鳩山首相辞任の余波と後継の予測〜鳩山が辞めたくらいで選挙に勝てると思ってるのかなあw

今日のネットの、そして日本の話題は恐らくこれで埋め尽くされるだろうと思う。
本職のほうも修羅場なので、あちこちの様子を当たって傾向を調べる楽しみが……orz


ともあれ、現状考察とこれから起こることの予測など。

鳩山辞任表明演説(NHK


http://www.youtube.com/watch?v=aA9G4AneTpM

鳩山首相の発言全文 - 47NEWS(よんななニュース)
http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010060201000393.html

PS.
どうやら国民に向けた辞任会見は行われない見通しの模様。
民主の両院総会内での辞意表明だけで事を進めて、6/4に代表選+首班指名、週末に組閣、週明け月曜に新内閣発足で来るようだ。
ソースは時事ドットコム

時事ドットコム鳩山首相、辞任会見を拒否=「説明責任放棄」の批判も
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010060200474

しかし、同僚議員向けにのみ愚痴垂れて国民には説明なしって、どういう了見なのかしらん。

辞任表明

鳩山首相の辞任表明は、民主党両院総会(所属議員の集まり)での演説、という形で行われた。
国民に対する説明ではなく、「身内に対する釈明」が先行した形。
要旨を一行で要約すると、

国民が聞く耳持たないからやめる

であるらしい。というか、聞く耳持ってても理解できる事ひとつも言わなかったじゃないか、というのが国民側からの反論ではなかろうか。
他に、「普天間問題の県外移設ができなかったから」「政治と金の引責」などでも辞めるという。
でも最大の理由は「このままじゃ参院選勝てないから」だろう。
辞めれば参院選に対する逆風は少しでも和らぐ、という見通しなのだろう。社民の連立離脱引き留めとかにも奏功する、という考えか。

選挙に勝つために辞任、てのもなんだかなあ。

首相辞任によって解任される面々

首相辞任=内閣総辞職を意味するものと考えられる。この先の辞任会見でいきなり「解散」とか言い出しかねないので、今の時点での解釈ということで。
当然ながら、【解散はしないが辞任はする】ということで首相辞任によって鳩山首相本人はただの議員に戻る。

首相辞任に伴い、小沢幹事長も解任になる。これも選挙対策だろう。(でも小沢一郎は民主の選挙対策担当のはずだが、選挙対策のために選挙対策担当者を解任してどうするんだろう)

さらに、首相だけ辞任ということはないわけで、内閣総辞職になる。
ということは、赤松口蹄疫を引き起こした赤松農相も、普天間問題で迷走を手助けした北沢防衛相も、年金問題以外はまったくの素人だった長妻厚労相も含めた、内閣全員が辞職ということになる。
つまりは、「手を突っ込むだけ突っ込んでかき回して政治主導を宣言した多くの案件」が、放り出されることを意味している。

政治主導のデメリットによる行政の混乱

従来の自民党政権では「官僚政治」が批判を浴びてきたが、官僚が行政を運営しているシステム下では、例えば政局が動乱を迎えようと大臣が無能であろうと、一定の安定を伴って行政システムの運行が止まることはない。官僚の前例主義や固陋さが批判を受けることはしばしばあるが、「言われたことを必ずやる」「指示がない場合、全力で現状維持」というのが行政官僚の基本性質なわけで、極論すれば政治家が無能でもタレントでもスポーツマンでも、政治家がいなくても(!)、官僚がいれば行政システムは維持される。
非効率性という問題点ももちろんあるが、非効率=バッファが多いシステムというのは、実は安定性も高い。
喩えとしてはアレだが、帰還しつつある小惑星探査往還機「はやぶさ」にはエンジンが4つ付いていた。4つなくても飛行はできるのだが*1、もし1つしかエンジンがなかったら、最初のトラブルの時点ではやぶさは機能停止に陥っていた。また、本来は必要ではなかったが複数回路へのルートを切り替え可能にしておく、というバッファ*2の存在が、結果的にシステムの維持と計画継続に役立った。
同じような目的のものが複数並行して存在するというのは、一方が機能不全を起こした場合に備えた予備、保険であるわけだが、保険は同時に「いざというとき以外は使わない死蔵機能」でもあるから、平時にはそれは「ムダ」に見えてしまう。
自民党政権=官僚システムというのは、「いざというとき」に備えたムダも多かったが、同時に「いざというとき」に備えられる二重三重の保険が掛かったシステムだった、とも言える。


