36000キロの瞳

1992年。
もう20年前になるのだが、その頃に東京人工群島というシェアードワールドをやっていた。という話はコレまでに何度か書いた。
1992年から見て27年後の世界、2019年頃を舞台に据えた近々未来ものの読者参加型群像劇小説群で、登場人物の多くは読者の創作による、というか読者のアバター。著者も複数存在し、それぞれの作品、登場人物は平行して進行する上に同時間軸にあったりすると複雑に影響し合ったりする。もう一度やれと言われたら泣いて謝るw


その中で書かれた小品が「36000キロの瞳」で、夏休み最後の日、お父さんと一緒に花火を見に行きたかった少年、松下桃郷とうごのお話である。
50枚くらいの短編なのだが、思い付いて完成まで一晩。「勢いがあれば案外できるもんだな」というものを自覚した最初の一作であり、今も「人生の中で指折り数えるくらい気に入っている、大切な一作」であり。
竹の子書房を始めた折、どうにかして電子書籍にしてみようと、いろいろ工夫を凝らして夏休みの課題図書風の一冊に仕上がった。


これを、昨年末頃に竹の子書房ラジオ課の面々が朗読劇――ラジオドラマに仕上げて下さり、それはそれは……役のハマリ具合、SE、BGMと、素晴らしい出来映えに。
これはニョキラジで放送され、ニョキラジのリピートをやっている第二放送でもしばしば掛けられているのだが、改めてオーディオドラマの態に作り直されて、ニコニコ動画にアップされた。雨宮淳司氏の手によって。*1



http://www.nicovideo.jp/watch/nm16589273

原作:楠原笑美
出演:こはらまりか、こたろー、つくね乱蔵
クレジットナレーション:ゑな
演出/動画作成:雨宮淳

つくねさんは外語大出身なのだそうで英語発音も美しく、そして森本レオ声でお父さん役で出演。
こたろーさんは爽やかなお兄ちゃんの声を快演。
こはらさんは朗読と主人公の桃郷、他を熱演。



児童書の風でいてこっそりSFであり、子供のために書かれた風でいて実は「子を持つ父」にこそ読んで貰いたい作品だったり。
夏休みが舞台の話を正月に出すのはいかがなものかと思わないでもないけどw、そこはひとつ遠い未来の……いやもう、あと7年後か。7年ほど未来の話なんだということで、ご容赦を。

*1:雨宮氏はラジオドラマフリークでもあって、ニョキラジ周辺の音響を手がけるうちに、最近ではラジオドラマの演出、編集、製作まで手がけるようにw