アラとパン屋と蚕豆

お米を切らしているので、今日のランチはパン。
焼こうかなと思ったんだけど、駅前の新しいパン屋をまだ試してないということで出かけてみた。

まず駅前の西友で特売品を物色。
今日は鯛アラと生めかじきアラをGet。
スーパーはその日の朝に仕入れた鮮魚を午前中に刺身&切り身&サクにして午後〜夕方に店頭に並べるので、新鮮なアラは昼過ぎくらいから店頭に並ぶのだが、小骨中骨や皮・ヒレが混じっているなど処理が面倒なこともあって、綺麗な正規品よりもずっと安い。特売アラと言っても前日落ちのものを売ってるわけではなく、味や鮮度は正規品と同じ。しかも、魚も肉もそうだけど、骨の付いてるとこの近くというのは美味い。
で、老人が佃煮にするほどいっぱいいる東長崎では、そういうことを「わかってらっしゃる」先達が多いのか、白身魚のいいアラは早い時間になくなってしまう。冷凍鮪の切れっ端系のアラはお年寄りにはキツイせいか、それともよほど大量に出るのか、夜でも残ってるんだけど……。
平日昼間にスーパーに行けるというのは、主婦の特権だよなと思う。
兼業ですが。


アラ探しを堪能した後、くだんのパン屋「ANTENDO」へ。
まだ新しい店内は、女性スタッフばかり4人。
バタール1本250円だったかな。
どれも美味しそうではあった、のだが、少々気になったことが。
池袋駅で買ったベーグルがふにゃふにゃでしょんぼりした話は既に書いた。ベーグルというのは外側がかりかりでその直ぐ内側はもちもちであるのが望ましい。これは、生地を成型して二次発酵させた後に熱湯で茹でて外側を密に固め、その後にオーブンで焼くというベーグル独特の作り方をすることで出てくる食感。
どんなパンでも同様なのだが、焼きたてのパンというのは表面がカリっとして、内側がふやふや。よくある「おいしいパン屋さん」のパンはこの理屈に合っている。もちろん、おいしいパン屋さんの翌日には外側がふやふやになって、その後は何もかもがカチカチになる。これはこれで使い勝手があるので嬉しい。

一方、嬉しくないパン屋さんのパンというのは、外側の皮が最初からふやふや。製パン工場製の袋入りパンもこんな感じだが、これは焼き上がってあら熱が取れていないうちに袋詰めしてしまうことで、パン自身が持つ水蒸気(=湯気)が袋の中にこもってしまい、それをパンが再吸収してしまうことで起こる。
焼きたてのパンは、袋詰め(袋留め)してはいけないのである。
映画やTVで見るヨーロッパのパン屋さんがビニール袋に詰めてない剥き身(包装が丁寧な場合でも紙の袋入り)でパンを売っているのは、ヨーロッパが乾燥しているということもあるだろうけど、それ以上にやっぱり「焼きたてを袋詰めするとふやふやになっておいしくない」からではないかと思う。
日本の場合、湿度が高くて黴びやすいとか、過剰に清潔感を求める日本人の潔癖症的性格とか*1、過去のグリコ森永事件にあったような食品への害物遮断意識などからか、食品はビニール包装してあると安心、というような神話がある。
これは野菜や鮮魚精肉だけでなく、パンなどにも当てはめられているようで、パンをビニール袋に詰めるパン屋も少なくない。ANTENDOもそのクチのようだった。例のベーグルがふやふやしてたのは、これもたぶんできたてを袋詰めしたからだろう。
のだが……焼きたてのパンのあら熱が取れないうちにビニール袋に詰めて口しばっちゃうタイプの店でもあるようで、ロールパンの袋は袋の内側が結露してた……(´Д`)
袋詰めのパンは、ここで買う気失せた。
もちろん、焼いてすぐに捌ける総菜パンは袋詰めせずにできたてをショーケースに並べていた。ではそっちを、と思ったんだけど、店内案内的な「いらっしゃいませー、本日は○○○を始め焼きたてのパンを揃えておりますー、どうぞごゆっくりお選び下さいー」のようなアナウンスを、そのできたてパンを並べているスタッフが念じていた。
というか、喋りながら並べていた。
いやー、ちょっと待て。
ツバ飛ぶだろ。絶対飛んでるだろ……(´Д`)
映画「魔女の宅急便」に登場した、キキの下宿先のグーチョキパン店の店主は、「うっ? おっ」というくらいしか台詞がない、極端に無口な男として描かれていたが、パン屋はあのくらい無口なほうがいい。
完成品をそのまま口に入れるものだけに、そして既に焼き上げた後のものだけに、商品陳列のときは無口でいてほしいとか思う。無菌手袋してても、それじゃ意味ないじゃんとか(´Д`)
あとあと、エプロン。
店の奥でパンを焼いてるスタッフのエプロンが汚れているのは、それは労働の証しなので仕方ないのだと思うのだが、客前でレジを打つスタッフのエプソンが汚れているのは、清潔感的にどうよとか思った。
菓子やケーキの品揃えは決して悪くないんだけど、いろいろ接客の点で損してるような気がする。
日本人の衛生観念へのチェックの厳しさは今に始まったことでもなくて、何かがきっかけになれば誰も煽らないのに不買や買い控えに繋がってしまうのは珍しくない。加工前原料表示義務づけの流れの原点にもなった中国産毒餃子、会社が傾いた雪印や、会社が消滅したミートホープ、権威も歴史も店舗も消滅した船場吉兆などなど、食品の衛生面に関して、ここまでうるさい昨今を考えたら、このへんはしっかりしないと早期撤退になりかねないとも思うので、頑張ってほしいなとか思うのだった。


そんなわけで、パンはまた北口東急のパン屋に行こう。


パン屋帰り、いつもの八百屋に寄る。
自主トレのためのラディッシュ、5個で50円。
舞茸1株で50円。
水耕レタス1袋で50円。
小振りの小松菜8〜10把くらい1袋で50円。
プチトマト、1.5〜2cmくらいのが20個くらい入って90円。
蚕豆が1袋250円。
ぬぬぬ。
この前走りのを食べたときには、3個分入ってそうな莢に1個しか入ってなかったり、結構くやしい思いをしたんだけどw、もう盛りだしなあ。やっぱ食いてえなあ。
ということで、できるだけ莢が大きくて重いヤツを選んで一袋買う。


蚕豆は洗わず、莢ごとオーブントースターに入れて7分ほど焼く。
莢で豆が蒸し焼きにされるので、いちばん楽かつうまい食い方だと思う。
アチアチと開けてみたら、どの莢にも3個ずつ入ってる。
いちばん小さい、たぶん1個+育ち損ない2個くらいだろうと思ってた莢にまで、たっぷりしたサイズの豆が3個詰まっていて、今回はたいへん得した気分。
今夜あたり客が来るようなので、客に出してやろうかと思う。
きっとビールに合う。

*1:この日本人の過度の潔癖症は、湿度が高くて黴びやすい、ものが傷みやすいという風土と切り離すことは出来ない。