対して、民主党政権はこれを「政治主導」に変えて官僚の担当作業を減らし、効率を優先し非効率な部分を詰めていく、という方針に舵を切った。
これは政治が有能な働きもので官僚以上の能力を有し、失敗が一切ない、というものであるなら理想的に働くが、今回のように政治が脳死する、将来が予測の難しい不安定状態に入ったような場合には、行政システムそのものが政治の迷走の影響をモロに受けることになる。
行政上の「政治家の指示がないとやってはいけない」とされている事柄のほとんどは、これからしばらく停止することになる。
「大臣が決めないとできない」「総理の判断がないとできない」「幹事長がウンと言わないと決められない」というのがこの八カ月の民主党政権の基本体制だった。政治主導というのは、つまりそういうことであるわけなのだが、では政治の準備が整わないからといってあらゆる事故・災害・紛争が待ってくれるかといえば、待ってはくれない。
政治主導=政治家のトップダウンを待たなければ何もできず、なおかつ政治家が常に有能である保証がなく、さらには「予備」や「保険」がムダとしてそぎ落とされた効率化されたシステムでは、こうした不慮の自体には対応できない。*3

民主党がこの八カ月で自民政権の用意してきたバッファや保険をどの程度破壊してきたかによって、我々国民が被るダメージに影響が出る。

「ちょっとやらせてみるか」「それでも自民よりはマシなはず」のツケを払い続けてきたが、鳩山政権が瓦解したくらいでは、それは払い終えたことにならない。


少なくとも、赤松口蹄疫に絡んだ政府対応、棚上げされっぱなしの年金問題、合意したはずの普天間基地移設問題などについては、主導すべき政治が脳死するのだから、官僚が自主対応することも許されないわけで、全て停まることになる。

赤松口蹄疫

これについては、

  • 補償
  • 埋却地確保

など、宮崎県が要望してきたことに対応する司令塔がまたしてもいなくなるわけで、赤松農相は面倒事から解放され「後は私の仕事じゃないよ、ニヘヘ」と肩の荷が下りた気分だろうが、次の農相が決まるまでの間事態が進行しないわけではない。
石垣島の発見例は陰性で済んだが、政府関係者がこれから「選挙運動」などで各地を活発に移動するこの時期に、宮崎県以外の地域にパンデミックが広がっていった場合に、対処対応を指示するセクションは、今後暫く休業状態になる。
まあ、もともと機能してなかったからいてもいなくても変わらないといえば変わらないけど、事態の深刻化に拍車を掛けることになるのは避けられない。

普天間基地移設問題

これについては、辺野古移転で日米政府は合意したものの、合意を担う一方が辞職してしまった。
これが自民党政権時代は「政治の継続性」を堅持するため、外交課題については前政権が提案したもの、相手のあるものについては継続課題として次の政権が引き継いできたが、民主党政権政権交代の折に自民党政権が培ってきた外交上の約束を「政権交代を理由に破棄」してしまっている。(普天間基地移設問題がまさにそれ)
これは日ソ不可侵条約を一方的に破棄して攻め込んできた8月15日以降のソ連軍と同じようなもので、「日本は外交的な約束を守らない」という不信を募らせることになってしまう。

