アメリカから煙草が届いた。安かった
今、日本国内(特に東日本)ではあらゆる日常品が手に入りにくくなりつつある。
昨年秋の煙草税増税で値段がガンと上がった煙草は、一時期駆け込み買い溜めでドンと品薄になった。
これを機に紙巻きから煙管にシフトする人も出たようなのと、生産農家がじわじわ減っていることもあって元々品薄気味だった煙管煙草・小粋なんかは、一時期完全に市場から消えてしまった。
これまで煙管煙草の銘柄は小粋一品のみだったのだが、この空前の小粋不足wを補うためか、もしくは「日本国内産煙草」の品薄に対する対応策なのか、煙管煙草・宝船が登場した。宝船はデンマーク産の「アメリカンブレンド」のバージニア葉……要するに、本来は手巻き煙草の煙草葉であるようで、これを極力細く刻んだ。とはいえ、やや乾燥気味で針のような極細の小粋*1に比べると若干太く、またやや縮れていて、ドスンと重い小粋に比べて宝船は若干軽い…………、
まあとにかく、海外産煙草ということで国産ものより手に入りやすいということだ。
これは煙管煙草に限った話ではなく、紙巻きでも同様であるらしい。
道路上の自販機などを見ると、セブンスター、マイルドセブンなどの所謂国産煙草は軒並み売り切れで品薄状態。
逆にKENT、マルボロなどの所謂洋モクの類は品切れということもなく、まだまだ在庫に余裕があるらしい。
煙管煙草と同じで、産地が国内ではないものは供給にも余裕がある、ということか。
パイプ煙草の場合で言うと、実は日本産銘柄ってのは皆無。
その全量が外国産煙草。
飛鳥、桃山、カピートⅡなど日本名や日本の企画販売している銘柄はあるのだが、そのいずれもが海外メーカーにブレンド・生産を委託しているOEM商品またはファブレス商品であるのだそうな。
日本には元々煙管文化があったこと、明治期〜大正に紙巻き煙草が入ってきて、そのまま日本では煙草=紙巻き煙草が普及してしまったため、1970年代の一時期を除いてパイプというのは、日本国内では定着しないスキモノの道楽文化という位置づけに。
当然、パイプ煙草のほぼ全量が輸入。
僕が嗜むものも当然輸入煙草なわけなのだが……。
「だったら個人輸入しちゃえばいいんじゃね?」
ということで、知己にご紹介いただいた海外のパイプ・煙草通販サイト*2に挑戦してみた。
購入&支払い手続き*3がテンプレ化されてるeBayでの即落や入札は慣れてきたものの、クレカを使う、手続きがテンプレ化されてないサイトでの購入はまだまだ不慣れ。英語もぁゃιぃw
まあ、当たって砕けようということでチャレンジ。
このサイトではパウチ売り、缶売りの他にバルク売りをしているということだったので、教えてくれた知己のお奨めの銘柄を1オンス、日本国内で気に入って何度か買っているガレリア・ラム&メイプルを4オンス、日本には輸入されてないガレリア・ヌガーを2オンス、それぞれ試してみることにした。
1オンスは28.35グラム。日本国内で流通している缶/パウチは、40グラムか50グラムが中心なので、1オンス=1/2パウチ、というようなざっくりした計算となる。
例えば、ラム&メイプルは4オンス、約113グラム。日本で販売されているパウチは45グラム入り、とちょいと半端な数字なのだが、4オンスで約2.5袋分てところか。
このラム&メイプル45グラム入りは、日本で買うと1200円。
一般的な紙巻き煙草は20本入りで400円くらい。1本の煙草に約1グラムの葉が使われている、という計算らしいので、1箱20グラムで400円が、一般的な煙草の値段。
それと比べると45グラム=2箱ちょいで1200円、1箱あたり600円強というのは、随分高い(´・ω・`)
まあ、残り3センチ残してもみ消す紙巻きと違ってパイプ煙草は全部灰にしてしまうので、可喫量で言うとパイプ葉のほうが無駄がなく効率はよい。
