鍋で作るローストビーフ的な何か

牛もも肉の塊を使ったローストビーフ的な何かの覚え書き。
というか、オーブンを使わない茹でて作る、しかし煮込まないローストビーフの作り方。あんまり失敗しません。
ここでは、400〜500gくらいの10×10cmくらいの塊の牛もも肉(豪州産牧草肥育)を使用。

  1. まず、下拵え。脂肪分、筋などはできるだけ外しておく。
  2. 時間が十分にあるときは、肉にフォークでぶすぶす挿して穴を開け、周囲に塩胡椒とクミン、クローブなどをなすりつけて1〜2日くらいおいて、味を染みこませる*1。時間がないときは、一日置かずにとりあえず塩胡椒とクミン、クローブなどをなすりつける。
  3. フライパンに潰したにんにくをたっぷりのオリーブオイルで熱して、香りが出たところでにんにくは一度取り出し、強火にして肉を焼く。中まで火を通す必要はなく、全ての面に焼き色が付けばよいので、思い切って強火で。ブランデーを振り入れてフランベし、香り付け。
  4. 焼き色が付いたらフライパンの火を止めて、肉はそのへんに放置しておきつつ、次の支度。
  5. 深さがある鍋(肉が全部浸るくらいの)に湯をたっぷり沸かす。
  6. 肉を避けておいたにんにくローストと一緒にアルミホイルなどで包み、さらにジップロックに入れて中の空気を抜く。袋は耐熱性のあるものが望ましい*2
  7. 沸騰した鍋の火を止め、温度が80〜90度くらいに落ち着くのをちょっと待ってから、肉を入れた袋を鍋に投入。
  8. そのまま40〜60分くらい鍋の温度が下がるに任せて放置。この段階で予熱でゆっくり火が通る。
  9. 鍋から取り出したとき、まだ鍋の湯が温かいくらいだったら、少し常温で放置してあら熱を取り、触れるくらいになったら袋のまま冷蔵庫へ。


十分に冷えて肉汁が落ち着いたら、袋から出して薄切りにしてみる。
この作り方だとかなり肉汁たっぷりでミディアムレアくらいの仕上がりになるのだけど、もう少ししっかり熱が通っているほうがお好みの場合は、鍋に入れておく時間をさらに伸ばして、鍋の湯が完全に冷えて水になるまで放っておいてもよい。豪州産牧草肥育肉というのは脂身(サシ)が少ない肉で、熱を通すと全般に固くなる。というかゴムみたいになるw ので、できるだけ肉汁を逃さないように柔らかくジューシーに仕上げて、薄切り(1〜2mm厚くらい)にたくさん切って食うのがよろしかろうと思う。


鍋は水温が下がりながらで構わないので、シャトルシェフのような保温調理鍋は使わず、普通のやや深めの雪平や寸胴やパスタ鍋なんかでもよい。肉塊が小さいなら、大きい鍋でなくてもよい。要するに肉が浸ればよい。
ジップロックなどの袋ごと加熱するので、水が漏れないようしっかり封をしたほうがよい。加熱し始めてすぐは袋の内部の空気が膨張して袋が膨らむので、その時点で一度開封して空気を抜くとよい。空気が入っていると袋が浮いてしまうので、できるだけ空気はしっかり抜いたほうがよい。


多めに作っておけば、一週間くらいは持つ。その前に食べ切っちゃうと思うけど。
グレイビーソースでもマスタードでもレモン汁&バターでも合うけど、やっぱ個人的にはおろしポン酢醤油味ぽんが一番合うかなあ、とか思う。
ローストビーフのサンドイッチとか、そのへんのちょっと気の効いたパン屋でバゲットやバタールやパリジャンあたりを買ってきて、間に挟んで食ってもよし。そういえばカイザーゼンメルとかの小振りのパンは、ナイフで水平に半分に切って、具を乗っけて、ナイフフォークで半分ずつ食うのが正式で、手で千切ったりかぶりついたりするのはマナー違反らしい。ドイツ料理レシピを漁ってて初めて知った。


そういうわけで、オーブンレンジが一個しかなくて他のことに使ってるとか、オーブンレンジだと消し炭ができるとか、そもそもオーブンレンジがないとか、オーブントースターじゃだめですかとか、そういうときに「茹でて作るローストビーフ的何か」をオススメしたい。
これはそもそも鳥ハムの作り方の応用なので、ローストチキンも同様の方法でできるのだが、どちらにせよ肉汁が外に出て行かないので、非常にジューシーで柔らかく仕上がるのが特徴。


ミミガーの場合は塩抜きして表面の汚れ*3を落とした後、袋に入れずに沸騰した湯(塩ひとつまみ入れる)に放り込んで、そのまま火を止めて冷めるまで放置、というやり方で茹でるとしこしこコリコリになって(・∀・)ウマー。このときの茹で汁は豚骨スープのように使ってもいいんだけど、表面にラード、鍋底にはコンドロイチンたっぷりなコラーゲンの塊が沈んでいる。
身体にいいというか、お肌に非常にいいそう。面倒でない使い方はスープに塩、胡椒を足し、野菜(根菜系)を煮込んで甘味を付けてスープにするという方法があるが、コラーゲンの塊だけ別に取っておいて他の何かに使ってもok。油分なし、ゼラチン状のぶよんぶよんした健康成分ですよ奥さん。

*1:染みこませたときは、必ず塩抜きを忘れずに。1日なら10分くらい。

*2:フリーザー専用のポリプロピレンやポリエチレンは80度以上で溶けてしまうので。

*3:たぶん豚の耳垢w