今回、仮にすぐに次の政権が決まったとしても、普天間基地問題についての態度表明は強いられる。
「鳩山政権の決定を継承する」とした場合、鳩山辞任によって軽減された嫌気は全て戻ってくることになるし、鳩山政権の決定を「政権交代によってゼロベースに戻す」としてしまった場合、日本と外交上の契約を交わす国はいなくなる。
少なくとも普天間基地はこのまま固定されるのでは。


普天間基地の移設について言えば、

  • 日本側の要望(市街地の真ん中にある基地は危険である)から始まった
  • アメリカ側は日本側の要望を受け入れて、日米両国が協議に入った
  • 移転先については、日米両政府及び辺野古(受け入れ先)による合意ができていたものを、民主党が白紙に戻した

という経緯がある。

普天間基地は、朝鮮半島危機と台湾危機の双方に備える必要から、両方のほぼ中間地点、さらには海兵隊の特殊部隊をヘリ*4で運べる、補給インフラのある最短距離、という条件を満たす場所にある必要を外すことができない。基地ならどこでもいい、竹島にでも置いてやれ、という敬遠論は、基地が何に備えているのかという戦略を考えれば、検討に値しないのは言うまでもない。

また、グァムに一部が移転するのだか普天間基地も持っていってくれ、という話があるようなのだが、グァムに移転するのは司令部など制服組とその家族。通信技術の発達で、司令部が最前線になくてもいい、ということになったので、司令部とその家族がグァムにまで下がるのであって、台湾と朝鮮半島に押っ取り刀で駆けつける実戦部隊と装備は、現地にもっとも近い場所=沖縄に集積しておかなければならない。グァムにまで下げたらそれだけ物理的な移動時間・移動距離が増えるわけで抑止効果は低減する*5

訓練を県外で、というのはこれまた無理のあるというか無駄が出る話で、例えば1000人の部隊の演習を基地の近くで行うのと、基地から離れたところにまで移動して行うのとでは、移動に掛かる燃料代の分、余計に負担が増えることになる。
「訓練地を別の場所にしてくれ」
「やだよ、移動代ないもん」
「移動代はこっちもちにするから」
という話になったら、結局米軍の訓練に要する費用の一部を改めて日本が思いやり予算から負担する、という話になる。これはイニシャルコストではなく、基地が存在し続ける限り発生し続けるランニングコストなので、「これだけ払えばok」という終わりがない負担であるわけで、結果的に日本全体で割り勘したとしても、受ける負担は当初より膨大なものになる。
「基地の隣で訓練させときゃ安かったのに、誰だよこんなことを言い出したのは」
と、僕らの下の世代辺りに愚痴られ、「バカな政治を容認してきた年寄りどもは、現役世代の苦労に対して責任を取れ」と、言われてしまうかもしれない。というのはいつもの考えすぎなIF。

鳩山政権の後継

鳩山首相の後継を巡る展望は以前にも何度か書いているので軽くおさらい。

可能性として名前が取り沙汰されているのは、

次点で、原口総務大臣とか仙石行革大臣辺りとか。さぼり記では過去に「ダークホースで田中眞紀子w」という案も出しているが、それはいっちょ横に置く。
このへんは、予想者の願望と人気投票と知名度の話が混在しているので、実勢で予想。

菅直人

菅直人は、市民運動からのし上がった政治家で、新党さきがけ厚生大臣を経験している。*6
まず、(民主党にとっての)メリットを考えた場合、もし民主党が「総理は辞任するけど政権のたらい回しはしない」というのを本気で言っているつもりなのだとしたら、鳩山政権下の菅副総理を昇格させ、閣僚については鳩山内閣の陣容を一部改造するくらいで継承、という形になる。
これだと、少なくとも進行中の事業などについては連続性が保たれる*7。それが良いか悪いかは別問題として、民主党の進めてきた政策はスムーズに進むことになる。
海外の投機筋なんかは民主党政権が急転回して起こる混乱を望まないので、菅新首相が望まれてるっぽい。

