの技術開発技術革新に携わる人々にとって、これほど心強い法則は他にないのではないだろうか。
クラークの著書はどれも素敵だ。
ストーリーもだけど、そのディティール、科学技術に関するフィクションだけでなく社会構造に対するフィクション、それらに対する動機付けなどの全てが素敵だ。
ベストオブベストは「宇宙島へ行く少年」。実に素晴らしい。あれを超えるジュヴナイルは未だ存在しないと断言したいくらい素敵だ。
「楽園の泉」も素晴らしい。本当になんとも素晴らしい。中島みゆきの「地上の星」を聴きながら読みたいくらいだ。
他の全てが素晴らしい。
あまりの素晴らしさに、全部読み尽くしてしまうのが惜しくて、我慢して読まずに取っておいてあるものがあるくらいだ*3。
享年90歳だったそうだ。
せめて、地球人による月往還民間機、木星往還宇宙機、スペースコロニーの完成を、翁に見ていただきたかった。
アーサー・C・クラークは、死んだのではなくより高次の世界、または恒星の彼方に旅立ったのだ、と思いたい。
科学と技術に魅せられた末裔の一人として、偉大なるSF作家サー・アーサー・C・クラークの地球での冥福と、恒星の彼方でのご健勝をお祈りします。