また、紙巻き煙草は吸う人は一日に一〜二箱は消費する。20〜40グラムを1日で消費するわけなのだが、パイプ煙草というのは40〜50グラムで平均的には2週間分である。1日1回、または1日分=120分喫煙できる量×14日分、という見当になっている。一回の喫煙(120分)*4で使う量は3〜4グラム程度。
1日に2箱吸うのだとして、1日で800円ずつ消費するのが紙巻き煙草で、1日に2時間吸い続けて14日で1200円消費するのがパイプ煙草。1日当たりだと約85円。
それだけでも実は経済的……と思っているのだが、これは煙草税が乗った金額であるわけで……。
アメリカでもヨーロッパでも、煙草の値段は大変高い。紙巻き煙草は1箱、日本円にして1000円近くもするのだから、日本もそのくらいの値段にすべきだ! という意見を政治家からも聞いたのだが、欧州・アメリカの紙巻き煙草は確かにそれなりに高いのだが、一方で自分で巻く手巻き煙草や、巻かないパイプ煙草の税金は馬鹿安なのだそうな。喫煙は低所得者の嗜好品なので、そこにあまり高額の税金を掛けてしまうと犯罪の温床になりかねない、とか暴動起きるwとか、いろいろ理由はあるらしい。
そんなこんなで、少しでも安く喫煙したいから手巻きやパイプなどが現役の嗜好品文化として存続する。世界的に「紙巻き煙草」は減少の一途を辿っているが、本数がカウントできない煙草のほうは、とりたてて衰退している、というわけでもないようで……。
お金の話に戻る。
ラム&メイプル、45グラム入りを日本で買うと1200円。
今回、同じ銘柄をバルクで4オンス(113グラム)買ったのだが、価格は4オンスで$8.19だった。ざっくりと$1=83円で計算して、$8.19=約680円。
えーと、日本で買うと1グラム=約27円。100グラム買ったら2700円。
通販で買ったのは、1グラム=約6円。100グラム買ったら600円。
2700円−600円=2100円。
差額、2100円。税金相当分、及び現地価格との格差が2100円。
「パイプ煙草は1200円だけど14日掛けて吸うから、全然割安なんだぜ♪」
とか言いましたが、アメリカではもっと安かったようです。なんだこの価格差は!
日本と同じ45グラム入りパウチをアメリカで買ったら、単価は270円だったorz 930円も違うわ!!!!
もちろん、送料は別途掛かる。
これは日本でも同じで、パイプ煙草の多くは自販機はもちろん、そのへんのタバコ屋でもほとんど扱われていない*5ので、往復の電車賃を使って街中の専門店まで買いに出るか、専門店の通販サイトから送料かけて購入するか、になる。
国内の煙草通販サイトは3000円以上からでないと注文を受け付けてくれず、送料は350〜600円の間くらい。僕が電車乗って一番近い「パイプ煙草を扱ってる店がある駅」まで行ったとすると、新宿か池袋か中野になるが、いずれも往復したら400〜600円前後くらいになるかなあ。
通販の送料と変わらん。
海外通販の送料はどのくらい掛かるのかというと、これは「重さと速さ」で随分違う。重量物を航空便で送れば、早くは着くけど送料は嵩む。
今回はUSPS Priority Mailを使った。要するに船便。
送料は$12.96(1075.68円)。
アメリカからの便ということで格安便だけど若干値が張った。まあ、次からはできるだけ多めにまとめ買いしたほうが送料比は安くて済む気がする。
3銘柄で、7オンス、約200グラム分の煙草の総額が$18.47(1533.01円)で、送料が1075.68円、総額の2/5が送料。うーん、送料嵩んだ(´・ω・`)