ただし、菅直人という政治家の不勉強性&迷走性は鳩山由紀夫という政治家と基本的には同じ方向性のものと言える。違いはお金持ちの母親がいない、嫁がヅカ出身ではない、というくらい。
鳩山由紀夫は博士号を持つ理系首相と言われたが、菅直人も理系で、麻雀普天計算機の発明などがあ(ry

傀儡の神輿首相にするなら、これほど担ぎやすい人材もなかろうかと思う。
党内での勢力基盤は決して強くないので、もし代表戦を勝ち抜こうと思ったら、党内最大勢力、第二勢力の支持を勝ち得る必要がある。
つまり、民主党最大の勢力、小沢グループ鳩山グループの支持が得られるかどうか、彼らの傀儡になる覚悟を問われる。

菅直人民主党代表を辞めたのは、年金問題がブーメランで戻ってきたことによる。年金未納三兄弟というフレーズで勇ましくブーメランを投げたら、福田官房長官(当時)が凄い勢いで投げ返してきて*8、自身の未納問題と官房長官辞任とが刺し違えになった。その後、お遍路へ……。
そういえば、民主党に対して「ブーメラン」という愛称が付くようになったのは、この人から。
ネットでの愛称は「チャンスをピンチに変える男、ミラクル・カン*9」だったかと思う。

どっちにせよ、現時点での後継首相に最も近いのはこの人だろう。
そしてこの人が首相になると……


恐らく、やっぱこれが思い出されるし、これをベースにしたAAが広まるんだろなー。


岡田克也

岡田克也通産省出身で、官僚から政治家になった。初当選は自民党で、小沢一郎とともに離党、点々として今に至る。*10
外相としての職務が進むたびにどんどん窶れて人相がフランケンシュタインからゾンビみたいになっちゃっていた。
菅直人と同じく民主党代表経験者。
民主党がもし「生まれ変わった民主党」「政治と金問題から最も遠いクリーンな首相」を全面に押し出したいなら、岡田克也が適任と言える。この人の場合、実家はイオングループ総帥なので、「家が金持ち」「ボンボン」という点では鳩山首相と大した違いはない。
売りは「まじめさ」「頑固さ」、民主党代表時代のスローガンは「ひたむきさ」だったかと思うが、この人のまじめ・頑固というのは「融通が利かない」「方針が間違っていたとしても、それを容易に翻すことができないので、どこまでも間違った方向に向かって全力で邁進してしまう」というリスクを裏面に秘めている。
頑固さという点も踏まえて言うと、傀儡にはしにくい。頑固さという点で言えば、「言うことを聞かない神輿」は神輿にはなりえないわけで。
ただ、鳩山の後は菅か岡田かと言われてきて、当人もなんとなくそのつもりがあるのも確かで、鳩山政権に入ってからは小沢批判なども控えてきている。控えているのは、「将来自分が担がれる可能性」を多かれ少なかれ意識していることの反証とも言えようか。

岡田グループというのも、単独で見れば党内では非主流派。
参院*11の支持+やはり党内第一派閥の小沢、第二派閥の鳩山の支援なしには代表戦はおぼつかない。

ところで民主党代表をこの人はなぜ辞めたのかというのを思い出すと、郵政選挙で地滑り的大敗を喫したから。
つまり、この人には「選挙に弱い岡田克也」というレッテルが貼られている。*12
民主党参院選を前に「クリーンな岡田克也」と「選挙に弱い岡田克也」のどちらのカードを重視してくるかで、選ばれるかどうかが決まると思う。

