煙管の作法とパイプのメソッド(書き下ろし)

ここ何年か、怪談本ばっかり書いてたけど、久々に怪談とあんまり関係のない本を、盟友である須藤安寿先生と共著で書き下ろした。


紙巻き煙草の禁煙……に失敗しがちな人のための、「少なくとも紙巻き煙草の禁煙には成功できる」本。
その代わり、煙管かパイプにハマりますよ、というようなコンセプトになっております(^^;)
紙で出す予定は今の所ないので、電子書籍のみのご提供です。



モノカキ・エカキはヘビースモーカーが多く、咥え煙草でチェーンスモーカーも昔から珍しくない。
が、近年、健康志向&煙草の価格高騰、喫煙可能な場所の減少もあって、喫煙者は減少傾向にある。
そのこと自体はともかく、これに伴う弊害がちょっと起こり始めている。

煙草を吸わない作者による、「煙草を吸うキャラの描写」問題、というか。
映画、漫画、小説に拘わらず、悪役だったり渋め・ワルめの登場人物が煙草をくわえている描写というのは珍しいものではない。
のだが、吸わない人が増えているせいもあってか、喫煙描写が間違ってるものがちらほら目に付き始めた。

紙巻き煙草はまだいい。「咥えてライターで火を点けて、大きく吸い込んで【ふー】」みたいな描写で、概ね間違ってない。
減ったとはいえ、周囲には喫煙者もまだまだ多い。

ところが、煙管やパイプになると、描写が根本的に間違ってるものが案外目に付く。

例えば煙管。
雁首(煙草を入れるとこ)は熱くなるので必ず羅宇を持つ。咥え煙草のイメージなのか、咥え煙管をしてる描写も目に付くが、煙管は必ず手に持って吸うものだ。(吸い口が丸いので、咥えているとくるんと回ってしまうのだ)煙管の一服は、多くて3服程度。咥えっぱなしでいたら、すぐにタネが終わってしまう。また、煙管は原則として火種があるところで吸うものだ。(火種を持ち歩く場合もあるので)不可能ではないけど、路上喫煙というのはあまりない。

例えばパイプ。
ライターだけではパイプは吸えない。必ずタンパー、ピック(合わせてコンパニオン)が必要で、吸っている最中は割と小まめにタンピングをし、灰を捨てる。持つところはボウルで、シャンクやマウスピースは持たない。パイプレスト(パイプを置く台)は必須(そうでなければ机に直置きできるパイプでないと出先で吸えません)などなど。

記憶にある限り、パイプで喫煙する様子を非常に正確に描いていたのは旧作のムーミン(のパパや、スナフキン)と、あらいぐまラスカル(の主人公スターリングのパパ)で、ムーミンパパはタンピング、コルクで灰を捨てる、ピックでチャンバーの中のタバコ屑を浚う、といったかなり細かい描写がされてた。今思えば「なんでそこまで細かく描写する必要があったのか」と思わなくもないんだけど、最近のムーミンパパは帽子とステッキになってて、昔のトレードマークだったパイプはもう咥えてないんだよね……。


というわけで本書は。
タバコ代が嵩んで禁煙を考えている人には、「もっと安くてうまいタバコがあるぞ」と教え、タバコは吸わないけど「煙草を吸うキャラの描写」に不安がある人には、「描写に必要な程度には十分実用的な説明を」というような、色々な意味で実用的な一冊になっています。

パイプの説明本って要るよなー、と思ってたところに、「煙管を始めてからブログに来る人のかなりの割合が、【煙管】というキーワードで流れて来るようになった」という須藤先生からお声掛かりがあり、
「やりますか?」
「やりますか!」
と相成って、それぞれの本業の合間を縫っての執筆、上梓と相成った。

4月頃から始めて二人がかりで、文庫本に直すとだいたい150〜60頁分くらい。須藤先生といえば、僕など足下にも及ばないほどの「文字の壁が超速筆で押し寄せてくる」系の速筆作家さん。最近はブログほったらかしてTwitterゴゴゴ三昧の僕ですが、久々にゴゴゴじゃない文章書いたヽ(´∇`)ノ
原稿完成直後くらいに、たまたま「最近やっと手が空きました!」という絵本作家よしはるKさんを捕まえることができたので、ナイスな表紙も書き下ろしていただいた。
まずは、表紙原稿料を支払えるくらいは売れるといいなあ、と(ry



それはそれとして、夏に向けて電子書籍でのみ読めるものをあともう幾つかリリースしたい。
可能なら、毎月1冊くらいは出したいなあと思ってるんだけど、電子書籍特有の課題点もあって、なかなか思うに任せずといったところ。
できれば7月くらいに、実話怪談本(電子書籍のみリリース)を出せるといいなー、というところで、AZUKIさん、生きてます。


生存報告でしたヽ(´∇`)ノ