でも、200グラム(4パウチ分)買って、かかった費用の合計が2608.69円なら、日本では2パウチ買って送料が足りない、くらいの金額なので、やはり半額くらいで済んだことになる。
やっぱ、日本は物価高すぎる(´・ω・`)
金額も去ることながら……。
さすが本場というか、インディアンから教わった煙草を世界に広めた国というか国民総甘党の国というべきなのかw、アメリカは煙草すらも甘口のものが多い。日本では「アメリカン」といったら薄口コーヒーのイメージから「薄口」のように思われがちだが、煙草の世界ではアメリカン、アメリカ風といったら「ぎとんぎとんに甘く香り付けしたもの」という解釈になるらしいw 実際、どれもこれも甘そうな銘柄ばかりなのだが、それでも「蜂蜜の甘さとチョコの甘さとメープルシロップの甘さと果物の甘さとベリーの甘さとラムの甘さとバーボンの甘さとバニラの甘さは違うのだ!」というように、甘さの中に甘さの違いを見分けるのがアメリカのこだわりというものでもあるらしい。
キャラメルとヌガーは別もので、バーボンとウィスキーは別銘柄、ワイルドベリーとブルーベリーは別扱い……と、煙草に付ける香りの種類も凄まじく広く、選択肢が幅拾い。
いつでもどこでも同じものが買えて、一度これと決めたら滅多に銘柄を変えることがないのが日本の喫煙文化。
もちろん、世界各国の喫煙者も長年吸えばお気に入りだけを選ぶだろうし、選択肢などなく「うちは昔からこれ一種」てなところもあるのだろうが、僅かずつ違う風味をいろいろ試して選んで楽しめるってあたり、このアメリカの煙草文化は日本のあるものに似てるなあ、とも思った。
日本酒に。
酵母の種類、酒米の種類、仕込み方、杜氏の嗜好、温度管理、産地。そんなもので千差万別の味の違いが生まれる日本酒は、「好きな銘柄を飲む」+「知らない銘柄にどんどん挑戦」というものだ。
これはワインなんかもそうかもしれない。
つまり、アメリカ人にとって煙草っていうのは日本人にとっての日本酒、フランス人にとってのワインみたいなものなのかもしれんなあ、と。
そう考えればいろいろ合点もいく。
世界的に禁煙が進み、喫煙文化は縮小の方向に向かっている、と言われているけど、インド、中国、ロシア、ブラジルの所謂BRICsの喫煙率はまだまだ高い。健康志向で縮小に向かう、というような時期にもない。
イギリスなど、「吸っていい場所」の減少は確かにあるのだが、喫煙そのものが禁止されているわけではなく。
アメリカの「伝統文化」であるところの喫煙についても同様であるわけで、「都市居住者」「ヤッピー」「健康に金をつぎ込める経済力がある層」の行動様式と、「そうではない大多数の層」の行動様式は分けて考えるべきなのかもしれんなあ。
日本人全員がカラテ使いのニンジャではないようにw、アメリカ人、もしくは「外国人」「世界の人々」という単一存在が全て同一の方向に向かっている――というような解説は、どこかに「ひっかけ」がありそうでもある。
そう考えていくと、「それがあたりまえ」「それが世界の風潮」「あの国がそうだからうちもそうすべき」的な論調で語られるあらゆる対象について、いっぺん疑って掛かってみたほうがいいのかも。
ところで、1パウチで14日分と言われているパイプ煙草なのだけど、僕は1パウチを消費するのに45日くらい掛かる。
同時に複数種を開けているせいもあって、一度開けたのが終わるまで2カ月くらい掛かるのもザラ。その間、乾燥しすぎて香りが飛ばないようにとか、なんだかんだでいろいろ管理しているのだけど、200グラムも買ったら半年以上保つなあ(^^;)
これから温かくなるし、むしろカビさせないように気をつけないと(´・ω・`)
そんなわけで、4/6に注文して4/16に到着。所要期間約10日ということで、まずまず良い感じ。
次もまたここで頼もう。