前原誠司

所謂、民主七奉行だとか、反小沢の旗印とか、そういう下馬評。そしてこの人もまた民主党代表経験者。
キャラクターとしては、「クリーン」「若手*13」。
郵政民営化については総理になる前の小泉純一郎と協調路線にあり、郵政民営化論者の一人であったりする。この点で、連立与党の亀井金融相と相容れない。
また、安全保障政策に関しては案外タカ派中道右派の自民に近い。安全保障政策論が出るたびに「なぜ民主にいるのか」と言われることもしばしば。このため民主党では保守寄せパンダという位置づけでもある。つまり、安全保障政策について言えば、社民党と非常に相容れない。
無党派層受けはいいけれども、この人を首相に付けてしまうと連立が危うくなる。
参院選無党派層の風頼みよりも、支持基盤を切り崩しあっての組織選挙の様相が強いので、労組系組織という戦闘力を持つ社民、郵便局長会票などを持つ国民新と不仲になる可能性がある前原氏が、参院選前に首相になるというのは、民主が「連立を組み替えるか、単独与党になるか」でない限り、考えにくい。

反小沢七奉行筆頭に上がるくらいなので、小沢との距離は遠い。
若手*14の支持は大きいが、現在の民主の若手=一期目のほとんどが小沢グループなので、「小沢グループではない中堅」の支持を集めるしかないのだが、それだけでは党内主流派にはなれない。結局ここでも小沢・鳩山グループの支持が得られるかどうかで決まるわけで、その支持を最も集めにくいのが前原。
その点では、難しそう。

民主が「連立を捨てて無党派を巻き返して単独第一党」を目指す、というのなら前原を立てるべきだが、連立死守のために鳩山を切った、そして参院選は負け材料しかない現状の民主が、前原を立ててくる可能性は低いと思う。
逆に、もしも国民新、社民を切って前原を立ててきたら、無党派層及び「自民から民主に移った層」は再び期待をするかもしれない。
自民にとっては、一番なってほしくない後継は前原ではないかと思う。

ところで、民主党の代表をなぜ辞めたのか、というのを思い返すと、この人は「永田偽メール事件」の引責で辞任している。
永田寿康議員(当時。自殺したので既に故人)が見つけてきた、ライブドア堀江社長(当時)が違法献金を促したという怪文書的なメールを真に受けてしまった上に、裏付けを取らずに庇い通してしまった。
前原誠司の最大の問題点というのは、情報の裏付けを取らないというところにある。国交相就任後も、裏付けを取らずに進めて酷い目にあって、というのが幾つもあったような*15
野党として無責任野放図に批判をする立場ならいいかもしれないけど、総理大臣というのは上がってきた情報を精査判断する立場にある。
情報を間違う、間違って判断する、という失策によって失脚したという過去を考えると、「クリーン」「無党派層受け」「フレッシュ」で首相になれたところで、やはり同じポカを、そして今度は「日本の不利益による穴うめ」という形でやらかしてしまうのではあるまいか。

その他

原口、仙石、枝野、もちろん細野wとかもひっくるめて、ナイと思う。
民主党はああ見えて序列主義だからw、代表経験者以外が前を飛ばして首相に就任したら、代表経験者各位が自民で言う中二階*16のように、「ベテランだけどもう首相にはなれない」という、隠居階級にされてしまう。
自民で言うと、安倍総理が抜擢されて中二階が焦って反逆したのと同じ図式のようなもの。
当然、派閥領袖というかグループリーダーである各位の助力も得にくい。

田中眞紀子

ダークホースで(ry


PS.
絶対にないだろうと思ってたんだけど、自民・大村議員のTwitterによると、

ohmura_hideaki
大村秀章
http://twitter.com/ohmura_hideaki/status/15233041184

要は何も国会で議論せずに参院選になだれ込もうということ。
国会で議論すれば、ボロがでるからいやだと。わかり易いけど、
そんなことで国政に責任が果たせるか大いに疑問だ。
引き続き徹底的に追及する。
なお、民主党代表選挙では、菅氏に対抗して一新会田中真紀子を担ごうとしているらしい。

一新会というのは、要するに民主小沢グループ/小沢派のこと。
角栄(小沢の師匠)の娘」「現政権と一線を引いている」「国民的人気がある(棒」「破壊力がある」「選挙に強い」。
フレッシュではないけど、「国民に人気がある」「前政権の不手際も含めて、ズバっと一刀両断」「献金関連でのブラックな不安はない*17」などから、選択肢としてはなくはないのだろう。
まあ、当て馬だろうけどー。
それこそ他の民主議員が嫌がるようなw

参院選を勝つか、負けないための布陣

民主党の支持率が下がり放題に下がっているが、鳩山辞任で一息つくというか、党の支持率は少なくとも下げ止まるのではないか、体制が一新されることでご祝儀的な支持率が期待できるのではないか、というのが今この時期の辞任劇である。
昨年の今頃*18に、当時の小沢代表が辞任して、鳩山幹事長が代表に交替プーチン大統領がメドヴェージェフ大統領と替わって、自身は首相に就いた双頭体制と同じ。
それでも、小沢退陣、体制一新によって弾みを付け、総選挙に勝った……という勝利の方程式を経験している。
つまり、「泥まみれの代表が選挙直前に辞めて体制一新すれば、ご祝儀の風に乗って選挙に勝てる」と考えているわけだ。

実際のところ、小沢一郎が先々も影響力を維持するためには選挙に勝たなければならず、選挙に勝つためには鳩山を生け贄に、自身も役職を降りて見せるパフォーマンスが必要、と。


ただ、小沢一郎の影響力がこれで全部なくなるわけではないわけなので。

民主党代表選

速報によれば、「次期内閣は6月7日には発足の見通し」と、小沢幹事長が見通しを示している。(共同通信による速報)
ここから読み取ることができるのは、3つ。

  • 週明けまで六日間で民主党代表選前倒し*19をするなら、代表選は民主党サポーター*20による投票は行われず、衆参両院議員のみの投票によって決まることになる。
  • 代表選は9月まで行わず、鳩山首相は「首相を辞任するが、民主党代表は辞任しない」ことによって、自民で言う総総分離*21のような、総代分離*22体制で、代表留任のまま新首相選出、というアクロバティックな展開が行われる可能性がある。
  • この情報をリークしているのが、小沢幹事長だということは、代表選があるとしたら小沢幹事長お手盛りで行われる、ということ。


両院議員総会での、議員のみの投票で代表=首相が決められるのだとしたら、ここまででも再三触れてきたが、党内多数派がもっとも強い影響力を発揮する。
菅直人岡田克也前原誠司は、いずれも党内では単独では過半数の支持を得られない。
第一派閥、第二派閥の支持を取り付けられるかどうかで決まるわけで、結局は「代表選があってもサポーターは参加できない」どころか、「代表選があっても、事前の多数派工作で決まる」ことになる。
さらには多数派工作を仕掛ける派閥領袖の1、2位が、辞任する小沢、鳩山であるわけで、辞任する人間の支持を取り付けないと、時期首相にはなれない、というカラクリであるわけだ。

新首相が最初に取り組む、というよりマスコミに問われる課題は

これで6/7に新体制が発足したところで、前政権の積み残しがゼロベースに戻るわけではないわけで、これも前述している通り目の前の政治課題としては、

について、「鳩山前首相は○○○でしたが、新首相としてはどうしますか?」ということについて問われることになる。
前政権との違いを強調するなら、普天間問題は単純に「5月末決着」が改めて期限を切り直されることになる……ということにはならない。確か8月までに決着しないと、米議会が基地移転のための予算を凍結・却下してしまうので、普天間に完全に固定されてしまう。虻蜂取らずわけだ。参院選後の話だから選挙には無関係、とは言えようけれども、「どうするんですか?」と言われて「鳩山政権の決定を踏襲」と言えば、体制を一新した意味がなくなるし、それを選挙目当てに反故にするなら党としての信頼性はさらに下がる。
どちらにせよ、いろいろ詰んでいる。

普通、辞任、交替すると期待ご祝儀で100日くらいは浮揚するもんなのだが、果たして果たして……。



そして去りゆく鳩山首相の心中はたぶんこんな感じ。


時期はずれだけどw

付記:鳩山辞任から得られるメリット

鳩山内閣総辞職によって、先頃衆院強行採決された法案が、国会が延長されない限り、参院での審議時間切れによって廃案になる可能性が高い。*23

もちろん、衆院でやったことを参院でもやる、ということは予想しうる話で、衆院でそうしたように「時間ないから審議は1時間ね。はい採決」という無茶な強行採決参院でも行われる可能性が非常に高い。
が、それをするには、与党が確実に過半数である必然がある。
郵政改悪法*24については、自民党内に賛成する勢力があるので通ってしまう可能性はあるが、どちらにせよ審議時間が足りない。
また、これによってネット選挙解禁を謳った(与野党合意済みの)ネット選挙解禁法案も廃案になる可能性がある。
先にぶーぶー文句垂れていたw、改正放送法(インターネット規制法)も廃案になる可能性がある。
強行採決された10法案は以下の通り。

  1. 高校無償化法 3/12
  2. 子ども手当法 3/12
  3. 国民健康保険法 4/14
  4. 国家公務員法 5/12
  5. エネルギー製品促進法 5/12
  6. 地球温暖化対策法 5/14
  7. 選挙経費基準法 5/24
  8. 放送法 5/25
  9. 外為法承認案件 5/26
  10. 郵政改革法 5/28

*1:実際、今は最後の一基で動いている

*2:機能的なゆらぎと言うべきか

*3:実際、生命保険、自動車保険を「起きない事故に備えるのは金のムダ」という考え方もあるだろうけど、万が一が起きたときに無保険というのはホントに悲惨。そもそも保険というのは万一という滅多に起きない可能性に備えたムダを容認する仕組みでもあるわけで。これは安全保障も同じで、戦争など滅多に起きないのに軍や兵器や基地を整備するのはムダという考え方があるが、そのムダによって備えておかないと、想定外の事態が起きたときに対応できない。「まさかあり得ないと思っていた」ということに、予め備えておくのとあり得ない前提で備えないのとでは受けるダメージが違う

*4:今後はオスプレイ

*5:攻撃側はそれだけ時間の余裕ができることになるわけで

*6:ちなみに菅直人の後の厚生大臣小泉純一郎

*7:それでも普天間問題は荒れるし、赤松口蹄疫は荒れる

*8:先手を打って辞任してしまった

*9:銀河英雄伝説の主人公ヤン=ウェンリーの二つ名「ミラクル・ヤン」に掛けたもの

*10:小沢とは一時、袂を分かっていた

*11:労組系が多いのは、参院が旧社会党支持基盤の組織を動員した組織選挙が多いからかなあ

*12:選挙に弱いと言えば、たちあがれ日本の与謝野代表も選挙に弱い政治家の典型。岡田克也通産省出身の官僚卒政治家だが、政策通とされる官僚出身政治家はおしなべて選挙が弱い。

*13:そんなに若くないけど、他に比べると若く見えるw

*14:これも若くはないけどw枝野とか

*15:八ッ場ダムとか

*16:志士の会。麻生、与謝野、高村、平沼とかそういう

*17:でも越後交通ブラック企業

*18:よりちょっと前だっけ?

*19:本来は今年9月が代表選

*20:自民党で言うところの党員。自民は党員資格に日本国籍が必要だが、民主はサポーターには日本国籍は必要ない。このため、外国籍のサポーターが大量に増えた場合、与党代表選=実質的な首相選が、外国人の意向で決められることになる

*21:総理と総裁を分離する、というもの

*22:総理と代表を分離

*23:そして、参院選が目前なので延長の可能性は低い

*24:郵政民営化再改革による、事実上の再国営化法